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May 11, 2024

「スーホの白い馬」の授業改善

ある先生の授業を参観した際の感想を元に、どんな授業が仮想QAを加えながら考えてみた。

Q:本時の最初にみんなで一文交代読みを行ったのはよかったですか?
A:よかったです。

冒頭で「音読」をさせることは、効果的。

本時の関係部分の読みを省略して内容の読み取りを始めるクラスがあるが、読みは大事。

特に音読。読みが足らない子は、先生の問いに即答できるほどに内容を覚えていない。

そもそも暗記した知識を問うているわけではないから、本時の冒頭で子供のスタートラインを揃えておくとよい。

 

Q: 目当ての設定で迷っています。どんな課題がよかったでしょうか?

A:板書に書いた課題が長かった。

「白馬がにげ出しスーホのところにもどってきたところのスーホと白馬のようすを考えよう」は長い。

文末に 「考えよう」とあるが、これでは行動目標としてあいまいである。

学習課題は、もっと具体的であるべきだ。そしてルーブリックで規準を示すべきだ。

授業を見ていて、本時でやりたかったのは次のことだったと推察した。

スーホと白馬の行動と心情を整理して、感想を書こう。

白馬が死ぬまでの行動を順に整理して、感想を書こう。

 

Q:最後に感想を書かしたら、「かわいそう」ばかりになってしまいました。どうしたらよかったでしょうか?

A:そりゃ、そうだ。白馬が死んでしまうこの場面の読後感が「かわいそう」になるのは自然。

だから、「どこがどうかわいそうなのか」「なぜかわいそうなのか」をきちんと書かせて合格にする。

そこまで書けていない一言感想は合格にしないという教師の強い意志が大事。

もちろん、自分では表現を思いつかない子もいるだろうから、相互共有して真似させればよい。

ここで「なぜ、そこまでして白馬は戻ってきたのだろう」と問うたところで「スーホが大好きだから」 ぐらいが出るだけで、深まることはなさそう。

 

Q:ストーリーに沿って白馬の気持ちを聞いたら、どこも「早くスーホーに会いたい」でした。どうしたらよかったでしょうか?

A:そりゃ、そうだ。白馬は命懸けでスーホーに会おうとしたのだから、「早く会いたい」は当然。

◆おそろしいいきおいではねあがった。
◆風のようにかけた。
◆矢がささっても、走り続けた。

と、どの部分も「スーホに会いたい」になってしまう。

逆に言うと、

今日読んだ場面で、白馬が「はやくスーホに会いたい」という白馬の気持ちが伝わってくる部分を3か所以上抜き出してみよう、

と問えば、 どの子も「探す」活動に集中できる。

Q:白馬の気持ちを聞いているのに、「かわいそう」と反応した子がいて、ダメ出しをしてしまいました。どうすればよかったでしょうか?
A:これは、西郷文芸学で言うところの「内の目(同化)」と「外の目(異化)」の混同。
「白馬はどんな気持ちか」を考えるのは、作中人物への同化体験。なりきり体験。

「そんな白馬の様子を読んで、あなたはどんな気持ちか」を考えるのは、人物への異化体験。一歩離れた所から見る体験。

 この2つの「どんな気持ち」の区別は、とても大切。「良い間違えだね」と確認するいいチャンスだった。

 

Q:挙手指名発表の流れで、よかったでしょうか?
A:T-C繰り返しの授業だった。

書いてあることを確認する簡単な問いだから元気よく子供たちは答えたがる。

しかし、問いに広がりがないので、T-C の一問一答の授業になった。

◆先生の大きな問いに、多様なC が出る授業。

◆子ども同士の C で議論される授業。

というように子供の発言で回る授業があってもいい。

授業中の発言の大半を子供に譲り、教師の出番を減らしていけないだろうか。

◆一斉授業ではなく

・ペアで意見交換する ・ホワイトボードを使って話し合う ・付箋を使って話し合う

◆先生が説明するだけでなく
・生徒が説明する ・立場を決めて議論する ・ポスターなどを作成して発表する 

平成27年教育課程部会国語ワーキンググループ資料10 「国語科に関する資料」より

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/068/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/11/1365189_1.pdf

 

なお、板書を写すことを目的としたノートづくりも、受け身になりやすいので注意したい。

先生自身が、板書に子供の意見をまとめて満足しても困る。

板書は子供が思考する方向(きっかけ)を示すものであってほしい。

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◆ 「ノートは自分の考えを書くもの」という価値観を提示する。考えを書いたノートを提示し、「自分の考えを書くもの」という発想を引き出すようにする。

◆ 板書をそのまま写しているだけでは、子供たちの力は伸びない。また、話し合いの時に教師がまとめている板書を写すだけに精一杯で、発表しないのなら本末転倒である。板書内容から自分なりのノートを作るようにしたい。

「新版学力のつくノート指導のコツ」佐藤正寿著(学陽書房)2013

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