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November 27, 2023

「伝記」についての考察 (1)

 5年国語(光村)『やなせたかし・・アンパンマンの勇気』の学習の手引きに次のように書いてある。
(1)伝記の表現
伝記には、次のような表現を用いた部分がある。
・人物の行動や会話、心情が、物語のように書かれている部分。
・事実の説明や、その人物に対する筆者の考えが書かれている部分
 物語のようであり、説明文のようでもある「伝記」の特徴が書いてある。
 マニアックに教えたいなら、次の点に触れたい。
 伝記は基本的に三人称限定視点。
 「震災が起こったとき、たかしは九十二さいで、そろそろ仕事をやめて、ゆっくりくらそうと思っていた」のように三人称で語られるが、「たかし」の気持ちにだけ入りこむ。
 この一文の「たかし」は一人称の「私」に置き換えても通用する。
 ただし、全部がそうというわけではない。
 この作品のラスト2文は
 アンパンマンと共に人々をはげまし続けたたかしは、震災から2年半がたった2013年10月13日、94さいでなくなった。その直前まで、絵や物語をかいていたという。
 本人が亡くなる場面なので、「私は・・亡くなった」という表記はそぐわない。
 また、最後だけは「その直前まで、絵や物語をかいていたという」と伝聞表現になっている。
 伝記は本人の聞き取りやさまざまな事実からの推定になるので、文末はほとんど「~だそうだ」「~という」「~らしい」になってしまう。 それでは煩雑で読みにくいので、通常は伝聞・推定の表現は略されている。
 この場合は、ラストのみ筆者が前面に出てきて、伝聞の文体になっている。
 筆者の「わたし」は直接出てこないのだが、出たり入ったりを感じさせるところが面白い。

 

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November 24, 2023

リフレクションの氷山モデル

 コルトハーヘンは教育場面を振り返る際に見つめるべき4つの領域を氷山に例え、次のように説明した。
(1)最も目につきやすく分析もしやすい「行動」の領域。何をしたのかを振り返る。
(2)見えたり見えなかったりする「思考」の領域。比較的言語化がしやすいため、部分的に他者と共有したり分析したりすることができる。
 ここまでは、これまでの振り返りとさほど違いはない。
 コルトハーヘンが推奨するのは、これよりも深いリフレクションである。
(3)目に見えない部分の「感覚・感情」の領域。「冷や汗が出た」「鳥肌が立った」「ワクワクして胸が高鳴った」など、身体感覚を含めて感じたことを見つめる段階
(4)水面よりもはるかに深い部分の「望み」の領域。「単元の面白さを分かってほしい」「注意して聞いてほしい」「友達と話したい」「寝たい」など、その場面で思考や感情にも影響を与えている欲求や願いについて考える。
 東京書籍「教室の窓」 Vol70号 2023年9月発行
 特集:教育におけるウェルビーイング「教師が花咲く学校づくり」山辺 恵理子氏の論稿を修正
 この4層の氷山モデル開発の経緯が、次のように書かれている。
◆コルトハーヘンは、教師が授業などの振り返りをする際に思考や行動にしか焦点を当てず、しかも失敗経験を振り返りがちであることに疑念を呈した。
 研究授業などで互いの授業を見ても、その後の振り返りでは、授業中に教師がとった行動とその理由を思考レベルで分析したうえで、すぐにダメ出しや改善案の話に進んでしまうことは少なくない。
◆思考レベルの分析では説明のつきにくい、価値観や感覚・感情、望み・使命感といったものを見つめていかなければ、一つ一つの場面に応じた最適解を見つけることはできないのではないか。
◆子どもたちの「行動」や「思考」(の未熟さ)を叱るだけでなく、その根底にある「感覚・感情」や「望み」に目を向け、尊重すること。さらには子どもたちの成功体験に目を向けて、教師と児童生徒がいっしょになって、子どもたちの力を最大限に発揮できるようにする条件を考えていくことも重要である。
・・・「リフレクション」は、表層的な「行動」や「思考」レベルでなく、もっと深いところで論じよという提言。
 「思考」より深いのが「感覚・感情」「望み」か。
 そうだな。
 昔は「反省する」というと「ダメ出し」と同義語だった。
 「どうすればうまくいきそうか」「どんな自分になりたいか」「うまくいったらどんな気持ちになれるか」を考えることは、ダメ出しの「反省」と違って心地よい。
 成功体験を得るためのポジティブなリフレクションが、ウエルビーイングの実現につながっていく。
 無料の教育雑誌の情報ではここまでしか理解ができないのだが、教育雑誌だからここまで簡潔にまとめてあるとも言える。
 とても勉強になりました!
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宇佐美寛氏の「意味論的思考」も、シンキングサイクル

宇佐美先生が学生に示したあるお題を簡略化すると次のようになる。

子ども相撲の東京大会で準優勝した女の子が、女人禁制の国技館で行われる決勝大会に出られないことについて、労働省婦人少年局長が事情を聴くことになった。
・・・宇佐美先生は、意味論的には、次のように考察せよと言う。
女性を入れないのは国技館の土俵だけではない。「他に同類は無いのだろうか。」と考えるはずである。女性を入れないもの、あるいは男子を入れないものは国技館の土俵以外にはないのだろうか。
・・・なるほど、「女の子が女人規制の国技館に上がれないこと」を検討するためには「よく似た事案」で考えてみることが大事なのだ。
 だから、宇佐美先生が述べる「比較の意識」が、すごく重要だ。
これは比較の意識である。〈国技館の土俵〉〈女人禁制〉は、単にそれだけを知ってもわからない。ある対象を知るのは、それと同類のもの、それとは異なるものをも知ることである。それだけで孤立し他と無関係に知ることは不可能なのである。それでは何のためになのかわからないのである。意味論分野における重要な方法は比較である。
・・・したがって、意味論的分野の指導で、宇佐美先生は「次のように指示する」とある。
「世の中に、男だけ、あるいは女だけということになっていて、他の性を排除するような施設・組織・場所・慣習・催し・・・等はたくさんあります。できるだけ多くノートに書きなさい。」
 学生は話し合ったり、1人で考えたりする。5分ぐらい経った時点で、数名を指名し、考えた結果を板書させる。
 宝塚歌劇団・歌舞伎役者・修道院・神主司祭・女子大・女子校・プロ野球・シンクロナイズドスイミング・公衆浴場・トイレ・天皇・助産婦・・・・
 項目がこのように複数箇ある時、分類させる。分類には基準が入る。基準を当てはめようとすることにより、それぞれの項目の事柄が明らかになる。
 その性質が明らかになる。分類によって分析も行われるのである。
・・・比較して、同類を列挙し、基準を決めて分類し、分析する。
向山洋一先生の「かける」の授業と同じだ。
そして、探究型のシンキングサイクルと同じだ。
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よって、次の学生のような意見を述べられたら「局長らに勝ち目はない」と言う。
◆ 天皇は男しかなれない。助産婦は女しかなれない。国立の女子大学には男は入学できない。この3つの〈性による独占〉は、土俵・歌舞伎・神主とどう違うか。これら3つは法令に根拠をおいているのである。「差別」というなら、法による「差別」である。公的なものであり、この「差別」は税金を使って維持されている。これに対し、土俵・歌舞伎・神主の制度は私的なものである。法令とは無関係である。私人が自分たちで好きなようにやっているだけのことである。もちろん公金(税金)はもらっていない。局長たちは、なぜ男しか天皇になれないという制度をまず批判しないのか。官僚という法令に関わる公的な立場を使って、私人同士が好きで納得して守っている慣習に文句を言う。これは弱い者いじめである。他方、自分たちの立場に密接に関わる法による「差別」については責任を明らかにしない。これは官僚支配の国家の図式である。
 学生は、さまざまな性による差別(区別)を列挙し、「公的」「私的」に分けた。
 そして、官僚が「私的」な問題に介入する必要はないのだと論じた。
 「土俵の女人禁制」を自分がどう思うかではなく、「土俵の女人禁制の問題に局長が介入した事実」を批評しており、その筆致は極めて客観的である。(ただし、この事態を「差別」とラベリングした点で、本人の主義主張が出てしまっている)。
 宇佐美先生は、授業の終わりに次のような見解を述べる。
◆自分が個人として発言する資格・権利がない他人の私的な事柄に介入するのは無理だ。私は女性が花束贈呈で土俵に上がれるようになるのには賛成だ。しかし、それが官僚や政治家の圧力で実現するのは反対だ。そんな考え方は自由社会に合わない。(中略)官房長官の圧力で私的な催しの慣習を変えさせるのは、「自由民主」党のイメージと合わない)。
 「私的な事柄」「私的な催しの慣習」という表記にとどまり、「差別」といった言葉を使わないのは意図的だと思う。
 ただし官僚の聞き取りを「圧力」だと断じた点は、宇佐美先生の主義主張が色濃く出ている。個人的には、こういうところに人柄を感じるのである。
「宇佐美寛問題意識臭15 教育のための記号論的発想」(2005年)明治図書
 第一章 記号論三分野の意義〜大学生の作文指導を例として〜

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「Aを教える」ために「Aでないものを教える」

◆お母さんが子供に「犬」とは何かを教えるときにどうするでしょうか。それは実に簡単で、実際の動物を見せて、「これは犬ですよ」「これは猿ですよ」「これも犬ですよ」と二、三回繰り返せばそれでよいのです。

  渡辺慧「認識とパターン」岩波書店 ※1
・・・AIに「犬」を学習させる際も、こんな感じだと聞いたことがある。
①「犬」のデータをインプットする。
②「犬でない」もののデータをインプットする。
この双方があるから「犬」の特徴を理解し、「犬」でないものとの違いを理解する。
「犬」が分かるためには、「犬でない」も分からなくてはいけない。
「これは犬ですよ」
「これは猿ですよ」
「これも犬ですよ」
・・・なるほど、こういうステップが大事だ。
私たちは「A」を教える際に、「Aでないもの」も併せて教えているかを意識しなくてはいけない。
「A」だけ教えて、「A」を教えた気になっていてはいけないのだ。
◆ある対象を知るのは、それと同類のもの、それとは異なるものをも知ることである。それだけで孤立し他と無関係に知ることは不可能なのである。 ※2 
・・・という宇佐美先生の主張は、このような「犬」の具体例で考えると腑に落ちる。
「宇佐美寛問題意識臭15 教育のための記号論的発想」(2005年)明治図書より
※1はP34   ※2はP22

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November 14, 2023

「型」を学んだら、いずれは「型破り」!

2014年7月。

華道の未生流笹岡、笹岡隆甫氏のテレビ番組を観た。
「江戸時代から受け継がれてきた花を美しくみせる黄金比率」は、直角三角形の比率のことだ。

 笹岡さんのHP「未生流笹岡」で探ってみる。

http://www.kadou.net/learn/index.html

◆江戸時代後期(19世紀の初め)、未生流の始祖、未生斎一甫が庶民のためのいけばなとして「生花(せいか)」を考案します。
ー中略ー
生花は、三角形に納まります。体の先と、用の先と、足下の3点を結ぶと、直角二等辺三角形になります(用の先が直角の頂点です)。

・・・型があるから、誰でも習得できる。
そのこともHPに書いてある。

◆未生流笹岡に入門すると、先人が考案したいけばなの設計図「型」に、花枝の長さや配置・角度を書き添えた図面「寸法表」を手渡されます。この図面の通りに花を組み立てていけば、初心者でも、美しい花姿に整えることができます。
寸法表を用いた理論的な教授方法は、未生流笹岡の大きな魅力の一つです。
 
・・・「○○が定められており、その○○に従えば、誰もがほぼ美しい△△ができます」
 この理論的な教授方法が「システム」だ。
 免許皆伝までのステップ=上達論は、システム論でもある。
 
 、「型を守れば、誰もが美しい花姿に整えられる」とあるが、次の言葉もある。

まずは、型をしっかり身につけ、それを土台として、時代に合った新たな美を追求していきます。
いけばな教室は、その基礎を学ぶ場です。

・・・教育団体TOSSは、型をしっかり身に付け、基礎を学ぶ実践的研究団体ですとトレースできるだろうか。

 

 ただし、先のくだりは、冒頭にあるフレーズがついている。

◆いけばなが目指すのは「型破り」です。
まずは、型をしっかり身につけ、それを土台として、時代に合った新たな美を追求していきます。
いけばな教室は、その基礎を学ぶ場です。

・・・そりゃあ、そうだ。

 型通りのことだけをしていたら「入門者・弟子」の立場から脱却できない。
 型通りの作品を展覧会に出品するわけにもいかない。
 「型」を身に付けるべき段階で満足せず、いずれは「型破り」を目指す。

  その気概を失ってはいけない。

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「言葉の向こう側」を読む

 国語の読解力のアドバイスから、処世術というかコミュニケーションのあり方を学んでいる。

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人は心のなかで思っていることの一部分しか言い表すことができない。

だから、その言葉を受け取った人間は、その言葉を理解したことに満足するだけではなく、その言葉の向こう側を想像しなくてはならない

  「ぼっち現代文〜わかり合えない私たちのための読解力入門」小池陽慈(河出書房)P152

===============

、「原因」があって「心情」が生じ、その「心情」が「言動」になって現れると筆者は言う。

 しかし、全ての心情が「言動」に現れるわけではない。

 目に見える言動を読み取って、そこで満足していてはいけない。

 日常的な例でいえば、目の前で転倒した子に「大丈夫?」と聞いて「大丈夫」と返されたとしても、本当に大丈夫かどうかは分からない。みんなの前で転倒して恥ずかしいかも知れないし、いくら痛くても大袈裟にしたくないかもしれない。

 いじめでも同じだ。

 「いじめられていないか?」と聞かれて「ありません」と返されたって本当かどうかは分からない。深刻ないじめの場合は、むしろ簡単に人に言えないものだ。本当に苦しんでいる子なら「察してくれよ」とSOSを出しているかもしれないのだ。

 「言葉の向こう側を想像する」とは、そういうことだ。

 人の言葉の裏を読む、真意を読むのは難しい。

 でも言外の気持ちを読むことは、大人の作法としてはきわめて必要なスキルなのだ。

 

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 他者の〈心情〉を想像する時、私たちは、自分自身ならこう感じるだろうという思いを、勝手に、他者の心の内に投影しているだけなのだ(中略)

 こうして、うかがい知ることのできないはずの他者の〈心情〉を、あたかもその他者に成り代わったかのごとくに代弁する。そのことによって、本当はまったく別のところにあったかもしれない他者の真の思いに耳を傾ける回路が、絶たれてしまう 

  前掲書P190・191

================ー

 このくだりに着目したのは、小見出しに「代弁という暴力」と書かれていたからだ。

 これは衝撃的なフレーズだ。

◆ごんは悔しかった違いない

◆兵十はショックだったに違いない

のように、書かれていない心情を想像することがある。

   しかし、元々は「書いてないから分からない」のだ。

   だから、心情の想像が「代弁の暴力」にならないよう、できるだけ謙虚でなければならない。

   人の心を勝手に想像する(代弁する)のは、そもそも不遜な行為なのだという気持ちを持っていたい。

 

※道徳の授業で、登場人物の心境を想像させると、多くの場合「自分の経験と重ねた言葉」が出る。

だから、道徳の指定研究校にいた時、「登場人物の気持ちになって考えよう」と、「あなたならどう思うか」は、どっちで問うても同じ結果になるのだと結論づけたことを思い出した。

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November 12, 2023

日本教育技術学会(大阪大会)

 模擬授業提案された林健広先生のレジメの中に、向山洋一氏の文面からの引用がある。

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1 単元を 5 分で授業する。

5 分で授業し終了。これやってみるといいです。

どんな単元でもいいから 5 分で授業してもらって、教科書のこの問題できるよね、この問題もできるよね、これだってできるよね、これはできるよね、これもできるよね、で、5 分で全部終わり。あとは自分で勉強しなさい(笑)。

このためにはですね、ポイント中のポイントの問題でなくちゃだめなんですね。

ごちゃごちゃごちゃごちゃ、たくさん教えるわけじゃないです。

1問できて1単元全部教えられるのが理想的ですね。」

 向山洋一(2017)「授業づくり よくある失敗例 175 例」42~93、学芸みらい

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 「あとは自分で勉強しなさい」「一目で分かるようにノートに解き方を書きなさい」

 国語では「次の文章を検討しなさい」

・・・30年以上前に、向山氏が子供に任せる授業を具現化されていた。

「テイーチングからコーチング」と言われる前から「守・破・離」や「号令・命令・訓令」と言われてきた。

「号令」=「任務だけを示したもの」(例)ゴミを拾いなさい

「命令」=「任務と趣意を示したもの」(例)教室をきれいにします。ゴミを10個拾いなさい。

「訓令」=「趣意だけを示して、任務は相手に任せるもの」(例)教師をきれいにします。自分でできることをやってごらん

 

「教える授業」と「教えない授業」は二項対立ではない。

 堀田龍也先生も「グラデーション」という言葉で、だんだん移行させていくことの大切さを述べている。

 

 分科会で樋口万太郎氏が言われたことも印象的だった。

◆算数の足し算できちんと教えたら、引き算では子供たちに考えさせられる◆

 〇〇できちんと教えたら、△△は子どもに任せられる

のフォーマットには、いろんな言葉が入りそうだ。

 

◆例題・類題できちんと教えたら、練習問題はで子どもに任せられる

◆一場面で読みをきちんと教えたら、2場面の読みは子どもに任せられる

◆第一時できちんと教えたら、第2時は子どもに任せられる

◆1学期できちんと教えたら、1学期は子どもに任せられる

 

「先生自身が手放す勇気を持つ」

「先生自身が手放す見通しを持つ」

 

 教えることが目的ではなく、子供が学ぶことが目的だから、教えることに満足してはいけない。

 改めて、向山実践の「双方向性」を検証する必要があると実感した学会だった。

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November 11, 2023

『いちばんすきな花』第4話(2)

自分が傷つかないために、相手を傷つける「辛さ」

 

第4話では、「あなたはぬいぐるみにならないでね」というアドバイスがあった。

それは「言いたいことはちゃんと言わないと壊れちゃうよ」というメッセージだ。

ドラマのヒロイン(夜々)は、溺愛されてうんざりしていた母親に

「私の好きなもの、分かった気になっとるところがすっごい嫌い」

とぶつけ、そう言ってしまった自分を責めて苦しんでいた。

母親に「嫌い」と言うのは、よほどのことだ。

これ以上自分が傷つかないためには、鈍感な母親に傷ついてでも分かってもらうしかなかった。

いや、きちんと分かってもらうためには、きちんと傷ついてもらうしかなかった、

通過儀礼のいっときの辛さかもしれないが、言いたいことをちゃんと言うのは「覚悟」が必要だ。「決別」とも言えようか。

 

ごくごく親しい人から受ける「いじめ」「パワハラ」「セクハラ」・・・。

たとえ、相手に嫌な思いをさせる結果になったとしても、嫌な思いをしている自分が我慢する必要はない。

コミュニケーションが取れていないことに気づいていないのなら、こっちから正すしかない。

「決別」するしかない。

ただし、相手を傷つければ。それもまた自分の心を傷つける。

言いたいことを溜め込んで傷ついている人は多い。

 

深いな。

このままでは、重すぎて、小学生の授業には使えない。

じっくり溜め込んで、棘を抜いて、マイルドに加工して授業化してみたい。

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『いちばんすきな花』 第4話

 対人関係の苦手な子にとっては生身の人間より機械と付き合う方が気が楽だ。

 ドラマの中で次の場面(語り)が印象的だった。

◆人と話すのが上手ではない妹は、幼い頃、ずっとぬいぐるみに話しかけていた。

 自分が相手になるよと姉が言うと「お姉ちゃん言い返すからヤダ」と言われたという。

 

 なるほど!

 たまたま「ペットにするなら本物かロボットか」の授業テーマを意識していたので引っかかった。

 ぬいぐるみに話しかけるのは、自分が否定されないから心地よいわけだ。

※男女のトラブルで多いのが、聞いてくれるだけでいいと思って話をしている女性に、男性が否定したりアドバイスしたりしてしまうことだ

ネットでは次のように、人形に話しかける心理を分析するコラムもをあった。 

タイトルがズバリ「ぬいぐるみ心理学」

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ぬいぐるみには何でも言える。

普段の人間関係とは違い、100%安心できる関係です。

ぬいぐるみがあなたの話したことを、

他の誰かに陰口言ったりしないですよね(笑)

つまり、ぬいぐるみに話しかける人は

人間関係に安心感を求めている傾向があります。

https://waniblog.info/about-plush-doll/1546

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・・・こういう指摘を読むと、生身の人間とのコミュニケーションが苦手な人の気持ちも分かる。

無論、自分だって、隣の人に聞けばいいことを、遠慮してネット検索するこちがある

◆相手にいちいち時間を使わせるのが申し訳ないとか、

◆知らないことでマウント取られるのが嫌だとか

◆聞いても完全理解に至らなければ二度手間になるとか、

 

 だから、機械を否定する必要もない。

 生身の人間とも、機械とも、ハイブリッドに付き合っていけることが現代人の処世術だ。

 

 断られるのが嫌だから告白できないという人の気持ちは、自分も分かる。

 でも、そこは自分で乗り越えて、自分の未来を自分で勝ち取らないといけない。

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November 08, 2023

What と How

「22歳からの国語力」 (講談社現代新書) 川辺秀美著 2010/1

◆あなたは仕事でいったい「何を」「どのように」実現したいのですか?

・・・川辺氏は、What と How が大事なのだと述べている。 

Howがなければ、空論で終わってしまう。

特に、22才の就活生(卒業生)なら、具体的なHowを語る必要があるのだ。

How=どのように自分らしさを出すかは、自分の存在理由の説明でもある。

 

そしてWhat、何がしたいか。

この「何」を端的に言い切れない人は自分探しで迷走してしまうタイプ。なるほど!

 

①誰が ②誰に ③何を ④どのように ⑤いつ 

⑥どんな文脈で(状況で・事情で)

⑦結果

 

小学生でも、読み・書きにおいて5W1Hを意識させているが、5W1Hが形式的になると役に立たない。

それぞれの意味と意義をしっかり考えて使いたい。

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November 07, 2023

「成功の復讐」

ユニクロ社長柳井正氏の10年以上前のインタビューの記事。

東洋経済オンラインのアドレスは既に消えている。

 

▼われわれはいろんなことで失敗している。
たとえば、発熱保温肌着ヒートテックの素材は何百回もやり直した。
グローバル事業もようやく黒字になってきた。
それまで何百億円とつぎ込んできましたからね。


・・・「一勝九敗」という本のある柳井氏

ユニクロの成功した部分だけを見て恨んだり妬んだりしても意味がない。

▼成功体験にしても、たとえ一つの事業が成功しても、それが次の成功を保証することはない。

・・・この教訓を知っていないと、一発屋で終わってしまう。

▼少し商才が利いた若い人は、ちょっと成功すると、大成功したかのように勘違いしてしまう。
本人の能力ではなく偶然なのに、成功したということを肯定して、何か大経営者にでもなったかのような錯覚に陥る人が結構いるんですよ。
成功体験を基に同じことを続けていると、絶対、“成功の復讐”に出合う。
だから、お客様が評価された点の本質をよく考えることが必要。

・・・成功に味をしめて、同じことばかり続けていないか。

自分の発想も行動もマンネリになっていないか。

たえず謙虚で、たえず学び続ける姿勢。

「自己否定」と「自己刷新」

60歳を過ぎて今更「成功」などは望まないが、成長は続けたい。。

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November 03, 2023

改めて「ミラー・ニューロン」を学ぶ その4

楽しそうに振る舞うのが一番!

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◆両親が楽しそうにしていると、それを見ている子どもは、ミラー・ニューロンを興奮させて「楽しそうだ」と感じて、真似をしますからね。
 とすると、両親自身が楽しく思っていないことを子どもにさせるということは非常に大変なことだ、ということがお分かりいただけるかと思います。
 「少しの努力で『できる子』をつくる」池田清彦(2011年10月初版)講談社文庫 p72
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・・・・楽しいことをやっているから真似したくなり、楽しいことを真似するから習得していく。
「教育はまさに真似をさせることだし、真似することがなければ、文化も伝承していきません」という指摘は重い。
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 誕生から一歳半位の期間に、いかに「真似ることの技量」を身につけさせるか、それがとっても大事なことなんです。この頃に「真似することは楽しいことだ」と思わせると、子どもはその後に伸びますよ。もしも子ども自身が真似することを楽しくない、と思い込んでしまうと、その子はうまく成長することができないかもしれません。だから一番重要なことは、母親が「楽しい」と思って行動すること。それを見て赤ちゃんは幸せな気持ちになれるんです。p74
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・・・なるほど。大人が楽しくてポジテイブな行動に努めると、子供はそれを真似て幸せでポジテイブな気持ちになれる。
 なんと素敵な「笑顔の連鎖」ではないか。
 今回、「ミラー・ニューロン」について読んでいて、「真似させる」よりも「楽しんでいる」が重要なのだと思えてきた。
 ミラー・ニューロン発見のきっかけとなった実験室でのジェラート。
 研究員がジェラートをおいしそうに食べているのを見て、サルは欲しくて欲しくてたまらなくなったに違いない。
 「きっと何か特別おいしいものを食べているのだ」と思ったに違いない。
「楽しい感情」は「楽しい感情」を呼ぶ。
「楽しい行動」は「楽しい行動」を呼ぶ。
「授業は楽しいことをするに尽きる」という境地と繋がっている。
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改めて「ミラー・ニューロン」を学ぶ その3

「少しの努力で『できる子』をつくる」池田清彦(2011年10月初版)講談社文庫
 幼児の発話について、ミラー・ニューロンと関連づけた解説がある。
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◆子どもはそうこうしているうちに、乳児語のようなわけのわからないことをグジグジと言いはじめます。これを専門的に喃語(なんご)といいます。これは大人の真似をしているんです。自分でも意味が分かっているわけではないんだけれども、何かグジグジと「発声の練習」をやっているんですね。だからそのグジグジとした乳児語はそのまま言わせておいて、母親もグジグジと真似をして同じように言ってあげましょう。そうするととっても喜びますから。
 これが先ほどお話ししたミラー・ニューロンの働きです。母親が自分の発声と同じことをしている、と気付くことでミラーニューロンが興奮します。そこで自分が母親の真似をするとさらにそのミラーニューロンは興奮して、その行動自体が確固としたものに固定されていくわけです。そういうふうにして初めて、赤ん坊は徐々に発話ができるようになっていきます。p 71
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・・・真似すると興奮する。真似されるのも興奮する。
 「ミラー・ニューロンが興奮して、その行動自体が確固としたものに固定されていく」
という指摘に、どんな活動が当てはまりそうか列挙してみた。
 教室の音読、話す聞くスキル、暗唱、合唱、百玉そろばんの数唱、英会話のチャンツ、「いただきます」「おはようございます」「さようなら」、応援の掛け声、・・・
 みんなで声をそろえると一体感があって心地よい。
 みんなが同じ発声をすることで、ミラー・ニューロンの興奮を呼び起こしているということなのだろうか。
 上記の喃語(グジグジ)の復唱は、お母さんが乳幼児に「それでいいんだよ」のサインを送っているのだと思う。
 真似されてうれしいのは「承認欲求」も関係しているに違いない。

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改めて「ミラー・ニューロン」を学ぶ その2

「少しの努力で『できる子』をつくる」池田清彦(2011年10月初版)講談社文庫

 ミラーニューロンを活かすと、どんな教育が成り立つかを述べた箇所がある。p26-27
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◆お母さんが楽しそうな行動をして、それを子供がやりたがってミラー・ニューロンの回路が発達する、ということが非常に大事になってくるんです。それらの回路の発達はおそらく幼児期くらいまでに決まってしまうので、乳児幼児期の両親の関わり方は非常に重要になります。
 親が楽しそうに学んでいる様子を見ると「自分もやりたいな」と思って興奮してしまうような、そんなミラー・ニューロンの回路を発達させてやれるならば、それはとってもいいことでしょう? 
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・・・親や教師が笑顔で過ごすこと・なんでも楽しそうにやることの意義が、ミラー・ニューロンで説明できる。
 確かに、何をやるにしても「うわー、すげー面白い!」と先生が大袈裟に言うと、子供たちは「見せて見せて」とか「やらせて、やらせて」と寄ってくる。
 「周りの人間が楽しそうに見えた方が、ミラー・ニューロンは発達するでしょう」という指摘もあって、これも納得。
  楽しい「感情」が伝播するのと同じように、楽しそうにやっている「行動」も伝播していくのだ。
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改めて「ミラー・ニューロン」を学ぶ (1)

「少しの努力で『できる子』をつくる」池田清彦(2011年10月初版)講談社文庫

図書館で見つけた一冊。
「学ぶこととは、真似ることです」の章は、ミラーニューロンについて詳細に書いてある。
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◆「学ぶ」ということに関係する面白いニューロンがあります。高等な霊長類だけにある「ミラー・ニューロン」と呼ばれるニューロンです。
 これを発見したのは、サルの前頭葉の後ろのほうにある運動前野を調べていた研究者です。実験対象のサルの運動前野が興奮するとブザーが鳴る、という仕組みを作ってサルを観察していたのですが、これが一向になりません。飽きてしまった研究者がジェラートを舐め始めると、なんということか、途端にブザーがブーブーと鳴り始めたんです。研究者たちもこれにはびっくり。何が起きたんだってね。そこで、サルにもジェラートを1口食べさせてやったら、あろうことか、もっとブザーが鳴ったのです。
 つまりサルにとっては、 人が食べているのを見て興奮する神経と、自分が同じことをして興奮する神経とは同じだったんです。(中略)これこそが、ミラー・ニューロンです。高等なサルや人間などにしか存在しないんです。p25-26
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「人が食べているのを見て興奮する神経と、自分が同じことをして興奮する神経とは同じ」

・・・ミラー・ニューロンをこんなに明快に解説してもらえてスッキリした。
 共感する、追体験する、感情移入するというのも同じ意味合いなのだろうか。
 池田氏は、続けて卑近な具体例で説明する。
◆変な話になりますが、人間はポルノを見て興奮しますよね(笑)。これはミラー・ニューロンのおかげなんです。カミキリムシは、他のカミキリムシが交尾している様子を「見て」も興奮はしない。特殊なフェロモンを感じないかぎり、興奮しません。だけど人間は、自分がしたいんだと思うことを他人がやっている様子を見ると、興奮するんです。
・・・ポルノでなくても伝わるだろうけど、池田氏は刺激的な具体例で分かりやすさを演出している。
 「国語の授業で、文学作品の世界を追体験する・感情移入する」
 「道徳の授業で、登場人物と同じように喜怒哀楽の感情を抱く」
 「学級会で、『悪口を言われたら、どんな気持ちになるか』を考えさせる」
は、やはりミラーニューロンに関係するんだろうな。
ミラーニューロンの考察はさらに続きます。
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November 02, 2023

「7本指のピアニスト」と呼ばれる西川悟平さんのミニライブ

7本指のピアニスト」と呼ばれる西川悟平さん。東京パラリンピックの閉会式で演奏された方です。

何も知らずにたまたま聴いたのですが,ピアノ演奏もトークも感激の40分でした.

夢を追いかけること,あきらめないこと,夢に向かう道筋を明確にすることなどを学びました。

西川悟平さんを扱った「道徳ジャーナル」は2023年の1月号、「多様性特集号」

https://gakkokyoiku.gakken.co.jp/wp-content/uploads/2023/04/doutoku_journal116.pdf

 

今回、参加したミニライブ会場には、「ダイバーシテイ&インクルーシビテイ」の企業理念が掲げられていました。

 

イバーシティ(多様性): 人々の性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす考え方。

インクルージョン(包括・受容): これらの多様性を組織内で受け入れ、活用するプロセス。

 

教育の世界でも、よく使われる言葉ですが、改めてこの概念の大切さを実感しました。

 

 それとは別に、いろんな情報に触れること、たくさんの人と出会うことも大事だと学びました。

「えっ?、今まで、そんなことも知らなかったの?」と呆れられることが多々あります。

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何気ない口ぐせが子供をダメにする

川上康則氏の「教室マルトリートメント」を読んだ時、教室アルアルの毒語に納得した。
ただ、こういう毒語は前も聞いたことがあったなと思って気になっていた。
かすかな記憶を頼りに、市の図書館で探してみた。
「男の子を追いつめるお母さんの口ぐせ」金盛浦子(静山社文庫)2009年初版
心理カウンセラーの著書だ。
「男の子を追い詰める」とあるが、内容は決して「男の子」に限らない。
大人の毒語が56個列挙されている。
何気ない口ぐせが子供をダメにする、子供を傷つける例
幼児期編
うるさいわね、もうすこし静かにできないの。
やめなさいって、何度言ったらわかるの。
なにグズグズしてるの、早くしなさい。
そうやって、いつまでも泣いていなさい
小学校編
言いたいことがあるならハッキリ言いなさい。
お母さんはもう知らないから、勝手にしなさい。
どうせできっこないわ、あなたっていつもそうだから。
中学校編
お母さん、がっかりだわ。
偉そうに。
高校生編
あきらめなさい。
そんなことじゃ、受験に失敗するわよ。

・・・自分がセレクトした言葉は「見捨てる」タイプが多い。
そういう言葉に気をつけたいと思うからだろう。
子どもは親(教師)見捨てられたら、絶望しかない。
以下のページも、納得だ。長文だが全文引用。
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なぜ「聞かない子」に育ってしまうの?
たとえば子どもに向けての、
「何度言ったらわかるの」
という言葉について考えてみましょう。
つまり、これは親が何度も同じことを子どもに言っているから出てくる言葉ですね。そして、何度言っても聞いてくれない。
どうして聞いてくれないのか、考えたことはありますか?
そうです。まさに何度も同じことを言っているから、子どもは言うことを聞いてくれないのです。
子どもにとっては、お母さんの言葉が風や雨の音と同じになってしまうのです。 これではインパクトがありませんね。
親のほうも同じことで、ただ自分の腹立ちをぶつけるために言葉を投げつけているだけ。
これではコミュニケーションが成立しませんし、親のほうだって本当に言うことを聞かせたいと思っているのかどうか、いささかあやしくなってきます。
それだけならまだしも、親の口ぐせが子どもの心を傷つけてしまうことだって少なくありません。
こうなると、子どもはますます親に反発するようになり、すると親からの攻撃もさらにエスカレートしてしまいます。
毎日、何度も「あ~あ」と溜息をつき、「どうしてこんなにいやなことばかりなんだろう」といった言葉が口ぐせになっている人を見て、あなたは快く感じますか? もちろん心地よくないですよね。
こうした口ぐせは、まわりの人を不快にし、人を遠ざける結果をもたらします。
もちろん口にしている本人だって愉快なはずがありません。自分の中から出てくる不快な言葉が、さらに自分を不快にし、その人のパワーを殺いでしまいます。
「どうしてこんなにいやなことばかり」と嘆きたくなる状況を、自分自身で作り出しているのです。
そうだとしたら、自分をどんどん幸せにしてくれる言葉を口ぐせにしたいものです。
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・・・強い言葉で子供を制御する先生に出会うと、こっちまで苦しくなる。
自分もそういうところあるかなという危惧もあるし、こんな言い方ではいずれ子供が離れてしまうと思えるからだ。
負の言葉は自分をマイナスにし、周囲もマイナスに追い込む。
何度も同じことを言っているから、子どもは言うことを聞いてくれないのです。
という言葉を噛みしめねば。
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