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January 07, 2024

「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その6)

~向山洋一氏の国語実践の整理~

たくさんの用例を列挙させ分類させ、法則性を見つけさせる授業がある。
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A:ノートに「かける」の短い文をいっぱい書く。一文ごとに番号を打つ。
B:黒板に用例を発表させ、書いていない用例はノートにうつさせる。
C:不要な用例を省き、同じものをまとめる。まとまりごとの意味を考える。
D:自分の考えを板書する。最も悪い例を1つ選び検討する。
E:グループに分類し、どういう集合を作ったらいいか相談して、4つの分類を残す。
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・・・用例を列挙し、分析・集合・比較・対応する活動は、「対比される言葉をたくさん集め、分類し、意味づけして、主題に迫る授業」などにも応用が可能である。
 探究型のシンキングサイクル「課題の設定ー情報の収集ー整理・分析ーまとめー説明・発表」の流れと重なっている。
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この後「わからない言葉」「わかったようであいまいな言葉」に出会うと、用例を次々とあげ、それを分類する方法をつかうようになった。
これは、一見まどろっこしい方法である。だが、自分の身につけている知識を総動員して考えていく方法は「辞書を引く」技法と共に、有力な学習方法・解決方法なのである
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 「知識を総動員して考えていく方法」は重要な指摘だ。
 いくら自由な発想を尊重するといっても、でたらめの列挙では意味がないからだ。
 『大造じいさんとガン』の問題作りも、問題数だけでなく、その質の高さが評価された。
 教え子の名取伸子さんは、後に「子ども達が黒板に書いてみんなで検討する、という授業が印象に残っています」と回想している。
 個人思考と集団思考(ブレーンストーミング)の見事な組み合わせ(対話的で深い学び)が、成果を上げていることが分かる。
 分析批評の実践は、緻密な論理で正しい解を導く分析的な授業と、多様な解釈(批評文)を創り出す拡散的な授業の融合で、まさに「探究的な思考」の発揮の場になっている。
 「視点・話者」のように文章を正しく読めば確実に1つの読み方に導かれる場合と、自分なりの根拠があれば多様に解釈できる場合の両者を混乱なく指導している。
 圧巻は向山学級の「やまなし」の評論文で、主題や主調色について、それぞれが論を立てて主張を繰り広げている。
 たった1つの解釈に収束するのではなく、自分の仮説を検証・立証する形で評論文が展開されていることは、今なお先進的である。
 例えば「やまなし」の主題は各自各様であったとして、
◆「死ぬために生きる」
◆「死んで天国・地獄に行く」
◆「動物と植物の生存競争」
◆「死は前ぶれもなく訪れる」
◆「人間には人間だけの生き方がある」
◆「死した者もまた生ある者と同じく命あり、死してより美しく生ある者の心によみがえる」
などが紹介されている。
 同じ文章を根拠にしながら、これほど多様な解釈が出るのは、教師が自分の望む方向に誘導していないからだ。
 これに関して向山氏は、「『赤んぼの手をひねるような』、『全体主義的押しつけ』はしてはならない」と述べている。
 子どもの自由な発想を知的存在として認める姿勢が、さらに子ども達の豊かな発想を育てていることが分かる。
 また次のような、発問・指示も、発想力を発揮する格好の授業になっている。拡散的思考を促していると言ってもいい。
 
◆野も山も◯◯も◯◯も としたら、◯◯にはどんな言葉が入りますか?
◆「私は教室の窓から外をながめていました」の次に一文を加えなさい。
◆「冷たい雪」と書くこともできたが、どうして「まっ白い雪」と表現したのだろう?
「雪は今ふっていますか。やんでいますか?」のような「AorB」の収束型発問も、発想を広げている。

「雪は今ふっている」とイメージしている子は「ふっていない」という新たなイメージを提示されて、比較検討する必要に迫られるからだ。
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