「獲得可能性」と「類似性」とは?
2016年4月の「小三教育技術」にあった中野信子氏の連載。
「保護者に好印象を与え、信頼を得るためには」というタイトルで、「獲得可能性」と「類似性」というワードの解説をしていた。
①「獲得可能性」とは、相手が持っているものに対して、自分もそれらが得られるのではないかという可能性のこと。
「これくらいなら私にだってできそうだ」と相手に見下されてしまうこと。
こんなレベルでお前は教師をしているのかという「妬み」でもある。
圧倒的なスキルや知見があれば、相手も立ち向かう気を失う。しかし、相手にひとたび「大したことない先生だ」と思われてしまうと、信頼回復は困難だ。
②「類似性」は、性別・職種・趣味嗜好などが似通っていること。
自分と同じくらいの人が、自分より優れたものを手に入れていると、より悔しい感情が生まれやすいそうで、これも「妬み」の根源だ。 保護者にマウントされる教師の2大要因であると言えるだろうか。
論稿には、次のようにある。
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「獲得可能性」と「類似性」を遠ざけることができれば、保護者の「妬み」「嫉妬」の感情を「憧れ」に変えることもできます。
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逆に言うと、相手にひとたび「この先生は大したことない」と思われてしまうと、信頼回復はかなり困難だ。
保護者と教師の話題だが、部下と上司でも同じだ。子どもと担任でも同じことだ。
「このレベルで上司なんて信じられない」と見下されてしまうと、どんな言葉も入らなくなる。
A「嫉妬」する気が失せるほどの実力差を見せる。
B「嫉妬」を「憧れ」に転換できるように、手を打つ。
と書いてみると、AよりBの方が困難であることがよく分かる。
一度下がるから「信頼回復」のエネルギーが必要になる。
信頼が下がらないように行動する方が、一度失った信頼を回復するために行動より容易なのだ。
圧倒的なスキルや知見があれば、相手も立ち向かう気を失う。
日々、相手が太刀打ちできないスキルや知見を高める努力を続けるしかない。むろん、威張らず、驕らずだ。
謙虚さのない者は、憧れの対象にはならない。
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