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May 06, 2024

穴埋めプリントのデメリット

 キーワードだけを残すのは、読み取りに必要な能力だ。

 しかし、新井紀子氏はキーワードだけを残す思考に警鐘を鳴らしている。

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プリント学習は「AI読み」助長する。「徳川家光」と言ったら「参勤交代」「鎖国」とキーワードが出てくるがそれはAIでもできる。
鎖国のときになぜオランダを除いたのか当時の情勢はどうだったのかを考えることがないと、AIには勝てない。

「週刊東洋経済」2019年10月号 p57

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 論理的思考力を鍛える「証明問題」に穴埋め式を持ち込んだことを、芳沢光雄氏は厳しく批判している。

 論点は同じだ。

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 日本の中学校での証明教育の実情はまことに惨憺たる状況である。昭和40年代と比べると、現行(2002年度学習指導要領改訂)の中学校数学教科書の証明問題数は3分の1になってしまった。
 挙句の果てに「証明の全文を中学生に書かせるのはかわいそうだし、試験に出しても点が取れない」などと、同情して、なんと「三角形」だの「平行」だのという単語だけを穴埋め式に書かせるという、まったく日本固有の異常な教育があちこちの中学校で行われているのである

「数学的思考法〜説明力を鍛えるヒント」
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 穴埋めプリントで整理することにメリットはあるだろう。

 しかし、穴埋めで満足していては、思考力は育てられない。

 新井紀子氏は「機能語」という言葉を使って、次のように述べている。

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「教科書が読めてない子がたくさんいる、ということです。文章を読んでいるようで、実はちゃんと読んでいない。キーワードをポンポンポンと拾っているんです。○○と○○と○○という言葉が出てきたら、こんなもんだろう、というような。『……のうち』とか『……の時』『……以外』といった機能語が正確に読めていない。実は、それはAIの読み方に近いんです。

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 キーワードだけにこだわると、細かな語を見過ごしてしまう。集合でいうところの「かつ」「または」「全ての」などの概念をおろそかにすると、法規や契約書では大変なことになる。致命的だとも言える。

①「でない」②「かつ」③「または」④「ならば」⑤「同値」⑥「満たす、存在する」⑦「全ての」

 新井紀子氏は『数学は言葉』の中で、数学で用いられる基本的な論理結合子は次の7種類で、他の論理結合子は、この7種類を組み合わせれば表現できるという。

 穴埋めのキーワードの外にある助詞や助動詞、修飾語(機能語・論理結合子)をふまえてキーワードを理解しないと、真の理解にはならない。

 

書棚から新井紀子氏の「AI VS 教科書が読めない子どもたち」を引っ張り出して確認した。

◆小学校のうちからデジタルドリルに励んで、「勉強した気分」になり、テストでいい点数を取ってしまうと、それが成功体験になってしまって、読解力が不足していることに気づきにくくなります。中学校に入ってもデジタルドリルを繰り返せば、1次方程式のテストで満点が取れて、英単語や漢字は身につきますから、そこそこの成績は取れるはずです。ところが、受験勉強に向かい始める中学3年生になると、なぜか成績が下がってしまう。
 本人は薄々気づいているはずです。「なんだか学校の先生が言っていることがわからない」、「教科書は読んでもわからない」・・・。けれども、どうしてよいかわかりません。だから余計にデジタルドリルに没頭してしまいます。
 東ロボくんに散々「ドリル」をさせた私は自信を持って言います。読解力を身につけない限り、そこから先の成績は伸びません。
(中略)
 問題文に出てくる数字を使ってとりあえずなんらかの式に入れて「当てようと」してしまう。なぜそんなことをしてしまうのか?フレームを決めざるを得ないデジタル教材の最も効率の良い解き方だからです。(p230/231)

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