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March 07, 2024

具体例を書いて、主張を補強する

説明文の意見文・物語の感想のいずれにおいても、何かを書かせる時に2つの方向で取り組ませてきた。

①立場をはっきりさせて、理由を書かせる。

②自分の経験や、作品の関連した話題・作品から広がる自分の世界を書かせる。

 

①の理由を書かせるのは、論理的思考の基本だからだ。

学力N01のフィンランドの国語の授業は「ミクシ(なぜ?)」に答えられることを重視している。

②はフィンランドの国語の3段階で言うところの、推論(評価)読解レベルの取り組みを意識してのものである。

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素材文に含まれる情報と自分の知識や経験を関連づけ独自の結論を推論できる段階。

内容を踏まえた自分の意見や物語の続きの推論を書く。
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 「自分の知識や体験と結びつけて文章を書く」というのは、優秀な読書感想文も同じである。

 読書感想文の基本形は、その本を読んだことによって触発された自分の体験談などを書いていくものだが、あまり離れると感想文でなくなってしまうので、このバランスが難しい。

 さて、中1の説明文「ちょっと立ち止まって」の自分の実践記録が出てきた。

 この説明文は、本文中に「このような例はほかにもあるだろう」と生活経験を想起する呼びかけがある。

 言われるほど、このような例はあまりないと私は思う。

 そこで、その筆者の呼びかけに応えるように、身近な生活例を想起させた。

◆「ちょっと立ち止まって」の作文シート

 今回の目標
①自分の思いつく例を紹介する

②「次のように~」で予告し、「このように~」でまとめる。

※複数の意見がある人は、「○つあります。1つめは~、2つめは~」の形でまとめてみましょう。

1 「ちょっと立ち止まって」から思いつく例を紹介しよう。

【書き方の例】
 「ちょっと立ち止まって」(の○段落の、○○の部分)を読んで、次のような例を思い出しました。
 →具体的な例
 →その例に対する感想や意見(複数あれば、1つめは~、2つめは~と続ける)
 このように具体例で考えると、筆者の○○という意見がよく理解できました。

2 例が思いつかない人は「ちょっと立ち止まって」を読んでの感想を書こう。

【書き方の例】
 「ちょっと立ち止まって」(の○段落の、○○の部分)を読んで、次のような感想を持ちました。
 →感想を書く(複数あれば、1つめは~、2つめは~と続ける)
 「ちょっと立ち止まって」を読んでこのような感想を持ちました。


◆◆生徒の作品例① (意図的な改行あり)。

 「ちょっと立ち止まって」の授業をした後、このようなことがありました。

 私の筆箱にはパンダが口を空けた絵がついています。その筆箱を「かわいいでしょ」と言っていたら友達が「私は、この口を開けてるっていうのが見えないんだけど」と言いました。

 みんな驚いていると 「これが、たらこくちびるび見える」と言いました。

 じーっとその絵を見ていたら、見事にたらこくちびるに見え、みんな大爆笑でした。

 この時、私は授業を思い出して、おばあさんと若い女性の絵の例に似ていると思いました。

 それまでは教科書を読んでも「日常にそんなことはない」とか「この絵はわざとそう作ったからだ」と思っていましたが、そのことが起こってから少し教科書の意味が分かり、そして人の見方でこんなに違うだと思いました。

 やはり筆者の言っていた「新しい発見」はあるのだと思いました。

◆◆生徒の作品例② (意図的な改行あり)

 「ちょっと立ち止まって」を読んでから、私は物事に対してちょっと立ち止まってみるようにしている。

 例えば、中部中にいる魚。魚って、ちょっとマンガに出てくるような「おさかなさん」をイメージしてた。

 「かわいい~」と寄っていって初めてまともに魚の顔を見た。

 すると・・。

 お世辞にも「可愛い顔」には見えない。愛敬はあるけど。

 でも、この話に書いてあるように、初めの印象はなかなか消せるもんじゃない。私はあの可愛い魚を毎日見ている。

 あと、通学路の途中にある、壁に描いてある四季の絵。あれは大作だ。 今まで何気なく素通りしていたけど、この前じっくり見てみた。
 あっ、セミがおしっこをしながら飛んでる!

 雪だるまに手と足が生えている!!。

 ちょっとした工夫が面白い。

 それを探すのが楽しくてまた学校へ行く楽しみが増えた。

 まさに私は「新しい発見の喜び」を味わったのだ。

 これからも、ちょっと立ち止まってじっくり見たり考えたりしてみようと思う。

 何気ない事だけど、私はそれで感動を味わうことができてうれしかったから。


・・・「ちょっと立ち止まって」という文章を読むということは、

(1)読み終わった後、実際の生活の中で、自分もちょっと立ち止まって新しい発見の喜びを得てみようという気になることであり、

(2)実際にそのような喜びを味わってみることである。

 今回、身近な事例と重ねる契機として、作文を書かせてみた。

 作文を書かせなかったら、生徒は自分の生活をちょっと立ち止まってみることもなく、新しい発見の喜びを味わうこともなく過ぎてしまったかもしれない。

 というわけで、このように自己と結びつける読みは、物語文でも説明文でも大切な思考作業であると考えている。

 ちまたのエッセイも、ある出来事の紹介と、そのコメントを書きつづるというスタイルが圧倒的で、ある出来事に触発された自分の意見表明が基本であると言える。

 ただし、身近な生活例と関連づける思考作業はかなり難しい。

 フィンランドでも3段階目になっていることからもその難易度が分かる。

  だから、「理由を述べる」「自分の体験と結びつける」の2つの「書く」を、無理なく取り組ませていきたいと思っている。

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