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July 28, 2023

主体的・対話的で深い学びのチェックリスト

勤務校にあった「アクテイブ・ラーニング実践の手引き」田中博之著(教育開発研究所)2017年。
OECDの21世紀型能力の研究成果をふまえ、「2015年中教審教育課程企画特別部会の「論点整理」の提案も考慮して育てたい資質能力を6領域18項目で定義した。
この6領域18項目は、田中氏のオリジナルのようだ
アクテイブ・ラーニングによって育てたい汎用的な資質・能力だ。
1 自分から進んで取り組む力(主体性)
①「目標」 自分にとってふさわしい目標やめあてを決めて学習できる。
②「積極性」 グループやクラスでの話し合いの時に、自分の考えや意見を積極的に出しせる。
③「実行」 グループや自分で決めた計画にそって、すすんで調べたり作ったり発表できる。
2 友だちと協力する力(協働性
④「対話」 自分の意見やアイデアを友だちに納得してもらえるように説明し合える。
⑤「協力」 グループワークの時に、友だちと協力して課題やめあてに取り組める。
⑥「練り上げ 」友だちのよいところやアドバイスを生かし合って、よりよい考えや作品を作れる。
3 自分らしく表現する力(創造性)
⑦「発想」 新しいアイデアや工夫はないかと、いつも自分で考えられる。
⑧「個性」 自分らしい考えを生かして文章を書いたり発表をしたりできる。
⑨「質問 」「なぜだろう?」「おかしいな?」「どうしてかな?」と、いつも質問を考えられる。
4 自分で決める力(自己決定力)
⑩「思考」 資料やデータにもとづいて、自分でわけや理由を深く考えられる。
⑪「決定」 どんな方法で学ぼうかどんな発表をしようかなど、自分の考えで決められる。
⑫「時間」 時間をむだにしないように、自分で時間を決めたり計ったりして学べる。
5 問題を解決する力(問題解決力)
⑬「解決」 どうすればこの問題が解けるだろうかと、いろいろと考えを出せる。
⑭「活用」 新しいことを学ぶときに、これまでに知っていることやできることを使える。
⑮「調査」 自分でアンケートやインタビュー、現地調査などをして調べることができる。
6 自分を伸ばす力(自己成長力)
⑯「改善」 自分の学習のしかたを反省し、よりよい学習のしかたを考えて実践できる。
⑰「評価」 自分に足りない力は何か、もっとどんな力をつければよいかといつも考えられる。
⑱「努力」 自分の得意なことを伸ばし、苦手なことをなくすよう努力できる。
・・・どの項目も教師が意識して提示しなければ、子供は「育っている・育てている」という自覚をもてない。
これらの項目について、
◆そのために、あなたはどんな手立てを打っているか
を具現化できないなら、しょせん絵に描いた餅だ。
ほぼ同じ内容で、児童アンケート用紙もある。
以下のサイトからダウンロードできるというシステムもすごい。
※「アクティブ・ラーニング」という用語が、最終的に「主体的・対話的で深い学び」になった。
だからと言って「今さら、アクティブ・ラーニングなんて」と小馬鹿にしていると、肝心の「主体的対話的で深い学び」の具現化に失敗してしまう。

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July 27, 2023

春日井市に投下された模擬原爆

全校出校日(登校日)。

5年生は、戦争に関する動画を視聴し、感想をスプレッドシートに書き込んでいた。

 

 戦後75年 終戦前日に愛知県に落とされた”パンプキン爆弾”は実は原爆投下の練習のため その知られざる真実

https://www.youtube.com/watch?v=IQ2oRMxrSqg&authuser=0

 

原爆と同じサイズのパンクキン爆弾は、原爆のお試しとして全国各地で投下され、春日井市の場合は原爆投下を終えた後終戦前日に投下されている(今後の戦争への参考資料のためか、残った爆弾の処理のためか・・)

 

今や、太平洋戦争の悲惨さを学ぶというねらいだけではもったいない。

ウクライナでは今なお戦争が続き、爆弾投下が行われている。

ただ「戦争反対」を唱えるだけでは、今、世界で行われている「戦争」を理解することができないのだ。

 太平洋戦争の動画を見て平和の大切さを感じた我々は、ウクライナの惨状に無関心では意味がない。

「歴史に学ぶ・過去に学ぶ」は「今に活かす」ためでありたい。

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それは「振り返り」ではなく、「まとめの感想」

過去の中学校での実践データが出てきた。

「未来をひらく微生物」という説明文を読んだ後の、まとめの感想だ。
(太字の部分が、フォーマットで示したところ。)
============================
わたしは「未来をひらく微生物」を読んで、次のような感想を持ちました。
微生物は私にとって役立たずの汚いばい菌のように思っていました。けれど、この「未来をひらく微生物」を読んだあとは、人の生活にとても役立つ微生物がいると分かりました。しかも、人間は、昔から微生物を使って生活をしていたなんてとても驚きました。
もう一つ驚いたことがあります。それは、パンに微生物を使うことです。チーズや納豆に使うということは知っていたけれどパンやしょうゆ・かつお節に使うことは知りませんでした。今年の夏休みの理科の自由研究で凍るものと凍らないものの実験をし、しょうゆは凍りませんでした。凍らなかったのは微生物に関係があるのかなと思ったので、今度調べてみたいです。
これから自分は、人間の役に立っている微生物に感謝し、自分でも環境が少しでもよくなるように努力していきたいです。
これからの社会は、昔より環境がよくなるようにとがんばってほしいです。いろんな人に環境の大切さを知ってもらい、協力してもらえば環境がよくなると思います。
============================
◆私は「未来をひらく微生物」を読んで、このような感想を持ちました。
私は最初、微生物は理科の顕微鏡でしか見たことがなくて、とにかくどこにでもいる小さな生物としか思っていませんでした。しかし、「未来をひらく微生物」を読んで、私たちの生活に大きく影響するものだと思いました。
一つ目は発酵です。発酵は微生物しかできないし、発酵を使った食品もたくさんあるので、とても重要だと思いました。
二つ目は汚れた環境をきれいにする事です。特に教科書の十五段落の「トリクロロエチレン」の例を見てそう思いました。今、私たちの地球では環境の問題が深刻なので重要だと思いました。それにその働きのために製品も新しくされているところもすごいと思いました。
これから自分はもっと微生物に対して考えを深くしようと思います。そして、生分解性プラスチックのマークを選んで使用しようと思いました。
これからの社会は、もっと微生物の大切さを感じてほしいと思います。そして無駄に生物を殺さないでほしいと思いました。私たちが大人になっているころにはもっと微生物に対する理解が深まっていて、生分解性プラスチックも多く使われていると考えます。
============================
・・・まとめの感想は
【スプレッドシートにちょっと書く】
【ノートに5行程度で書く】
という「振り返り」より、負荷が大きい。
 でも、作品として仕上がっているので、完成度が高く、満足度も高い。
だから、
【ちょっとした「振り返り」】より、
ちゃんとした「終末の感想」】
書かせる方がパフォーマンス評価として意義があると思う。

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July 26, 2023

証拠となる言葉探しに、敏感になる。

かつて、国語の授業『注文の多い料理店』で、「証拠となる言葉」にこだわった授業をしました。

最初に取り組んだのが作品の時代です、

明治・大正・昭和と言われても歴史を勉強していない5年生には難しいですが、それでも『少なくとも○○がある時代』という意味で次のような物が証拠として出されました。

 

「十円」「ネクタイピン」「カフスボタン」「電気」「クリーム」「ホークとナイフ」・・。   

 

教科書の解説に「二千四百円は現在でいうと二百万から三百万」とありましたが、これは時代をどうやって特定したのでしょうね。

宮沢賢治は明治生まれ、なくなったのが昭和の初めです。もっと調べればこの作品がいつ書かれたかは分かるはずです。

「二千四百円」というお金の価値を調べれば、教科書会社が特定した正確な時代は決まってくるでしょう。

 

歴史を知らないから仕方がないとはいえ、「江戸時代」「戦国時代」というような、あてずっぽうの意見が出ました(手をあげて発言しているわけではありません)。

ふだんの生活でも「あてずっぽう」や「思いつき」や「勝手な推測(すいそく)」で何か言うことがあります。

そして証拠もないのに適当なことを言って、人を傷つけたりトラブルを引き起こしたりします。

言葉は凶器にもなります。いいかげんなことを口にするのはトラブルの元です。

その意味では国語の授業の中で「意見を出したら、その証拠を見つける」という作業が大切なのだと思っています。

 

次の授業では『注文の多い料理店』の「季節」を考えました。

なんとなくでも「秋」か「冬」に、しぼられます。

かんじんなのが「証拠」です。「白くまのような犬」では季節には無関係です。

「寒くなってきた」「外が非常に寒い」「寒さにぶるぶるふるえ」「外とう」=「オーバコート」「ひびが切れる」「温かいものでも食べて、元気をつけて・・」

などがページ番号とともに発表されました。

同じようにぶるぶるふるえていても、こわくてふるえている場面は関係ありません。

このように見ていくと「冬」で決まりそうですが、ものすごい山奥ですから「秋の終わり」でも寒いのだも考えられます。

証拠を見つけて意見を言うと「これ以上は決められない・どちらとも言い切れない」ということが起こってきます。

その限界が分かるようになると読みのレベルが一段アップです。

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July 25, 2023

対話的な授業を成立させるために

授業がうまくいかない原因の一つは、授業がワンウエイになっていることだ。

「ソクラテスメソッド=対話術」について、色々WEB検索してみた。

◆日本の大学では、教授が十年来の講義ノートを一方的に読んだり、黒板に書いて教える形式が一般的ですが、こうした知識詰め込み型の講義形式とサンデル教授のソクラテス的対話方式には明らかに違いがあります。ソクラテス的対話方式では、解答のない問題について皆で意見を出し合いながら、多面的な見方を相互に学んでいくのです。しかも、ソクラテス的対話方式は、米国では初等教育でも行われているのです。

https://debatekk.net/education/20170611/

というWEBの文献の中で、以下の引用がある。

============

出典:玉川大学 第4・5回海外教育事情(連携)視察報告(1995-1996) 

Buckingham Browne & Nichols School(以後BB&N;)で授業参観した際に,5年生の教室で先生が私達を児童に紹介し「子供達に質問があったら何でもしてみてください」と言われる場面があった.私達から児童たちへのいくつかの質問の中に「日本のスポーツ選手で知っている人はいますか?」というものがあったが,すぐには回答がなく,しばらくたってから「アッ,知ってる,知ってる,ヒデオ・ノモは日本人だ」との答えがあり,次に「たしか,スケートのクリスティー・ヤマグチも日本人じゃなかったかしら」という返事が返ってきた.その後,しばらく児童たちでワイワイ言い合っていたが,「なぜ,私達は日本のスポーツ選手を知らないのかしら」「私達がテレビで見ているのは国内のスポーツだけだからさ」「つまり情報源が偏っているということになる」「ということは発信する側の情報を一方的に受け入れずに,こちらから必要な情報を求めればよいということになる」「ただし,なぜ外国のスポーツ選手を知る必要があるのかは別問題」などのやりとりが展開された.日常の些細な事象を通して「懐疑的」あるいは「批判的」な思考力を育てようとする姿勢が垣間見られる場面であった.

===========

・・・なるほど、この場面は「引き出す」の典型なので、ストップモーションで解説してみる。

Q「日本のスポーツ選手で知っている人はいますか?」という教師の大きな問いかけがあり、子どもたちが「問いに正対して」自由に発言する。

A1「アッ,知ってる,知ってる~」、A2「たしか,スケートのクリスティー・ヤマグチも~」。

しばらく児童たちでワイワイ言い合っていた子どもたちが、自分たちで問いを立て、自分たちで解決し始める。

 

Q「なぜ,私達は日本のスポーツ選手を知らないのかしら?」

A1「私達がテレビで見ているのは国内のスポーツだけだからさ」

A2「つまり情報源が偏っているということになる」

A3「ということは発信する側の情報を一方的に受け入れずに,こちらから必要な情報を求めればよいということになる」

A5「ただし,なぜ外国のスポーツ選手を知る必要があるのかは別問題

 

・・・この場面は、「なぜ,私達は日本のスポーツ選手を知らないのかしら?」の問いが、分岐点になっている。

日本なら、多くの場合、ここも教師が問いかけて新たな展開に持っていくところだ。

授業を教師が主導する前提なら、この発問は教師だけに許可される。

しかし、「問いかけ」も含めて自由発言が許容されていれば、新たな問いが子どもから生まれ、その問題解決を皆で始めるこのような展開もあるわけだ。

有田学級の授業は、有田先生の巧みな話術と問いかけで、子供の思考がどんどん深まっていく。

有田先生なら「なぜ,私達は日本のスポーツ選手を知らないのかしら?」と問うだろう。

それが、いわゆる「揺さぶり発問」だ。

無論、有田先生も、自問自答できる子=独り立ちできる子をめざしている。有田学級の子どもは「はてな帳」で鍛えてあるから、自分で問いを立、自分で解決する(追求する)ことが可能だろう。

 

一方、向山学級の「磁石」の授業の鍵となる問いは、子どもによるものであった。

子どもから生じた気付きの中から向山先生が学級討論させるに足ると判断したものをチョイスして投げかけたものだ(と理解している)。

「優れた発問による授業」だけでは、子供が発問待ちになる。

子ども自身が問いを持てるように育てる必要があるから、分析批評のように「解釈コード」を教えるのだ。

一人読み・独り立ちさせるために欠かせないスキルを習得させておかなくてはならない。

ワンウエイでない授業の工夫、ツーウエイな授業・対話的な授業に必要な指導スキルについて、もっともっと深めていかねば。

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「構造学習」について

「構造を読み解く力」河村有希絵(デイスカバー)によれば

構造学習とは「書かれていることの背景にある、著者・筆者の意図を自分なりに構造的に紐解く思考の訓練」。

思考トレーニングで身に付ける「基本学習」の行程は次の3プロセス10操作

 

第一構造:洞察思考(見とおし学習)

①問題発見 ②大きなふりわけ ③問題洞察 ④問題安定

第二構造:分析・統一思考(要点の振り分けと重みづけ学習)

⑤洞察の安定確認 ⑥要点分析思考 ⑧実証

第三構造:意思決定思考

⑨洞察・分析統一思考の安定確認 ⑩高次への洞察のまとめ

 

ちょっと難しいが、ざっくり次のように解説している。P28

 

◆段落に番号を振り、内容にまとまりのある段落をまとめて全体の文章をいくつかに分け、文章のテーマは何かを大きくつかむ(第一構造)、

そのテーマに向かって、段落のまとまりごとの要点を整理し、段落間の関係性を中心に図示するなど、文章の構造を考える(第二構造)

結果として、その文章がどのような文脈でそのテーマに対して答え、結論を出しているのかをつかむ(第三構造)

という工程を、ひとつの文章に対し、授業数回に分けて行っていました。

 

・・・この説明を読む限りでは、そんなに奇抜な授業だったとも思わない。ただ、授業記録の「練りあい」の部分を読むと、子供たちが互いに自説を述べたり、反論に対する説明を加えたりしているので、そうした子供の鍛錬も素晴らしかったということだ。 

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「思考の質を高める構造読解力」

「構造学習」は、戦後まもなく打ち立てられた初等教育の理論。

当時の文部省教科調査官だった沖村光が提唱したもので

1 教師主体の教授法ではなく、学習者(である子ども)主体の学習法としてまとめられていること

2 文章を「構造」という観点で分析すること

3 最終的に思考トレーニングとして位置づけられたこと

全国組織が組成され、1970年代には会員が1000名を超えたが1980年代以降は縮小したと言う。

定年退職した自分でさえ記憶がない。大学でソシュールは習ったけど。

それでも、その理論を現代風に説いた河村氏の本を読むと、「論理的思考」「正確なインプットとアウトプット」など現代的な課題をクリアするヒントが満載だということが分かる。

流行のシンキングツールは駆使しないが、段落構造図は考えさせている。

自力解決できる読み方を習得させるという意味でも、お互いの意見を交換・交流させるという意味でも、今なお意義深い(日本の教育は、こうやってぐるぐる回っているのだ)。

本書では「構造の読み解き」は次の三つの構成で成り立っていると言う。

1 論説的文章を読んで、論理を読み解く

2 物語、情緒的文章を読んで、人の心情を読み解く

3 思考を組み立てて、解釈する/アウトプットする

 

意味段落の内容を吟味して構造化するのは、決して簡単な作業ではないが

◆小学校段階の簡単な文章で慣れさせる。

◆「正解」に固執しない。多様な「解」があっていい。

と捉えることで、取り組みやすくなっている。

発案当初の沖村光のスタンスは「作者の意図を正しく読み取る」だったから、多様な解釈を許容したところが変遷している。

 

著者の特集サイト

◆コンサルで通用する思考力は「小学校国語」で学ぶ

 文章読解で学んだ「構造を読み解く力」とは?

https://toyokeizai.net/articles/-/669255

 

◆商談相手の心情を読むのが上手な人下手な人の差

 働く人こそ「物語」を読んだほうがいい理由

https://toyokeizai.net/articles/-/669266

 

ドラゴン桜も「構造」で読むことをお勧めしているので、併せて読むとよい。

◆東大生が実践、知ると「読解力爆上がり」の簡単原則

「文章の構造」を意識すると次の展開が読める

https://toyokeizai.net/articles/-/621516

 

◆「国語は公式で解ける」東大生が断言する納得理由

文章を読むのが遅い人にも役立つスキルを伝授

https://toyokeizai.net/articles/-/624584

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July 24, 2023

振り返りの質を高めるために

もともと「振り返り」は自分のために書けばいい。「日記」が「内省」の効果を持つように、「振り返り」も自己対話で完結してもいい。

ただ、そこに至る中途の過程では、第三者の支援や他者参照があった方が、質が上がる。

「誰かに自分の思考を読んでもらう」「自分の言いたいことを確実に伝える」

を意識すると、アウトプットの質は上がる。

 

◆ちゃんと教師や仲間が読んであげないと。

◆読んでリアクションしてあげないと。

◆できれば価値づけしてあげないと。

こうした支援があれば、書く側も読み手に合わせて次のような意識をする。

 

◆読み手を意識して書かないと

◆リアクションしやすい内容を意識しないと

◆ただし、人に褒められたい、認められたいという思いが強すぎると、邪念になる。

独りよがりにならないように気をつけないと。

 

学級通信やサークル通信、SNSで、自分の学びや気づきを記録することを習慣化してきた。

どれも「こんなことがありました。こんなことをやりました」の単なる経過報告ではなく、自分の気づき、学びを主にして書いてきた。

誰が書いても同じ客観的な記録ではなく、自分にしか書けない主観的な分析を意識してきた。

古いサークル通信を見返してみたら、情報に対する私の「解釈・意味づけ・構造化・評価・感想」がよいのだと評価してくださった方がいた。

振り返りの要素が、この「解釈・意味づけ・構造化・評価・感想」なのだなと納得した。

同じ1つの授業でも、学び方・受け止め方・感じ方は各人各様だから、自信を持って自分の視点で振り返りを書けばいい。

むしろ他人と同じになると「つまらないな」くらいの気概が欲しい。

「誰も思わないような鋭い視点で振り返る子供」を育むには、

「誰も思わないような鋭い視点で書いた振り返りを評価してくれる人(教師)」が必要だ。

評価してくれる人がいれば、その動きは加速するし、評価してくれる人がいなければ、その動きは減速する。

「人と違う意見が尊重される」という思想を、教室でどこまで貫けるかが問われている。

 

アウトプットの際、個人的に、気をつけてきたのが「2つのS」。

◆それで何? So what? 

◆なぜそうなるの・なぜそう言えるの? Why so?

「今日の授業では○○の勉強をしました」だけでは「それで何?」と突っ込まれてしまう。

「次の時間もがんばりたいです」だけでは「なんでそう思ったの?」「何をどうがんばりたいの?」と突っ込まれてしまう。

振り返りの質を上げるとは具体的に書かせることだ。

「役に立った・勉強になった・次もがんばる」のような抽象的・総括的でステレオタイプな表現は要らない。

具体的に、論理的に、個性的に一人で書けるようになるまでには、の具体的な支援が必要なのだ。

◆モデリング・・手本を見せる

◆コーチング・・アドバイスやフィードバック・価値づけ

◆スキャフォールデイング・・少しずつ手放す。  

https://magazine.digibo.co.jp/article/logical-thinking-guide/#:~:text=Why%20So%EF%BC%9F%EF%BC%88%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%EF%BC%9F,%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%8C%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%82%89%E4%BD%95%EF%BC%9F%E3%80%8D

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「振り返り」の質を高めるために「価値づけ」をサイクルで回す

「認知的徒弟制」では、学習者へのサポートを4段階で考える。

①モデリング(modeling)手本を見せる

②コーチング(coaching)アドバイスやフィードバックを与える

③スキャフォールディング(scaffolding)徐々に足場を外していく

④フェーディング(fading)全て1人で行わせる(手放す)

 

 この4つのステップで「振り返り」の指導を考えると

①モデリングとして、ヒントを提示する。

例えば

◆今日分かったことは〜◆今日できるようになったことは〜◆今後に生かしたいことは〜

のように。

過去ー現在ー未来の成長過程を書かせる場合もある。

◆この学習をするまで、自分はどうであったか?

◆この学習を通して、自分は何を学び、どう成長したか?

◆この学習をいかし、これから自分はどう行動していきたいか?

 

「こうすればいいんだよ」と方向づけをしたり、「その振り返りいいね」とフィードバックしたりする。のが②の「コーチング」。

書くことが浮かばない子への支援(足場かけ)にするという意味では、の「スキャフォールデイング」とも重なってくる。

ただし、フォーマットを決めてしまうことは長所でもあり短所でもある。フォーマットに従うと、思考停止してしまう場合もあるからだ。

全員一律に書かせたところで、全員が深い内省を書くことはない。

だから、それぞれの深い学びを書かせたいなら、書き出しを指定せず、各自に任せた方がいい。

自分が一番印象に残ったことに特化して自問自答して思考を深めさせた方がいい。

それが④の「フェーデイング」。教師がいちいち教えなくても自分で書き進んでいく状態だ。

「検討しなさい」の一言で分析批評が書けるように、「振り返りを書きなさい」の一言で自分らしい内省が書けることが望ましい。

 

さて、この①から④のステップは、「サイクル」(無限ループ)として捉えた方が成果がある。

ステップ④で書いたある子の深い振り返りを、①の「モデル」として全体に提示すれば、「価値づけ」になり、他の子にとっての新たな視点」になるからだ。

モデルとして全体に紹介された子は、紹介されたことが、次回へのモチベーションになる。

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質の高い「振り返り」は、適切なフィードバック

ある学級の国語ノートを見たら、とても丁寧に感想が書いてあったが、検印がなかった。。

「どうしてノート点検してあげないのか?」と思ったのだが、逆に言うと、提出の義務もないのに丁寧に書けている点が驚きだった。

ノート点検して励ましたり評価したりすることは、次時への励みになる(プレッシャーにもなる)。

「振り返り」の質も同じだ。書いて終わり、提出して終わり、では励みにならない。そもそも、その内容でいいのかどうか、伝えてあげなくては本人には分からない。

評価する。フィードバックする。価値づけする。

ノートを持ってこさせ、瞬時にABCと評定していくことが、とても意味があったのだ。

 

さて、「価値づけ」は、「承認」「賞賛」とはちょっと違う。「それでいいよ、それがいいんだよ」という方向づけともちょっと違う気がする。

というわけで、ちょっと調べてみた。

一番納得したのが次の記述。

◆例えば、アニメや映画を観ていて、子どもが主人公の大変な状況に涙を流したとします。

あるいは、テレビのドキュメンタリー番組で、家族を亡くした子どもを観て涙を流したとします。

そういうとき、共感しながら「本当にかわいそうだよね」と言ってあげることはもちろん大事です。

そして、さらに言語化と価値づけのために、次のようなことを言ってあげるといいでしょう。

「あなたには人を思いやる気持ちがあるね」

「あなたは人の気持ちをわかってあげられる人だよね」

「あなたのように、人の苦しみがわかるって大切なことだよね」

このように言ってあげると、言語化と価値づけによって、子どもは「自分は人を思いやることができるのだ。それはとてもよいことなんだ」というよい自己イメージを持つことができます。

すると、それが設計図になって、それを目指して自分を作っていくようになります。

言語化と価値づけで、子どもによい自己イメージを持たせよう | schola | 個別指導塾・学習塾・進学塾ならTOMAS

https://www.tomas.co.jp/schola/list/mother/oyanoteacher/2685/

 

あなたの言動には、このような価値があるのだと言語化してあげること。

「丁寧な字だね」「その調子でね」という承認や賞賛から一方進めて、

「そうやって丁寧に書ける子は、うっかりミスしないんだよね。」と伝えるのが価値づけだ。

「あなたに○○の才能があるよ」と宣言するのは、まさに教師の「易者」の役割だと言えようか。

 

「君たちはどう生きるか」に中のコペル君の気づきに対するおじさんのノートもまさに「価値づけ」だ。

例えば、こんな言葉がある。

◆ だから、今日、君がしみじみと、自分を広い広い世の中の一分子だと感じたということは、ほんとうに大きなことだと、僕は思う。僕は、君の心の中に、今日の経験が深く痕を残してくれることを、ひそかに願っている。 今日君が感じたこと、今日君が考えた考え方は、そうして、なかなか深い意味をもっているのだ。それは、天動説が地動説に変わったようなものなのだから。

 

振り返ってみれば、日記のやノートの赤ペンも、このような価値づけの意味があったのだと思う。「承認、賞賛、価値づけ」が赤ペンの意義だ。

今の若い先生は、赤ペンの「言葉」が足りない感じがする。

花丸やスタンプでは言語化されないから、価値づけとしては弱いということを分かってほしい。

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「振り返り」の質を高める

平成20年の小学校学習指導要領総則には、次の指摘がある(中学校にもある)。

(4) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。

 形式的な振り返りならやる意味がない。

 「振り返り」とは「リフレクション」のこと。そして「リフレクション」とは「内省」のこと。「内省」「リフレクション」「振り返り」のニュアンスがちょっと違うかなというのが自分の実感だが、同じとして考えないとややこしくなる。

 ただし、「内省」は「反省」とは違う。「内省」は、自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みることを言う。

◆反省:自分の間違った考えや言動などを振り返り、周りに「これがいけなかった」と伝えるための考え方

◆内省:自分自身と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気付くこと

 「反省」は形式的になりがちで、口先だけならいくらでも反省の言葉を重ねることができる。

 なお、「内省」と「内観」も違う。「内観」は「内観療法」とも言うように、医学用語なので安易に使えない。よって、ここでは「内観」という用語は使わない。カウンセリングも使わない。

 

 さて、授業の「振り返り」というと、一言感想で済ませてしまう場合がある。

 「頑張った」「楽しかった」「よく分かった」では、レベルが低い。

 「自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みる」をさせられないとしたら、それは教師の指導不足だ。

教師自身が「どんな振り返りをさせるのが望ましいか」を明確にできていないのなら、教師のイメージ不足と言っていいかもしれない。

 

「振り返り」には感想でなく自己分析を!

「今日は調子悪かったです」としか言えなかった選手が、「下半身をこう使えばうまくいくことを、今日の試合中に気づいたので、イニングの合間に修正してみたら、ボールの質が変わりました」と言えるように変われば、自己改善できる。

『最高のコーチは教えない』吉井理人著(デイスカバー21)より

振り返りを続け、質問を重ねていくうちに、新たな気付きが生まれるような思考回路に変わったのだろうP206

ともある。たぶん、ここで大事なのは「コーチからの質問」だ。

 「がんばった」「今度はがんばる」と宣言するだけでは進歩はない。

 だから、コーチ(指導者)が、具合的にどうすべきなのか、自己分析を促し、自己表現できるような言葉の訓練をさせていく必要がある。

 まさに「言葉の訓練=思考の訓練」なのだ。

◆思考を深めるために言語能力を鍛える

◆言語能力を鍛え、自己改善ができるようにする。

 子供の振り返りの良し悪しを指摘しない「活動あって指導なし」では、振り返りの質が高まらないのは当然だ。

「思考」と「言語」と「行動」の関連は、実に難しい課題だ。

 

◆大谷翔平の「振り返り」は質が深い◆

 

 WBC を特集した映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録を観る」。

 イタリア戦で先発した大谷投手の舞台裏の貴重なやりとりを聴くことができた。

 甲斐捕手の「ナイスボール」の言葉に応えるように大谷投手が

「真っ直ぐ効いてますね。」「いいファクターで164の真っすぐ出た。」「完全に最後変化球待ちなんで」 「スプリットのファールでわかった。」

と答える。

 ああ、これは「自己分析」であり「振り返り」だ。

続いて

(甲斐)「あそこで高めの真っ直ぐでも投げられると思ったけど」に対して、

(大谷)「全然大丈夫です」「タイミングでピュッといったらどこでも大丈夫」

(甲斐)「結構、スライダーの意識が強い。だからと言って打てるわけでもないけど」

(大谷)「右は別に意識したところで見たことないから。」「あれは反応できないんで全然大丈夫だとして。」「あとはスプリット。 全然反応ないんで。」「カウント球でいかにシンカーを見せられるか。」

と続く。

 この場面では「気持ちはホットでも頭はクール」のナレーションが流れた。

 確かに、大谷投手は実に冷静だった。大谷投手は冷静に、「自己分析」=「振り返り(リフレクション)」をしているのだ。

 無論、この大谷投手の言葉の意味を理解できたわけではないが、「大谷投手が選ぶ全ての球種には意味がある」のだと実感した。

 

「『言語技術』が日本のサッカーを変える」(光文社新書)も

◆自分のプレーの意図をきちんと言語化(論理化)できるかどうかが、欧米と日本のサッカーの違いだ

という問題点がスタートだった。

「すごかった」って、何がどうすごかったの?

「よかった」って、何がどうよかったの? なぜいい結果が出たの?

と、感情の奥のロジックを整理することが「自己分析」=「振り返り」なのだ。

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探究的な学習のステップを踏む

情報収集には、ワクワク感がほしい!

たとえば、5年国語(光村)で「みんなが過ごしやすい町へ」という報告書を書く単元がある。
総合的な学習でも同じだが、調べろと言われて調べ、まとめろと言われたからまとめているようでは、意味がない。
知りたいことがないまま調べ学習を行っても、達成感がない。
教科書の後方のページには「課題の見つけ方、調べ方」のページがある。
1知識を広げよう・知っていることをグループで出し合う
2調べたいことを決めよう。知識が増えたことで、さらに知りたくなったことはありませんか。
と続いている。
知識が増える→さらに知りたくなったことが出てくる
このように探究が加速状態になるから、強いモチベーション’(ワクワク感)で、報告書作りに着手できる。
逆に言うと、わずかな情報・わずかな調べ学習で満足してしまうと、「情報を組み合わせる(つなげる・ひろげる)」楽しみを得られない。
外的動機づけは、「後で発表してもらいます」「教室掲示します」「成績に加えます」。
内的動機づけは、「もっと知りたい」「もっと詳しくなりたい」。
子どもの内的動機に支えられたワクワク感のある授業を仕組みたい。
情報収集(蓄積)にワクワク感があると、爆発的なエネルギーになる。
Kadai

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漢字テストに取り組む「自己調整学習の能力」

終業式の少し前、あるクラスで漢字50問テストの練習をさせていた。

 途中で解答を配り、合格できるように声かけをしていたが、最後までがんばって漢字練習する子と途中であきらめる子がいた。
 合格が遠いと感じる子は早々にあきらめてしまう。しかし、たとえ満点は難しくても、1つでも多く正解するように「今の自分が必ず正解できるのはどの漢字で、あと少しで正解なのはどの漢字か」を自分で判断し、自分で課題設定できることが望ましい。逆に言うと最後まで全力を尽くしてる子はすごい。
そうか、これが「自己調整学習」だな。
自己調整学習で、いくつか検索して、分かりやすかったのが以下のサイト。
引用しながら話を進めていく。
◆新学習指導要領に基づいた資質・能力の育成に向けて、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学習など、従来から大きく転換する新しい学びが学校教育に導入されてきています。
この新しい学びにおいて、文部科学省も重視すべきと言及しているのが「自己調整学習」です。
・・・そうか、「自己調整学習」は、そんなに重要なワードだったのか。
◆ICTを活用した個別最適な学びは、一人ひとりの学力や特性に合った学びができ、これまでの一斉授業より効率よく学習を進められるという大きなメリットがあります。
しかし、学習意欲・基礎的な学力が高い生徒は自ら進んで学習する一方で、そうでない生徒は学習しない状況が生まれ、学力差がどんどん開いてしまう懸念点があるのです。
・・・今日の漢字練習の場面もまさにこの後段の通りで、取り組み差が大きくて学力差が開いてしまう懸念がある。個別最適な学びの副反応か。
◆①動機づけ
目標設定や学習計画の作成をする段階では、生徒自身の「自分はここまでできる」という自己効力感や、教師が生徒に「学習したい」と思わせる動機づけが重要です。
自己効力感をもつ生徒に動機づけが成功した場合、学習への興味関心や学習意欲を保ったまま自ら進んで学習していけます。
・・・なるほど、「自己効力感」と「動機づけ」か。来週漢字50問テストの本番をやりますよだけでは、動機づけが足りない。
「自分はここまでできる」と見通しを立てさせるステップが足りていなかった。
◆なかでも同一化的調整(「自分にとって重要だから行う」という動機づけ)による学習は、学業成績に良い影響をもたらすという研究結果も出ています。
・・・ここもなるほど!
「自分にとって重要」という自覚がないから、チャレンジに熱が入らないのだ。
別件になるが、漢字の学習は「語彙習得」としてもとても意味がある。
◆例えば、漢字の書き方や読み方、計算の仕方を覚えることを目標に設定したとしましょう。(中略)
効果的な学習方法は人によって異なるため、繰り返し学習の方が効率よく学習できる人もいれば、「なぜ?」を深掘りして理解度を高める方が定着しやすい人もいるでしょう。
こうした自分の適性を見極め、「自分にはこの学習方法が合っている」「今回やった方法Aは合わなかったから次はBに挑戦しよう」のように自己調整していくことで、より自律的で深い学びを実現できます。
・・・何度も書いて覚える子の姿が少なかったから、「みんなやる気がないな・すぐあきらめているんだな」と勝手に感じてしまったが、学習方法は様々だから非難するのは早計だった。
◆メタ認知は、大きく2つの段階に分けられます。
モニタリング…自分自身を客観的に観察して課題を認識する
コントロール…課題を自覚したり、行動を改善しようとしたりする
(中略)
メタ認知を身につけるためには、学習を振り返って気づきを得る時間やメタ認知に関する知識を増やす機会を継続的に設けることが大切です。
メタ認知のスキルは、生徒自身が自分の課題に気づく土壌を育てなければ向上していきません。
・・・メタ認知はこの2つの段階で分けられる。
モニターできなければコントロールできるはずがないから、
まずはモニター(自己分析と課題把握)だ。
その上でコントロール(改善行動)。
◆振り返りの時間を継続して設け、気づいた内容を生徒間で共有したり、教師が生徒の課題や変化を言語化してあげたりすることで、メタ認知の知識とスキルが少しずつ伸びていくのです。
・・・振り返りは「モニタリング+コントロール=メタ認知」のためにするのだ。
自分の課題はどこか、課題克服には何が必要か、そこを自問できないと「振り返り」にならない。
メタ認知のスキルは、生徒自身が自分の課題に気づく土壌を育てなければ向上していきません」
とある通りなので、指導者のフィードバックや言語化の力量が問われている。

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物語の読み取りには、テーマが大事?

「朝日小学生新聞7・18号」の折原みとの講演記録によれば、
物語を作る最初の一手は「テーマを決める」だった。
自分がどんなお話を書きたいのか、伝えたいことを絶対に決めておきましょうと書いている。
「絶対に」である。
ストーリーより、テーマ。
「スイミー」のあらすじを生成AIに尋ねた際、なぜかAIがテーマに言及してきたことと重なってきた。
以下の太字の部分だ。
A:スイミーは、小さな青い魚の物語です。ある日、スイミーと仲間たちは、大きなマグロに襲われました。スイミーだけが逃げることができましたが、仲間たちはみんな食べられてしまいました。スイミーは、一人で広い海を泳いでいました。途中、たくさんの危険に遭いましたが、何とか逃げ切りました。そして、ついに仲間たちのいる場所にたどり着きました。スイミーは、仲間たちに助けを求め、みんなで力を合わせてマグロを追い払いました。スイミーと仲間たちは、無事に家に帰ることができ、幸せに暮らしました。
 スイミーの物語は、仲間と協力することの大切さを教えてくれます。また、どんな困難にも負けず、諦めずに努力することの大切さを教えてくれます。スイミーの物語は、私たちに勇気と希望を与えてくれます
・・・太字部分は明らかに「テーマ」の解説だ。
「この物語は〇〇の大切さを教えてくれる」で読み解くのは「仮主題の設定」のようだ。
(ちなみに、スイミーが「小さな青い魚の物語」で、「途中、たくさんの危険に遭い」は誤りである。)
・・・生成AIに、自分の文例を検討させることにした。Qを入れたらAは即答だった。
Q: レオレオニのスイミーのあらすじを、つぎのように始め、中、終わりでまとめてみました。いかがでしょうか?
(はじめ)ある日、スイミーと仲間たちは大きな魚におそわれ、赤い体で泳ぎの速いスイミーだけが生き残った。
(中)スイミーは海中の不思議な生き物に会い、元気を取り戻した。
(終わり)スイミーは逃げ惑う新たな仲間に呼びかけ大きな魚の真似をすることでマグロを追い払った。
A:はい、とても良いあらすじです。はじめ、中、終わりの3つの部分が、それぞれよくまとまっており、スイミーのストーリーがよく伝わってきます。
特に、スイミーが海中の不思議な生き物に会い、元気を取り戻したという部分は、スイミーの勇気と、諦めない心の強さをよく表しています。また、スイミーが逃げ惑う新たな仲間に呼びかけ、大きな魚の真似をすることでマグロを追い払ったという部分は、スイミーの仲間思いの心をよく表しています。
このあらすじを読んだ人は、スイミーの冒険に夢中になり、勇気と元気をもらえることでしょう。
・・・生成AIは、「とても良いあらすじ」だと認めた後に、この作品のテーマ性について詳しく補足している。
そっちの方がメインになるくらいの熱量だ。
なお、直接「主題」を尋ねたら、次の回答だった。
A:レオレオニの「スイミー」の主題は、個性の大切さだと思います。
スイミーは、小さな黒い魚ですが、大きなマグロに立ち向かいました。これは、小さな個性でも、大きな力を発揮できることを示しています。
スイミーは、仲間を集めて大きな魚に見える形を作りました。これは、個性が集まることで、大きな力になることを示しています。
スイミーは、大きなマグロに食べられそうになったときも、勇気を出して立ち向かいました。これは、個性を大切にし、勇気を持って立ち向かうことで、どんな困難も乗り越えられることを示しています。
スイミーは、個性の大切さを教えてくれる、名作絵本だと思います。
・・・「スイミー」から「個性」という主題を導くことは否定しない。
しかし、読み取れる主題は「個性」だけではないはずだ。
 こちらから、プロンプトで3つ提示してみると、3つともOKの回答だった。
Q:レオレオニの「スイミー」のテーマは、協力ですか、個性ですか、勇気ですか?
A:レオレオニの「スイミー」のテーマは、協力、個性、勇気の3つだと思います。
スイミーは、大きなマグロに食べられないように、仲間を集めて大きな魚に見える形を作りました。これは、協力の大切さを示しています。
スイミーは、小さな黒い魚ですが、大きなマグロに立ち向かいました。これは、個性の大切さを示しています。
スイミーは、大きなマグロに食べられそうになったときも、勇気を出して立ち向かいました。これ は、勇気の大切さを示しています。
スイミーは、協力、個性、勇気の大切さを教えてくれる、名作絵本だと思います。
・・・主題指導は要らなくなった。
でも「何を受け取ったか、何を学んだか、この作品は何を教えてくれたか」などを考えさせる授業が「要らなくなった」わけではない。
物語を創る際に「テーマ」が必須なら、物語を読み解く際にも「テーマ」が必須なのだと思う。
(もちろん該当学年なりに)
「物語を考えるときには伝えたいことは絶対ある」はずなので、
「この物語は〇〇の大切さを教えてくれる」というフォーマットで考えさせてもよいのではないかと思う。

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子どもが好きですか?

教員採用試験が各地で行われている時期だ。面接官をした時、大事にしていたのが
「この人は、子供が好きかな?」
「この人は、子供に好かれるかな?」
という指標だった。
それは本人に聞いて分かるものではないし、面接官も正確に見分けられるものではない
あくまで推測だが
「この人は、子供が好きそうだな」
「この人は、子供に好かれそうだな」
という判断を重視したした(あくまでも自分の基準)。
==================
Q:子どもは、どんな先生が好き?
A:「子供が大好き」と言える先生です。
先生が子どもを好きかどうか、子どもは直感でわかります。
気持ちは通じるものです。
特に、子どもには、ごまかしはききません。
情熱をもって体当たり!
教育技術MOOK「新任教師の仕事 小学校版」(小学館)2011年
===============
大村はまだったら
「情熱なんて当たり前。子供が好きなんて当たり前。それだけで務まるほど、教師の仕事は甘くない」
と批判するかもしれない。
それは必要条件と十分条件の違いでもあるので
「子供が好き」だけでは教師は務まらないが、
「子供が好き」という条件はクリアしておいてほしいのだ。
「子供に好かれる」教師になるために子どものご機嫌取りをしろと言っているわけではない。
そういう教師は子どもに好かれない。
前掲書では、次の4点を挙げている(小学校版だから)。
①一緒に遊んでくれる
②いつもニコニコしている
③授業がよくわかる
④怒るとこわいけど、すごくやさしい
まとめると
「真剣に向き合ってくれる・親身になってくれる・味方になってくれる」
ということなのかもしれない。
「先生が子どもを好きかどうか、子どもは直感でわかります」
というフレーズは、まさにその通りだとつくづく思う。
※「優しくて親切」などというのは、「一生懸命」と同じことで、あたりまえのことです。その反対だったらどうしましょう。「優しくて親切」などは長所でもなんでもない、教師としてあたりまえのことです。そんなことなんでもないとお思いになりませんか。「あたたかな心」もそうです。教師となる人だったら、誇りにもならなければ、長所でもない。あたりまえに出勤したと同じことです。 そうではなくて、教師は専門家ですから、やっぱり生徒に力をつけなければだめです、ほんとうの意味で。こうした世の中に生きぬく力が、優劣に応じてそれぞれつかなければならないと思います。
    「新編 教えるということ 」(ちくま学芸文庫)より

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July 23, 2023

アイデアが浮かぶ過程 〜生成AIに負けない人間らしさ〜

久しぶりに恩田陸の「消滅」(中央公論新社)を読み直して、
AED活用のアイデアのくだりに再度感心した。P73〜75
全文引用してもいいのだが、自分なりにまとめてみた。
【提言1】AEDを携帯できるコンパクトなものにする。
①心停止のおそれのある人が装着できるウエアラブルなもの
②防弾チョッキのようなベスト型
③IDカードのような首下げ型
④胸ポケットに入れる名刺型
⑤腕章のような巻き付け型
⑥足首のサポーター型
【提言2】おしゃれなデザインにする
①着けるのがかっこいいイメージを定着させる。
②心臓疾患に対する周囲の理解を深めさせる。
【提言3】AEDを機能の一つにする健康機器として開発する
①腕に巻いて血圧を測定する。
②微電流でマッサージする。
→生産量が増えれば価格が下がる。
→AEDが増えれば、緊急時にすぐに対応できる。
【提言4】購入時に使用講習会をセットにする・義務付ける
・日頃ジョギングする人も自分ごととして意識できる。
【提言5】足首サポーターの場合、雨や泥が跳ねるから防水と強度が必要
【提言6】普及のためには、サポーターのデザインも重要
①専用のカバーを内蔵して。交換可能とする。
②スポーツブランドやファッションブランドと提携したカバーをデザインにする。
③シーズン毎に新しいカバーを発表し、交換時にメンテナンスを兼ねる。
AEDを医療機器から健康機器にして、誰もが所有できるようにし、負のイメージをなくす。
特に、運動愛好者をターゲットにして、量販し、コストを下げる
デザインや機能を工夫して、実用としてもファッションとしても、多くの人が手に入れたくなるような一品にする。
・・・どうしてこんな風にアイデアが浮かぶのか、作品のストーリーとは別に感心してしまった。
無論、作者一人のアイデアではなく、取材の結果だとは思うが、こういう豊かな「連想ゲーム」が、メーカーには必要なんだろうな。
今なら、すぐに生成AIに尋ねることができるので、試しに聞いてみた。
Q:AEDを普及させるために、ファッション性や機能性を工夫するいいアイデアを教えてください。
A:AEDを普及させるために、ファッション性や機能性を工夫する良いアイデアはたくさんあります。ここでは、いくつかのアイデアをご紹介します。
  • AEDを小型化し、持ち運びやすくする。
  • AEDの操作を簡単化するために、音声ガイドやビデオガイドを搭載する。
  • AEDをファッション性の高いデザインにする。
  • AEDを人に親しみやすいように、キャラクターや絵柄を施す。
  • AEDを設置する場所を、より多くの人が目にする場所に変更する。
  • AEDの使用方法を、より多くの人に知らせるための啓発活動を行う。
これらのアイデアを実現することで、AEDをより多くの人が身近に感じるようになり、いざという時に使用できるようになると思います。これにより、心停止で亡くなる人々の数を減らすことができます。
以下に、これらのアイデアを具体的に説明します。
  • AEDを小型化し、持ち運びやすくする。
AEDは、現在、比較的大きな機器です。そのため、持ち運びが難しく、場所によっては設置することができません。AEDを小型化し、持ち運びやすくすることで、より多くの場所に設置できるようになり、心停止が発生した際に迅速に使用することが可能になります。
  • AEDの操作を簡単化するために、音声ガイドやビデオガイドを搭載する。
AEDは、誰でも簡単に使用できる機器ですが、それでも操作が難しいと感じる人もいるかもしれません。AEDに音声ガイドやビデオガイドを搭載することで、操作方法をわかりやすく説明することができ、いざという時に慌てることなく使用することができます。
  • AEDをファッション性の高いデザインにする。
AEDは、現在、比較的無機質なデザインの機器です。AEDをファッション性の高いデザインにすることで、より多くの人が身近に感じるようになり、いざという時に使用しやすくなる可能性があります。
  • AEDを人に親しみやすいように、キャラクターや絵柄を施す。
AEDにキャラクターや絵柄を施すことで、より人に親しみやすい印象を与えることができます。これにより、AEDを身近に感じやすくなり、いざという時に使用しやすくなる可能性があります。
  • AEDを設置する場所を、より多くの人が目にする場所に変更する。
AEDは、現在、比較的目立たない場所に設置されていることが多いです。AEDをより多くの人が目にする場所に設置することで、心停止が発生した際にすぐに見つけることができ、迅速に使用することが可能になります。
  • AEDの使用方法を、より多くの人に知らせるための啓発活動を行う。
AEDの使用方法を知らない人も多いため、AEDの使用方法をより多くの人に知らせるための啓発活動を行うことで、いざという時にAEDを使用できるようになる可能性があります。
これらのアイデアを実現することで、AEDをより多くの人が身近に感じるようになり、いざという時に使用できるようになると思います。これにより、心停止で亡くなる人々の数を減らすことができます。
・・・恩田陸のアイデアは、生成AIよりも具体的でイメージが浮かぶ。
「健康機器」として「1人1台」を目指している点で、生成AIより先を見据えている。
このように、我々は、生成AIのアイデアの先を考える子供たちを育てていきたい。
生成AIの回答に満足する子供たちを育ててはならない。
「創造性」は「バカげたことでも考えてみる」が第一歩である。
生成AIが優等生の回答しか出してこないなら、「奇抜さ」や「くだらなさ」にこそ人間の面白味がある。
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July 21, 2023

安易なワークシートの授業

 イージーな話し合い活動と同じく、イージーなワークシート活用の授業をよく見かける。

 活動内容が明記され、書き込み欄も明確になっていて、枠まで提示されている。

 したがって、時間の無駄がなく、スムーズに活動させられる。

 しかし、ワークシートなら何でも言い訳ではない。質が問われるのは当たり前だ。

 教科書会社が教材に沿ったワークシートが用意しているが、非常に使いにくいと思うことが多い(具体例が示さないのは卑劣かも)。

 多くの先生方は、このワークを使って授業をしている。とにかく教科書会社のワークをやっておけば、最低ラインの学習を保障できるという思いがあるのだろう。

 しかし、担任教師がワークの模範解答を記入するのに苦労していることもあった。教師でさえ困難なワークが子どもに合うはずがない。

 ワークシートは、便利な半面、丁寧なノート作りの場を奪うことになる。
 
=============================
 子どもたちに名文名詩を暗唱させる。その時、暗唱文をプリントで与えないで教師が黒板に書く。

 子どもは黒板を見ながらノートに書き写す。このような行為が必要である。

 プリントを使った授業は楽でいいが、子どもに力はつかない。プリントを子どもに与えることは学習の基本を教師が奪っているようなものである。

 プリントを配らなければ、子どもはノートに自分で書かなければならない。何も難しいことではない。誰でもできることである。この誰でもできるプリントを与えることによって奪い去っているのである。

 できない子ができるようになる機会を奪っていることになる。

 国語だけでなくすべての学習にとって作業は欠かせない。

 松藤司著 「授業の知的展開(1)」P14~15

==============================

 簡単な表の枠を示すだけなら、ノートに線を引けばいいだけのことだ。

 ちなみに順序が逆になるが、この前頁で、視写の弱さを指摘している。

 たとえば本文から抜き出しなさいという課題に対して、

①句読点が間違っている

②漢字がひらがなである。

③ひらがなが漢字である。

④文末が違っている

という間違いがあることを示し「たかが書き写す問題なのに、このように誤答が多いのは、視写学習は十分なされていないからとしか言いようがない」と書いている。

 

 安易にワークシートを用意することで、ノート指導の機会と視写力育成の機会を奪っていは本末転倒なのである。

 

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「めあて」を板書しても無意味?

 市内の学校では、黒板に本時のめあてを書くように指導が入る。

だから、

A「バスの運転手は、どんなところに気をつけて仕事しているかを考えよう」

のような形で板書される。

 ところが、この課題を提示してそのまま考えさせたところで、子どもの思考は動かない。

 だから良識ある教師は「発問」を用い、」板書する。

B:「バスの運転手は、どこを見て運転していますか?」

 Aは課題。抽象的で、答えにくい。対立しないから討論にもならない。

 Bは発問。具体的な問いだから、イメージしやすくて答えやすい。多様な解が生じる。

 Aの課題を解決するために、具体化・焦点化する形で、Bの発問を提示する。

 これが岩下修先生が提案した「AさせたいならB」である。今の若い先生はご存知だろうか。

 ちなみに、法則化時代の教師にとっては、この「バスの運転手」の有田先生の発問は有名だ。今の若い先生はご存知だろうか。

 

 Aは、いわゆる「学習課題」である。黒板に課題を書いたからといって、子どもがすぐに思考を開始するわけではない。課題を提示し、そのまま子供にぶつけて、考えさせたり話し合わせたりするのは、無謀である。

 めあて(課題)をそのまま提示して考えさせても、個人では、なかなか意見が出ないから、グループで話し合わせる。結局、気の利いた子だけが活躍して、後の子はお客さんになる。

 

 一方、Bのような答えやすい(イメージしやすい)形で問えば、誰でも話し合いに参加できる。このように答えやすい形に変えていくことが、発問化の過程であり、教師の腕の見せ所なのだ。

 今は、そのような「発問」意識が希薄なのだと思う。

 めあて(課題)をそのまま提示する先生=とりあえず話し合わせる・何でも話し合わせる先生には、どうしたら子どもの思考が深まるかの意識がない。発問吟味の意識もない。

 話し合えば、何とか意見が出てくるだろうといった安易な依存がある。

 そのくせ、「先生自身は、この課題に対してどんな答えを用意しているか」と尋ねても、あいまいな場合が多い。ノープランなのだ。

 なんでもかんでも話し合いをさせることの愚かさは、先にも書いた。
=================
【向山型要約文の授業では話し合いをさせてはいけない。】

 向山型要約指導の目的は、

【要約のやり方を学ばせる】

ことにある。
 話し合いの好きな教師は、黒板に書かれた要約文についてやたらに話し合わせる。反対意見を言わせる。
 多くの場合、字数が短いとか誤字があるとかの指摘に終わってしまい、肝心の内容の吟味がなされない。
 これは当然である。子ども自身が判定する基準をもっていないからである。
 向山型要約文指導では話し合いをもつのではなく、要約するためのコツを子どもが学ぶのである。
====================
 
 若い先生だけの問題ではない。
 ずっとずっと相変わらずの授業が繰り返されている。、

 30年も前に盛んになった「発問」の議論、「発問の定石化」の議論の中身を伝えていく必要がある。

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「向山型国語入門QA小事典」

 久々に「向山型国語入門QA小事典」に目を通した。

 たとえば音読指導(音読カード)についての指摘がズシンときた。

◆音読を「家庭学習」にしてしまう教師がいる。

これは指導の放棄。音読が苦手な子は、ますますできなくなっていく。教師の仕事は「授業で子どもに力をつける」こと。

◆「音読を宿題にして、できなければ家庭と子どものせいにするようでは教師失格だ。授業で、学校で、子どもに音読の力をつけるのである」

・・・音読を家庭に任す一方で、教室では間延びした言い回しを肯定していることも多い。

 

◆子どもにゆっくりと音読させる教室がある。こういう教室では、挨拶も片付けも教室移動も、全て遅い。教師が子どもの生体リズムについて無知だからだ。

・・・近頃は、「たけのこ読み」を使う先生をよく見かける。しかし「たけのこ読み」をさせるなら、その前に正しい読みをきちんと指導しなくてはならない。それが変化のある「追い読み」の繰り返しだ。

 

 もう1つ。

 なんでも「話し合い」をさせる授業は、放任の授業につながりやすい。その点を指摘する記述があった(P37)。

【】は枠囲みである。

=================
【向山型要約文の授業では話し合いをさせてはいけない。】

 向山型要約指導の目的は

【要約のやり方を学ばせる】

ことにある。

 話し合いの好きな教師は、黒板に書かれた要約文についてやたらに話し合わせる。反対意見を言わせる。

 多くの場合、字数が短いとか誤字があるとかの指摘に終わってしまい、肝心の内容の吟味がなされない。

 これは当然である。子ども自身が判定する基準をもっていないからである。

 向山型要約文指導では話し合いをもつのではなく、要約するためのコツを子どもが学ぶのである。
====================
 

・・・子どもが判定基準(解釈コード)を持たない状態で話し合わせても、不毛な議論にしかならない。

 

 話し合いをさせないという点では、「一字読解」の指導も同じだ(P88)。

========================
 向山氏は「一字読解」の授業では、くどくど説明をしない。

もちろん話し合いなどさせない。授業がだらけてくるからだ。
========================

・・・何でも話し合わせていては時間がいくらあっても足りない。

 時間つぶしをしてサボりたい教師は、「話し合い」ばかりさせていればよい。

 しかし、良識ある教師なら、話し合いの場を厳選し、時間の浪費を食い止めるだろう。

 というわけで、次の点が大事なのだと思う。


◆授業で子どもの学力を保障する。◆

①大事な習熟の活動を安易に家庭学習に回してはいけない。

②肝心なことを、教えずに、子どもの話し合いに任せてはいけない。

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30分だけがまんしなさい

 「京大式ロジカルシンキング」(サンマーク出版:現在入手困難)は、極めて現実的・実践的な指南書で、論理の通用しない相手には「ほとんどテクニックは必要ありません」として、次のように述べている。

=================
◆30分だけがまんしなさい

 ひたすらがまんして、相手の話を聞いてあげましょう。「そう、そう」と相づちを打って聞いていると、不思議なことですが、たいていの人は、やがて自分で自分の言葉に納得してしまうのです。
このような人は30分以上も論理を駆使し続けることができません。だから、聞き続けるだけで、意外に早く納得してくれます。
 そうやってきちんと話を聞いてくれる相手がこちらを友だちのように思い始めてくれたりします。
「あんたほど話がわかる人物はいないねえ」
やがてそんな言葉が口をついて出たりします。そして、飲みに行こうと誘われたりして・・。
 こちらはほとんど何もいっていないのですが、ほぼこのパターンになります。ともかく30分程度はがまんするようにされるのが、トラブルを避けるコツです。

 「京大式ロジカルシンキング」逢沢明(サンマーク)P130
===================

 まさに「傾聴」。

 ほとんどカウンセリングと同じだが、このようにクレームを受容する余裕がないと保護者対応は難しい。

 ちなみに、かつて、ある先生が「お父さん、それは誤解です」という言い方で、保護者を激怒させた。

私:「『誤解です』はまずい。相手は『じゃあ誤解していた俺がバカだったということか』と思うかもしれない」

担任:「えー、じゃあ、どう言えばいいんですか」

私:「『私の言い方が悪かった』とか『勘違いさせてすみません』『言葉足らずですみません』みたいに、誤解させたこちらに落ち度があると伝えるべきじゃないかな。」

「相手を否定しないのがネゴシエーター(交渉人)の基本だよ」と言ったが、意味が分からなかったようだ。これは映画を見ていないと分からないな。

 自分は悪くないから謝りたくないというスタンスが前面に出ると、言い訳をしたくなって、傾聴できなくなる。

「傾聴が大事」とは「言い訳するな・口をはさむな・まずは黙れ」ということで、教師には、なかなか難しいのだ。

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吹き出し授業の甘さは、こういうことか!

かつて、1年生の国語の「くじらぐも」の授業を参観した。
子どもたちの気持をワークシートに書かせる場面だった。
ところが、同じセリフとは言え、子どもたちのセリフは3回出てくる。

「天までとどけ、1,2,3」

3回言うのだから、次第に気持は高まっていく。
当然、吹き出しに入る気持ちも微妙に差があるはずだ。
しかし、何回目のセリフに対する気持かの指定はないまま吹き出しを書かせていた。

「この時の子どもの気持ち」の「この時」の指定範囲があいまいなのだ。

 

続いて、くじらぐもの気持もワークシートに書かせる。

「もっとたかく。もっとたかく」

同じセリフが2回あるのに、何回目のセリフかを指定せずに

「この時のくじらぐもの気持ち」

を書かせようとしている

だんだん気持ちが高まっていくんだから、どっちセリフなのかを指定するべきだ。

実際の子どもの反応は、セリフに対応していない自由勝手な意見もあった。

◆「天までとどけ、1,2,3」と言っている時の気持ち
◆「もっとたかく。もっとたかく」と言っている時の気持ち

とは思えない意見もあった。

それは「この場面全体における子どもたちやくじらぐもの気持ち」の読み取りになっているからだ。

指定範囲があいまいになると意見がばらばらになる。

検討のしようもないので「これもいいね、あれもいいね」で終わってしまう。

正確な対応を怠った安易な吹き出し作業は、読みの力を育まない。

本文に正対して気持ちを考えさせることが大切だ。

 

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同じ「帰りの会」のプログラムでも・・・

学級の帰りの会では、よく「よいところみつけ」が行われる。

ある学級では、「今日の日直のよいところみつけ」だったので、お!っと驚いたことがある。

よくあるのは「今日の友達のよいところみつけ」だ。

「日直のよいところみつけ」は、日直になる度に「よいところ」が指摘される。

一方「友達のよいことみつけ」は、いつも同じ子ばかり紹介される。1年間1度も紹介されないまま終わってしまう子が出る可能性がある。

「日直のよいとこ見つけ」と「友達のよいとこ見つけ」とでは、意味合いが全く違う。

毎度毎度一部の子に高評価が集まってしまうのは、教育的ではない。

偏りを避け、バランスを考えるのが、担任の仕事なのだ。

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July 20, 2023

「どんなお話か」は難しい

2年生の国語(光村)でお話を紹介させる単元がある。

この「どんなお話か」は、うまく書けない子が多い。
というか、そう簡単に書けるものではない。
教師側に基準がないと、何を書いてもOKになってしまう。
教科書の例は
「ミリーがそうぞうでいろいろなぼうしをかぶる話」
となっているが、これでいいのかな?
題名通り
「ミリーのすてきなぼうしの話」
としても、意味は通る。
「ミリー」が第1キーワード、「ぼうし」が第2キーワードなら、
3つ目のキーワードは、「そうぞう」だろうな。
3つのキーワードをいれてまとめましょう、ぐらいの指定がないと、いいか悪いかの判断ができない。
そういう「どっちでもいい」の繰り返しが授業をあいまいにする。
そもそも安易に「どんなお話か」をまとめさせるのは無茶。
本当なら「スイミー」であらすじを学習して、ここは応用で取り組ませるべきなのだ。
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物語の「作り方」が分かると、「読み方」も分かる!

7月18日の朝日小学生新聞。
普段は全く気にもしないが、たまたま「物語を作ってみよう」の見出しに惹かれて手に取った。折原みとさんの講座の報告記事だ。
◆物語を作るには、まずテーマを決めます。「ホラーを書いて読者 を怖がらせたい」「きゅんきゅんするような恋愛の話を書きたい」 など、自分がどんなお話を書きたいのか、何を伝えたいのかを考えます。簡単なことからでも決めてみましょう。
・・・そうか、最初からテーマが問われるんだ。
テーマと言っても決して難しいものではなくてもいいが、結局何が言いたいのかが明確でないと、ストーリーのゴールがなくなってしまう。
冒険譚を選ぶ男の子はラストで「死にました」とする子が多かったなあ。
読み取り側からすると、「仮主題」を決めるというとハードルが高いから、読後の第一印象を言語化するでいいと思う。
「面白かった」「かわいそうだった」「すごい」「ドキドキした」、、、
そんな第一印象の言葉を、「なぜかというと」「どこからそう思ったかというと」でつなげていくといい。
◆次に、主人公を決めます。どんな人なのか、名前、年齢、性別、性格は? と細かい部分まで決めます。主人公を決めたら、家族や友だちなどのまわりの人のことも考 えましょう。

・・・この流れの逆だから、物語を読み取る場合は、次に主人公の設定を分析することになる。
主人公のキャラ分析より主題の読み取りが先というところが肝心だ。
続いて、ストーリーを考えます。 今年出した最新の「うみねこ館の四姉妹』(約200ページ)では、あらすじをレポート用紙に10 から15枚ほどにまとめました。
あらすじを書くには、「起承転結」に沿って考えると良いです。難しければ、まずは目次を作って見出しをつけることで、考えを整理してみましょう。

・・・この流れの逆だから、物語を読み取る場合はあらすじをつかむ。
起承転結とあるが、はじめー中ー終わりでもいいと自分は考えている。結局、最後はどうなったかを読み取ることが大事。
◆文章の基本は、いつ、どこで、 だれが、何を、なぜ、どのように、 という「5 W1H」を書くことです。物語の最初の方に5W1Hを意識しながら、お話の世界の状況を具体的に入れると、読者が想像しやすくなります。
・・・物語を読み取る場合も5W1Hの設定を分析する。
◆長い物語を書くためには、途中に起こる「具体的なエピソード( 出来事)」を考えます。長い物語も小さな出来事が続くことで進んでいきます。
・・・この「エピソード」という概念が難しいが、どんな事件(出来事)が起きたかを順に整理することを繰り返すしかないかな。
 
◆物語を書いている途中で、やめたくなるときがあります。けれど 大事なことは、短くてもいいから完成させることです。これは小説 を書くのに一番必要なことです。 書きたいシーンだけを書いて満足するのではなく、完結させることで、全体を通して伝えたいことが伝えられるようになります。
・・・なかなか奥深い指摘だ。
短くても全体として完結しないければ、達成感もなく終わってしまう。物語を創ったという体験を通過することが大事なのだ。

◆そのために、物語を考えるときには、伝えたいことを絶対に決めておきましょう。ここを決めないと、ふわっとしてよく分からない 話になってしまいます。
・・・そして振り出しに戻る。
伝えたいことは絶対に読み取っておきましょうということになる。
◆物語を書く方法は、物語以外の文章を書くときにも役に立ちます。ぜひ挑戦してみてください。
・・・「起承転結」は物語寄りだが、「はじめー中ー終わり」は、序論ー本論ー結論でもあるからあらゆる文章の基本形になる。
以前も書いたが、算数の文章問題も基本は「はじめー中ー終わり」だ。
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July 07, 2023

「個人懇談会」のはじめの一歩

懇談会の基本線は、

①おうちでの様子をお聞きする。

「4年生になってから、おうちではいかがですか?」

 「学校での出来事は、何か言ってますか?」

②学習面・生活面(お友達のこと)でがんばっていることを伝える。

教育相談で出てきたこと・家庭についての話題など

 

担任としての「安心感」アピールが大事なので、笑顔で対応してほしい。

①で、保護者が、A「先生の話を聞きたいのか」、B「自分の思い(不満・苦情)を言いたいのか」がなんとなく分かると思う。

特にBの場合は時間が延びないように、誤解のないように進める。

 担任の主観だけで話を進めるのではなく、子供の事実(生活アンケートや教育相談の発言)をお伝えする。

成績については、前学年より下がりそうな場合は、ある程度、お伝えして覚悟してもらうとともに、どこをどうがんばれば元に戻るかを具体的に伝えるとよい。

テスト点が低い子の保護者には、念のため、返却したテストをご覧になっているかどうかも尋ねてみる。

現状を知らない保護者も多いので、コピーを用意しておくこともある。

成績ダウンに伴って「だらしない・雑・うっかりミス」などのマイナス評価をそのまま伝えると、保護者の機嫌を損なうことがある。

「去年まではそんなこと言われなかった。先生の教え方が悪いからだ」といった反論をされないように。

提出物が出ない・授業中聞いていないというような場合も、苦情として伝えるのではなく「もう少し厳しくした方がよいか、無理強いさせない方がよいか」など相談するスタンスでお伝えしてみる。

言いたいことがあっても、保護者の反応を見て、場合によっては2学期の懇談会に持ち越す姿勢で臨みたい。

信頼のない状態で苦情を言っても保護者の心に入っていかない。

 

※想定外に手がかかるのは、学校と自宅で態度が異なる子。

保護者の前では良い子であったり、自分の都合のいいことしか保護者に伝えていなかったりすると保護者に学校での事実が伝わらない。

 

※自分で判断できない苦情や相談ごとの案件については、学年や学校全体で確認して後日報告することを伝える。

 

※時間が延びた時は、後日時間を設定する(あるいは電話での懇談を設定する)。

 

※友だちや教師・保護者の悪口などで、「先生もそう思いますよね」のように同意を求めてくる場合、うかつに肯定しないよう注意する。

また個人情報に関わることを誘導尋問のように聞いてくる保護者がいるので、答えないように注意する。

 

※「みんな、そう言ってますよ」の「みんな」はごく少数という場合も多い。

貴重な意見として受け取っておきながら、冷静にスルーすると良い。

 

※廊下が暑いと、懇談前からイライラしてしまう。暑い中でお待たせしないよう開始時刻を守る。

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「行動の記録」が大事なわけ

1・2学期の通知表には所見の言葉のない学校が増えましたが、「行動の記録」は記入します。

客観的なテストで評価する「学習の記録」と違って、「行動の記録」は教師の日頃の観察によって評価します。


基本的な生活習慣


自他の安全に努め,礼儀正しく節度を守り節制に心掛け調和のある生活をする。


健康・体力の向上


活力ある生活を送るための心身の健康の保持増進と体力の向上に努めている


自主・自律


自分で考え,的確に判断し,自制心をもって自律的に行動するとともに,より高い目標の実現に向けて計画を立て根気強く努力する。


責任感


自分の役割を自覚して誠実にやり抜き,その結果に責任を負う。


創意工夫


探究的な態度をもち,進んで新しい考えや方法を見付け,自らの個性を生かした生活を工夫する。


思いやり・協力


だれに対しても思いやりと感謝の心をもち,自他を尊重し広い心で共に協力し,よりよく生きていこうとする。


生命尊重


自然愛護:進んで自 然を愛護し ,自他の生 命を尊重す る。


勤労・奉仕


勤労の尊さや意義を理解して望ましい職業観をもち,進んで仕事や奉仕活動をする。


公正・公平


正と不正を見極め,誘惑に負けることなく公正な態度がとれ,差別や偏見をもつことなく公平に行動する。

通知表の各学年の表記内容は、もう少し具体的です。

具体的な表記内容によっては〇をつけられるかどうかが変わってきますので、各校・各学年の表記内容をしっかり確認してください。

学校によって〇の数の個々の上限や学級ごとの総数の縛りもあって、どんなよい子も全部〇をつけられないので、どこに〇をつけるかの判断は難しいです。

懇談会でふだんの生活でよかったところ・がんばっているところをお伝えすると思います。

しかし、懇談会でほめた部分と「行動の記録」の評価があまりに異なっていると、保護者から「懇談会ではあんなに褒めていたのに、どうしてこの項目に〇がつかないのか」といった担任不信にもつながりかねません。

懇談会前に「行動の記録」の〇の部分を確定し、その点を中心によかったところをお話するといいです。

「行動の記録」と「懇談会の話す内容」はセットにして準備しましょう。

各教科の「自己通知表」と同じく、行動の記録の観点についても、子ども自身で振り返りさせておくと参考になります。

 

「行動の記録」は1学期2学期全学期とつけます。1学期と2学期で〇をつける箇所を意図的にバラしておくこともあります。

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教育相談が大事なわけ

懇談会前は、いつも先生方に「教育相談は進んでいるか?」を確認しています。

6月の教育相談と7月の個人懇談会はセットです。

教育相談の段階でさまざまなトラブルを掌握し、解決しているから安心して個人懇談会に臨めます。教育相談で子供から不安や不満を聞き取っているから、安心して個人懇談会に臨めます。

しかし、たとえば次のような事態が生じると、担任不信につながります。

普段、取り立ててトラブルを感じなくて、教育アンケートでも教育相談で何も問題なくて、安心して個人懇談会に臨んだら、「うちでは〇〇さんに嫌なことをされるって言ってますよ」「うちの子はいつも泣いて帰ってきますよ」「毎朝、登校を渋るんです」と初耳の訴えがあった。

この場合の保護者は、

「そんな風に担任が鈍感だから、我が子は苦しんでるんですよ」

のトーンで迫ってきます。担任の状況把握が甘かったので言い訳の余地がありません。

教育相談を機械的に進めると「先生が話を聞いてくれなかった・言い出せなかった・すぐ終わっちゃった」となりかねません。

個別にじっくり聞いて、言いたいことはしっかり言わせる場を確保します。

そして、懇談会に臨むときには、「教育アンケートや教育相談では特に何も悩みが出なかったのですが、おうちでは何か言ってませんか」のように、「ひょっとしたら」を想定しながら尋ねます。こうしてリスクを回避します。

 

また、悩みが複雑な時は、懇談会を待たずに、報告や相談をしておきます。

懇談会前にトラブルが解決していると、和やかに終わることができます。逆に想定外の相談(苦情)で懇談会が延びて、次の保護者の時間に食い込むと、ここでも担任不信を招きます。

 

基本的には、初任者であっても懇談会は担任が1人で向き合うことになります。

甘い気持ちで臨んで大変な事態になるよりは、万が一を想定して危機管理をして臨んだ方がよいと思います。

懇談会前が1年の中でも一番忙しい時期です。体調を整え、笑顔で乗り切ってください。

 

※成績についても注意が必要で、昨年より成績が悪くなっている場合はさりげなく伝えたりアドバイスを用意したりしておかないと、「あゆみ」をもらった終業式に苦情の電話が来ます。

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July 05, 2023

メディアリテラシー

総務省「情報通信白書」に関するニュース

◆SNSや動画投稿サイトは、運営企業側が利用者の閲覧や検索履歴などを基に関心のありそうな情報を優先的に表示し、閲覧数を増やしているとされる。
日本では「知っている」と答えた割合が38.1%と極めて低い水準。
これはマズイ。
関連動画が次々紹介されたり、Amazonの購入履歴に沿って書籍の紹介されたりするのは確かに便利でありがたいとも思うが、そうやってコントロールされているという危機感はキープしていたい。
Yahooニュースのコメント欄にもあるように、マスコミも平然と誘導している。
「だからネットは危険、マスコミは安全」ということにはならない。
テレビにおけるステルスマーケティングも、併せて教えないといけない。
テレビでよくある「最近話題の○○」の特集などは、どう考えてもタイアップ。
番組放映後は「△△で紹介されました」って張り紙が出るんだから。






SNS情報の偏りに警鐘 情報通信白書、日本で認識薄く(共同通信) - Yahoo!ニュース

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July 04, 2023

フォーマットだけでは書けない

今日は〇〇についてお勉強します。

作文をやるから、ワークシートの書き出しに沿って浮かんだ言葉を書いていきましょう。

調べ学習をやるから、計画表を書い進めましょう。

図工で、△△を作ります。

 

うーん、いきなり「これやります」と言われても、「よし、とりかかるぞ!と動けない。

 

◆「おもしろそうだな」と思うような導入を仕組んでもらわないと。

◆学習課題に必然性がないと。

◆モチベーションを刺激してもらわないと。

 

・・・それが導入の工夫。

「教科書にあるからやる。教育課程にあるからやる」では、子どもは動かない。

若い先生は、どうしても「教科書にあるからやる。教育課程にあるからやる」となりがちだが、それでは、主体的な学び・深い学びにはならない。

 

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「認知的徒弟制度」の4つのステップ

WEBをあれこれ検索していたら「認知的徒弟制度」というワードに引っかかった。

◆1980年代に、アメリカの認知学者ジョン・S・ブラウンやアラン・コリンズらが伝統的な徒弟制に見られる見習いの修行の過程を、認知的に理論化した教育法です。
ということで4つにステップが示されている。
モデリング(modeling)
【見せる】
指導者(教育者)が学習者に仕事のやり方を見せて教える。学習者は、指導者の見本を見て模倣し、身につけていく。
❷コーチング(coaching)
【させて、見て、気付かせる】
指導者(教育者)は、学習者にその技能を練習させ、取り組みを観察し、より良い方向に行くように、ヒントやアドバイスなど、フィードバックをする。
習熟度の状況や発達段階に応じて、適した課題を設定する。
❸スキャフォールディング(scaffolding)
【自立の支援】
「足場(かけ)」という意味。学習者がひとり立ちできるように支援する段階。学習者はさまざまな作業・課題に取り組み、指導者(教育者)は作業・課題の難易度・負荷を高めていく。自力で行える作業や課題は任せ、できないものだけを指導者(教育者)がサポートする。学習者は、いまの自分の習熟度、発達段階を理解、自覚する。
❹フェーディング(fading)
【任せて、手を引いていく】
学習者の習熟度、発達段階に応じて、サポートを減らしていく。また、学習者に任せて、手を引いていく段階。
あるサイトでは「フェーディング(fading)について「任せる勇気」と書いてあった。
確かに、教える側には「任せる勇気・手放す勇気」が必要だ。堀田龍也先生は、「手放すタイミング」が大事だと話していた。「早過ぎず・遅すぎず」が大事なのだ。
一番聞き慣れなかったのは「スキャフォールデイング(足場掛け)」
「コーチング」後の「足場掛け」=「自立支援」を怠って「フェーデイング」したら「ただの丸投げ・放置」になってしまうことがよく分かる。
なお、この4つのステップとは別に、6つのステップもある。

  1. モデリング
  2. コーチング
  3. スキャフォールディング
  4. アーティキュレーション:学習者の知識や考え方を言語化し、問題解決までの過程を明確化する
  5. リフレクション:“内省”や“熟考”などを通して、学習者の問題解決の過程を他と比較検討する
  6. エクスプロレーション:フェーディングと同義とされている
・・・④の「言語化」、5の「内省・熟考」は、学校現場で重視されている大事な要素である。
引用元WEB



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July 03, 2023

「内省」によって、自分自身と向き合う

(1)カウンセリングに近い「内省」

今シーズンのキムタクのドラマ『教場ゼロ』をチラッと見ることがあった。

上司のキムタク刑事が部下の心の闇を暴くような場面があり、これって「内省・内観」だなと感じた。

部下の中込刑事は、キムタクに「ずるいですよ指導官。犯人を前にして俺のカウンセリングなんか」と語り、「気持ちを言葉にできたので、これからは感情をコントロールできます」と宣言する。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/encount/entertainment/encount-470728?redirect=1

 

 このネット記事では「過去と向かい合った」と評しているが、過去と向かい合うよう仕向けたキムタクの対応が見事だったのだ。

 

(2)「内省」と「反省」は違う

「内省」は「反省」とは違う。

自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みること自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みることを言う。

◆反省:自分の間違った考えや言動などを振り返り、周りに「これがいけなかった」と伝えるための考え方

◆内省:自分自身と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気付くこと

https://www.kaonavi.jp/dictionary/introspection/

 

「反省」は形式的になりがちで、口先でだけならいくらでも反省の言葉を重ねることができる。

 

(3)「内省」と「内観」

「内観」は「内観療法」とも言うように、医学用語なんで安易に使いづらい。

よって、ここでは「内観」という用語は使わない。

 

(4)「内省」と「リフレクション」と「振り返り」

「内省」とは「リフレクション」のこと。

そして「リフレクション」を調べると「振り返り」と出てくる。

しかし、「内省」と「振り返り」が同じ意味かなと気になる実践例をよく見かける。

振り返りの質が低いのだ。

マズイ。

「自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みること」までいかない「振り返り」で満足する子供がいるが、それは教師の指導不足だ。

安易な「反省」もよくないが、安易な「振り返り」もよくない。

とはいえ、具体的に、どんな「内省(リフレクション)」ならOKなのか。

そこを詰めないと机上の空論になるので、のう少し深めたい。

 

この後、道徳の授業と「内省」について話を進める予定ですが、どうかなあ・・・。

(続く)

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