記憶は「失敗」と「繰り返し」によって形成され強化される
「最新脳科学が教える高校生の勉強法」池谷裕二著(東進ブックス)
「4-2 失敗にめげない前向きな姿勢が大切」の章に以下のような解説がある。
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ひとつの成功を導き出すためには、それだけ多くの失敗が必要なのです。こうした数多くの失敗がなければ正しい記憶はできません。「失敗しない人は常に何事もなしえない」(フェルブス)との言葉通り、記憶とは「失敗」と「繰り返し」によって形成され強化されるものなのです。
皆さんの勉強に関してもまったく同じ事は言えます。繰り返すこと、つまり「復習」が大切だということはすでに述べましたが、それと同時に「失敗」することもまた重要なのです。つまり問題を解き間違えたり、ケアレスミスをしたり、テストで悪い点数を取ったりすることです。 (中略)失敗数が多ければ多いほど記憶は正確で確実なものになっていきます。偶然が重なって、たまたまテストでよい点数を取ったとしても、それはあなたにとって何の得にもなりません。
ですから、もし皆さんがテストで悪い点数を取ってしまったとしても、クヨクヨする必要など全くありません。それは損したというよりも、むしろ得したと思い直すことです。 ただし、最悪のケースは、失敗したことを次回にどう活かすかを考えない人です。失敗したら、なぜ失敗したのかに疑問を持ってその原因を解明しその解決策を考えることが肝心です。p95、96
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・・・失敗という強いエピソードがあるから、恥ずかしい思いや悔しい思いをした分だけ強く記憶に残るということもあるだろうか。
脳科学者の中野信子氏は「語学の習得はトライ&エラーなので、失敗を恐れる人には、不利な科目かも・・」と語っている。
「適度に緊張しないと、いい結果が出ない」は、スポーツの世界によくあることで、リラックスすればよいというものでもない。
緊張する場をいくつ踏んだかは、成長の差になって現れる。大舞台を経験すると自信と風格が備わってくる。
「恥ずかしい」「あきらめる」「チャレンジしない」 では、いつまでたっても上達しない。
池谷氏の指摘は「記憶」に関するものだが、「数多くの失敗がなければ成長はできません」というのが実感だ。
参考 池谷氏の講演記録 https://www.toshin.com/mirai/top_leader/article/202108/index.php
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