視点の再考(8) ~視点人物の存在~
「漫画版 君たちはどう生きるか」に次のコマがある。自分が宙に浮いて、人々を見ているシーン。
神のような視点(三人称全知視点)で、すべての人の心を読み取る場合は、こんな感じになる。
ただし、このコマは
◆「上空にいる人物」を見ている別の視点人物が存在するという構造になっている。
この場面が一人称視点で描かれていて、話者の見ている世界だけを取り出すなら、地上の人と車だけの絵になる。
場面図を書いて、話者(視点人物)まで入れてしまうと、
◆話者を見ている「誰か」が存在するという構造になる。
三人称視点の作品ならそれでもいいが、一人称視点の作品の場合だと、今まで書いてきたように少し補足が必要になる。
「大造じいさんとガン」は、もともと三人称視点の作品だから、挿絵にじいさんが含まれてもかまわない。
ただし、クライマックスシーンは、大造じいさんの視点で残雪を語っているので、挿絵にじいさんまで入れてしまうと、それは、ちょっとどうかなということになる。
「カレーライス」(6年光村)は、「ぼく」が語る一人称視点の作品なので、その挿絵に「ぼく」が入ると、ちょっとどうかなということになる。
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