初任者を苦しめる要因(8)
自転車操業
初任者は、次の時間の授業、目の前の仕事に追われて火の車だ。
論語の「遠き慮りなき者は必ず近き憂えあり」を思い出す。
◆将来のことをよく考えないで目先のことだけに追われていると、近いうちに必ず困ることが起こる。
「目先の準備をしないと回らない」のが現実だが、そんな中でも、先々を見通して準備をしてほしい。
「あっ、この授業ネタは1か月後に使えそうだな」とキープできるようになると授業準備にも余裕ができる。
たまりにたまった火の車の負債は、GWや夏休みなどで挽回してほしい。
◆作家の幸田露伴は『努力論』の冒頭で、努力には「直接の努力」と「間接の努力」の二種類があると言っています。
前者は「当面の努力」で、さしせまった目標に向かって精一杯頑張ること、後者は「準備の努力」で、将来のための基礎づくりとなるものです。
たとえていえば、明日の試験に出そうなところを集中的に暗記する努力と、すぐに結果はでないけれど、将来のために基礎から学んでいく努力との違いといったらよいでしょうか。
努力してもなかなか目標が達成できないのは、多くの場合、直接の努力ばかりで間接の努力が欠けているからだと、露伴は説いています。
~上廣哲治 「目標を達成するための地図」『倫風』2022年2月号~
論語の「遠き慮り」は、露伴の言う「間接の努力(準備の努力)」だ。
「近き憂え」は、「直接の努力(当面の努力)」。
差し迫った仕事を終えないと、自分らしい学び(準備の努力)に向かう余裕はない。
「木こりのジレンマ」につながる無限ループだが、それでも奮闘していると、ふと懸案だった仕事が片付く時が来る。
そうなった時を見逃さずに、先に先にと片づけていく習慣をつけておくとよい。
そこで「ほっと一息」すればいいところを、「どっぷり休養」してしまうと、また自転車操業になる。
「明日できる仕事は今日やるな」という言葉もあるが、その甘言にまどわされないで、
「できるだけ早め早めに仕事は済ませておく」=先手必勝の習慣を身につけてほしい。
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