« July 2024 | Main | September 2024 »

August 30, 2024

一斉授業より個別指導の方が徹底管理される?

◆武田塾は「授業をしない」個別指導塾として知られています。徹底管理の学習方法が特徴で、生徒一人ひとりに専任の担当者がつき、学習計画の立案から進捗確認まで細かくサポートします¹²。

 具体的には、毎週の宿題ペース管理や確認テスト、個別指導がセットになっており、学習の質と量を確保するために毎日記録をつけ、定期的に学習状況をチェックします³⁴。これにより、生徒が自分の学習の成果を実感しやすくなり、効率的に成績を上げることができます⁴。

 ソース: Copilot との会話、 2024/8/30

(1) 日本初!授業をしない。武田塾|徹底管理の個別指導塾. https://www.takeda.tv/.

(2) 武田塾徹底管理の個別指導塾. http://takeda-smartstudy.com/.

(3) 武田塾の指導方法徹底解説!成績アップの秘密に迫る .... https://www.takeda.tv/sakado/blog/post-276360/.

(4) コース案内 - 武田塾. https://www.takeda.tv/course/.

(5) 【武田塾の主要コース】個別管理特訓SLについて徹底解説‼. https://www.takeda.tv/nagaoka/blog/post-265154/.

 

世の中的には、一斉授業は管理的で、個別授業の方が自由なイメージがある。

甘かったなー。

一斉授業をしない指導は自主性を重んじる「自由の気風」があるのかと思ったら「真逆」だった。

徹底管理が武田塾のアピールポイント。別のサイトでは「もともと自習できる力があるなら武田塾に行く必要はない」とも書いてあった。

自学自習のペースがしっかり管理され、確認テストで成果が出るかどうかが厳しく問われ、点数が低ければ指導を受けることになっている。

本人に、自主的な学習態度が身につくかどうかは別問題。

繰り返しになるが、下記の部分は驚愕だった。

◆毎週の宿題ペース管理や確認テスト、個別指導がセットになっており、学習の質と量を確保するために毎日記録をつけ、定期的に学習状況をチェックします³⁴。これにより、生徒が自分の学習の成果を実感しやすくなり、効率的に成績を上げることができます⁴。

そりゃあそうだ。

成績を上げるために授業料を払っているのだ。授業料は、自習教室を提供するだけの金額ではない。

武田塾は塾の世界における「ライザップ」という書きこみもあった。

確かに、ライザップのように高い費用を払って徹底管理されないと、「幽霊会員」にとどまってしまうのが世の常だ。

一斉授業では自分事として取り組めない人は徹底管理されないと成果は上がりませんよ、というのが「武田塾」の現実的な提案だ。

「勉強は自学自習が最強」と口当たりのいいことを言って、学習者本人に任せているだけでは成果は出ない。

 

武田塾に比べて、学校における「個別最適学習」は、きわめて緩い。

人は弱くて流されやすい。怠けやすいし楽したい。

性善説に立って放置するだけでは、結果はコミットできない。

(「結果をコミットする」とは、結果を出すことにきちんと責任をとるという意味)。

かといって、徹底した個別管理が学校で可能かとは誰も思わない。難しいところだ。

Photo_20240830153801

| | Comments (0)

August 29, 2024

「学習評価」は大丈夫か?

「今求められる学習評価」という市川伸一氏の論稿が出されたのは、20211月。

新しい学習指導要領のもとで、「評価の3観点」は正しく機能しているだろうか。

例えば、従来の「知識・理解」が「知識・技能」に変わったことで、学校現場は何か意識改善が起こっただろうか。

======================

 まず,「知識・技能」はあまり変わっていないといわれますが,評価の方法に目を向けてもらうと,そうではないことが分かると思います。「知識・技能」とは,まる暗記で対応できるペーパーテストで評価するような,断片的な知識だけではなく,記述式問題や実演などを通して,知識どうしが関連づいた状態,例えば原因や理由などの理解を伴った知識を評

価することが求められています。算数・数学であれば,公式を暗記するだけでなく,その公式がどうやってできてきたかや,他の公式との関係まで理解する。歴史であれば,年号を覚えるだけでなく,その出来事が起きた原因や影響など全体の流れまで理解する。従来よりも,知識の高度化が求められているともいえます。先生にしてみると記述式問題は採点がたいへんです。大学入試でも,ついついおろそかにされてしまいます。だからこそ,定期テストなどの機会に学校できちんと評価することを,「知識・技能」では求めています。

☆東京書籍「教師の窓」2021年1月号、市川真一氏の論稿

 https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/ten_download/2021/2021017255.htm

====================================

 覚えるだけでは「知識・技能」ではない。

 記述問題だから「思考・判断・表現」というわけではない。

 国語にいたっては「知識・技能」に「情報の扱い方」が含まれることになった。

===================

◆話や文章に含まれている情報を取り出して整理したり、その関係を捉えたりすることが、話や文章を正確に理解することにつながり、また、自分のもつ情報を整理して、その関係を分かりやすく明確にすることが、話や文章で適切に表現することにつながるため、このような情報の扱い方に関する「知識及び技能」は国語科において育成すべき重要な資質・能力の一つである。

 指導要領解説(国語編)P23

========================

・・・国語の市販テストのおもては読み取りだから「思考」、裏は漢字や語句だから「知識・技能」という配点では、指導要領の意図に沿っていないのだ。

Photo_20240829082701

| | Comments (0)

August 28, 2024

模擬授業検討会の覚書

2009年 井上好文先生からの学び

(1)授業開始直後、プリントを出す場面で混乱があった。指示されたプリントを多くの先生が探せなかったのだ。
 見つからない人がいるという前提があれば、予備のプリントを持って黙って渡すという手も打てる。
(2)プリントが出せた人に「出せました」と言わせるなら、「見つからない人は手を挙げなさい」というフォローも想定できる(叱責ではなく、フォロー)。
(3)教室で「教科書P60」と指示するなら「忘れた人は手を挙げなさい」も想定できる(これも叱責ではなく、フォロー)。
(4)「教科書  P60  2番」
  この一文にわずかな間を入れるのは、本来「教科書を出しーP60を開きー2番に注目する」の3つの行動を含んでいるからだ。
 「一時に一事」の指示の原則を知り、なおかつ、この場合は3つの指示内容を含んでいると分かっていれば、わずかな間を置いて3分割して言える。
(5)「教科書  P60  2番」
  SHOW-TELL が原則だから、教科書やプリントを見せながら話す。
  見せながら話すから「視覚優位」の子にも対応できる。
(6)SHOWしてからTELLをする。このコンマ数秒の時間差が大事である。
(7)全員起立させての本読みなどは、全体の空気がよどんでいるなら行うのもいい。
しかし、そうでないならやる必要もない。なぜやるのかの意味が大事。
(8)「できた人は○をつけておきなさい」という指示を出すなら、「できていない人はどうするんですか?」
 「確認の原則」「全員の原則」で言えば、「できた人は○」と指示すると同時に「できていない人は写します」を想定する必要がある。
 実際は確認を怠って、できていない子への対応を見落としてしまうが、「ほぼ大丈夫」に当てはまらない数人の子から授業は崩れる。
 細心の配慮をするというのは、さまざまな可能性を想定して手を打っておくことだ。
 
(9)「できました」は、高学年や中学生は言わない。
 言わない子が多いと分かっているなら最初から言わせなければいい。
 言わせるなら全員にきちんと言わせないと「教師の指示は守っても守らなくてもいい」と教えることになってしまう。
 TOSSでよく見かける行為だからと形式的に取り入れても意味がない。
 実際の授業はTOSSの模擬授業のようにスムーズには進まない。
 空虚な褒め言葉・なんとなくの机間巡視は、授業行為の意味が意識されていない証拠。
 すべての授業行為に「意味」を持たせる必要がある。
(8)「早い」「よくできました」「賢いね」などの褒め言葉は時間調整である。
 「できていない子を叱るのではなく、できている子をほめる」
 「できている子を褒めるのは、できていない子がやり終えるまでの時間調整」。
(9)教師が教材文を覚えるのは自慢するためではない。
 教材文を覚えれば、それだけ子どもに目を配ることができるから。
 大事なのは子どもに目を配ること。
 黒板に書く・教科書を読む・1人の子の指導をする、といった場面で、いかに他の子の様子に目を配れるかが、教師の力量。
 せっかく教材文を覚えても、子どもに目を配っていないなら何の意味もない。
(10)舘野校長先生の学校の公開研究で、椿原先生が授業されたときのことを思い出した。
 子どものノートを次々に見ながらの「よし!」「そうか!」という言葉が印象的だった。
 「よし!」の「し」、「そうか(よくがんばった!)」の「か」の部分がささやくような無声音だったからだ。
 ささやかれる方が、集中する。
 無声音を有効に使える方が、対応力があるのだと勝手に思っている。
(11)これまで、授業開始の15秒のポイントは「インパクト」だと思っていた。
 しかし全く逆、基本は「低刺激」。
(12)だから、いくら高学年や中学生相手の授業でも、丁寧な授業を組み立てなければいけない。それが「易から難」の展開だ。
(13)授業開始前から授業は始まっている。
 大事なポイントは、チャイムが鳴ったと同時に授業を始めるための「逆算」の思考。
 担任ならば、前の授業の終了時に次の時間の用意を出させてから放課にする。
(14)専科の場合は早めに教室に行って準備を促す。
 いつも準備の遅い子がいる。
 いると分かっているのなら、手を打てばいい。
 黒板を写すのが難しい子のノートには放課中にあらかじめ書き写せるように伝えておくという方法もある。
 授業開始前に「所持物」の確認をしておくから、全員参加の授業が可能になる。
 授業開始前から「確認の原則」も「個別評定の原則」も始まっている。
 そして「褒める」行為=「激励の原則」も始まっている。

| | Comments (0)

ICT活用で「他者参照」が容易になった

「今日の授業の感想を書きなさい」「振り返りを書きなさい」で終わる教室が多い。
 個々の感想を発表させる場面が設定されていたら
「そうか、そんな考え方もあるんだ」
「自分の考えより、友達の考え方の方がいいな」
など、人によって異なる感じ方や考え方に触れることで、自分をさらに高めることができる。
 これが「子ども同士の相互作用」
 目新しい主張ではない。「討論」は、子ども同士の発言が互いの思考を深め高める作用を持つ典型例だ。
「話し合い活動」は、このような相互作用の意義があるので、各教科においても「友達の意見から学ぶ」場面が設定されている。
 友達の意見から学ぶ機会が設定されない授業なら、個別学習でいいことになる。
 学校が集団で授業を受けていることの意義は、この互いの相互作用(対話的な学び)にあるといっても過言ではない。
 だから、いくら価値のある授業であっても、感想や振り返りを交流させることもなく終えてしまうとしたら、それはもったいないと思う。
 向山学級の子どもたちが、教師からの学び・教材からの学びだけでなく、相互交流からも多く学びとって成長していたことは間違いない。
 むろん「相互作用」は、たった1つの正解を志向する授業では成立しないから、まずは大前提として、多様な思考を促す授業の確立が必要である。
 それに、いくら「話し合い」の場面を設定しても
・自分の意見を言いたいだけ・言いっぱなし
・「人は人、自分は自分」とばかりに、意見が多様に分かれても自分の意見と照合しない
では意味がない。
 また
「○○さんの意見を聞いて、思いついたことがあります。それは~」
「確かに○○さんの意見もいいと思うんだけど自分は~」
「○○さんの意見を聞いて、意見を変えます」
「○○さんと△△さんの意見を聞いて、合体すればいいと思いました」
のように、きちんと前の人の意見を受けた言い方をさせる訓練が必要になる。
 要するに「聞く・話す」の指導が欠かせないのだ。
 これらの指導は全教科で取り組まないと成果は出ない。
 かつての自分の図工の授業の鑑賞活動は、各自がプリント記入して回収して終わりだった。それでは相互批評の場がないから×である。
 国語のまとめの時間も、作文を書いて終わりが多かったが、本当は、各自がどんな感想を書いたかを交流する場がないと×である。
 指導書にも教育課程にもそのような感想発表の場が設定してあるが、どうしても時間切れになってしまう。
 中学校勤務の時、国語の授業も道徳の授業も、各自の感想記入で終わることが多かった。
 いい意見を、あとでまとめて印刷配布することはあったが、発表の時間を設けることが難しかった。
 発表する側も聞き取れる声で伝えることが難しいし、そもそも自分の本音の詰まった感想を発表を嫌がる子が多かった。要するに「聞く・話す」の指導が成り立っていないから、発表による相互作用の効果など期待のしようもなかったのだ。
 でも、本当は、それでは、相互交流・学び合いは得られない。大きな損失であった。
 だからこそ・・・
 現在、ICTを使って、自他の意見を瞬時に交流できることの意義は大きい。
 何を書いて分からないか戸惑っている子は参考にすればいい。
 自分の意見を書いて時間がある子は他の子の意見を聞いて書き足せばいい。
 (先生の許可があるなら)、時間切れでノートを回収ではなく、納得するまで書けばいい。
9439e37867fb4b1ea6de3734d64905ab



| | Comments (0)

August 27, 2024

「物のかぞえかた」の覚書

(1)数助詞・助数詞

例えば、日本では人の数は「5人」で、「5本」とは言いません。

ところが英語では人でも鉛筆でもfiveです。

そしてfive pencils (5の鉛筆)とは言っても「5本の鉛筆」と、わざわざ「本」を付けません。

数助詞は、日中韓越及び東南アジアでがよく発達しており、分類毎に数え方を変える方式はこの地域の他に南北アメリカ大陸の西側の原住民に共通である。この事から数助詞の発達は環太平洋地域の特徴といえます。

日本語ではこの種類の語が非常に発達しており約500種類もの数が存在するが、今日では意識される事が少なくなりつつあり、「個」、「匹」(動物)、「本」(細長いもの)、「枚」(平たいもの)等の多数の語に充てられる助数詞を使う事が多くなっています。

日本人なら自然に区別できる数助詞ですが、海外留学生には理解が難しく、留学生に対するある日本語指導の業者は次のようにPRしています。

「日本語の基礎を教えます。まずは、あいさつ、数の数え方、日常会話などお教えします!」

  この数助詞は、日常における言語環境の整備が大切で、言葉を大切に育っていないと、数助詞の区別ができないまま放置されてしまいます。

 たとえば、次のような調査結果があります。

◆小学生の国語力が不足していると感じる教師が約9割に上ることが「岩波書店」(東京都千代田区)が教師100人を対象に行った調査で分かった。同社は「現場の先生が危機感を持っている表れではないか」としている。具体例を挙げてもらったところ、4年生が「八つ」を「はちつ」と誤読したほか、数え方を知らずに、何でも「個」とする児童がいたという。 

 

・・・私の感覚では、年齢で「二個上、一個下」と「個」は使わない。でも「二個上、一個下」はスタンダードだ。

 

 NHKでは、かつて大人向けの教育テレビで4回にわたり「数え方」を特集したことがある。

「知って納得! 数え方レッスン~タンスからロボット犬まで~」

◆電子メールは「1通」それとも「1件」?

 携帯電話は「1台」から「1個」へ

 年齢や学年が「1個上」はおかしい?

 などの話題提示があり、「数え方は日本語の貴重な財産」と記しています。

 ロボット犬AIBOの表記が推移したことが紹介されています。

1999年624日付けの朝日新聞には、AIBOを「12台」と表記していたが、一般家庭にAIBOが浸透しはじめると、「12頭」(1999825日付)。やがて、ペットと同じように「12匹」と表記(1999928日付)されるようになり、以後「○匹」と数えるようになったということです。ちなみにソニーは「3000体を完売」と表記。電気量販店でのAIBOの数え方は「12点」だったそうです。現在、ASIMOの数え方は「12体」。

 講師の飯田朝子氏の著作は、『数え方でみがく日本語』「数え方もひとしお」「数え方の辞典」「数え方と単位の本」など多数あります。

 お寿司の数え方は1貫・2貫、一巻き・二巻き。でも子どもたちの感覚は一個・二個、あるいは一皿・二皿でしょう。身近な例で考えると、助数詞の問題は、日本語の奥深さを学び、言語感覚を磨くのにとてもいい機会になるでしょう。

 

 ものを数える場合の注意点は「対象ごとの数助詞の変化」以外に3つあります。

1つは、数の読み方の変化。イチバン・イッポン・ヒトツ

2つは、数助詞の読み方の変化。イッポン・ニホン・サンボン

・・・この読み方で、かつては「十本=ジッポン」だったが、今は「ジュッポン」もOKとなった。

 

(2)算数の数・・3者関係の体得

 数(かず)を教える場合・・「いち」「に」「さん」「し」と数の言葉を暗記させるのではなくて、「実物」と対応させる「タイル」とを同時に、「目に見える」ように教えると説明されています。

「1」とは、ミカンでもリンゴでも、ビスケットでも、「ひとつ」の量しかない場合の事実を指す、というようにです。

「ひとつ」(1)という「量」を分からせることが大切である、といわれています。この「1個のタイル」に対応させて「いち」(1)という数称が「話し言葉」として話されます。

「いち」「に」「さん」といった数詞があらわしている最も重要なものは「大きさ」(集合・量)である。「順番」ではない。

「いち」(1)というのは「一つの大きさ」をあらわしている。

「に」(2)というのは、「2の大きさ」のことをさしている。

「一番目」「二番目」という意味は第二義的である。英語では「two」(2)と「second」(2番目)とでは明らかに区別されているが、日本では、量(集合)も順序も「いち」「に」「さん」という言葉でいいあらわす。

 日本では、「順序」を教えることから指導している。

 左の「タイル」から順に「いち」「に」と唱えると「二つ目のタイル」だけが「2」だと思い込む間違いが生じる。

 実際は、「一個のタイル」を二個集めた集合が「2」の「大きさ」である。

 日本の子どもは「二つ目のタイル」を取り出して、これは「1」であるにもかかわらず「に」(2)であるという誤った「認識」を記憶している傾向がある。   

 『幼児の算数』(国土社・刊)(遠山啓・栗原九十郎)より

 

 「一対一の対応」とは、「ミカンの1」も「リンゴの1」も「クッキーの1」も、形や姿、属性もそれぞれ異なるけれども、抽象化した量(りょう)としては「どれも同じ1である」という「意味」の理解のことです。

 遠山啓(ひらく)は、子どもに「数」(かず)を教えるにあたっては「数」(かず)の「意味」を正しく分からせることが重要である、と説明しています。「数」(かず)の意味とは、「実物」のもつ「属性」や「形象性」などを抽象化して捨象(しゃしょう)した実体のことです。それが「量」(りょう)です。「数」(かず)の意味とは「量」(りょう)の集合のことです。

 この遠山啓(ひらく)の「数(かず)の教え方」(水道方式)の説明で重要なところは、「数の唱え主義」「暗算中心の教え方」と「水道方式」とが、ハッキリ区別されている点です。

 「数の唱え主義」とは、「1,2,3,4…」というように、数称だけを暗記することをいいます。

 この「数称の暗記主義」は数(かず)をただ「順序」としてたどるので、「量」(りょう)(集合)の把握ができません。リンゴを「1,2,3,4…」と一つずつ指で抑えてたどります。「リンゴの数(かず)はいくつ?」と問うと、「4番目のリンゴ」を手に取って、「リンゴの数(かず)は4(よん)です」と、「1個のリンゴ」を示す、という誤りを起こします。

| | Comments (0)

算数で脳トレ 1から10までの合計

1から10の和が55であることは、分かっている。

その解き方がいくつ思い浮かぶか、チャレンジしてみた。

解法①・・・「0~10」と「10~0」を足してから、2で割る。

0+10=10
1+9=10
2+8=10
3+7=10
4+6=10
5+5=10
6+4=10
7+3=10
8+2=10
9+1=10
10+0=10

(0~10)と(0~10)を足すと10×11=110になる。
(0~10)だけなら、その半分だから110÷2=55

→これをNまでの数とすると、【N×(N+1)】÷2


解法②

0+10=10

1 +9=10

2 +8=10

3 +7=10

4 +6=10

5 +5=10

6 +4=10

7 +3=10

8 +2=10

9 +1=10

10+0=10
=====

(1~9)と(9~1)を足すと10×9=90になる。
0+10と10+0があるからプラス20で、110。
(1~10)だけなら、その半分だから110÷2=55。

 

解法③ 10でなく、11の和の合計で考える。

1+10=11
2+9=11
3+8=11
4+7=11
5+6=11
6+5=11
7+4=11
8+3=11
9+2=11
10+1=11

(1から10)と(10から1)を足すと11×10=110になる。
(1から10)は、その半分だから110÷2=55

→これをNまでの数とすると
【(N+1)×N】÷2

 

解法④ 10の合計になるよう半分で折り返す

0+10=10
1+  9=10
2+  8=10
3+  7=10
4+  6=10
5

 10×5+5

 

解法⑤ 11の合計になるよう半分で折り返す

  1+2+3+4+5+
+10+9+8+7+6

11×5=55

→これをNまでの数で表せるか? ちょっと分かりませんでした。

| | Comments (0)

対比すると、考えがクリアになる!

「よりよい学級」とは、どんな学級?

「荒れた学級」とは、どんな学級?

どんな学級にしたいの? 

どんな学級にしたくないの?

このように自問自答してみる中で、対比思考すると浮かびやすいことが分かってきた。

よい学級      荒れた学級
=================
指示が通る     指示が通らない

話が聞ける     人の話を聞いていない

やる気がある    やる気がない

プラス思考     マイナス思考

笑顔        嘲笑

大声        小声

みんなのために働く 自分勝手

なかよし      けんか

協力        いじめ

チームワーク    孤立

自分たちで解決   見て見ぬふり

落ち着き      ざわつき 

整然        散乱

集中        雑然

 

 「よりよい学級」について考えている時は浮かばなかったものが、対立項である「あれた学級」を想起することで、クリアになってくる。
 「逆から眺める」思考が有効なのだ。
 
 列挙した対比を束ねる手法は2通りある。

◆いくつかの対比から核になるものを1つ選ぶ方法
◆たくさんの対比をまとめて1つの言葉にしてみる方法

 

今回、対比して列挙する中で、自分の脳裏に浮かんできたキーワードが

「1人はみんなのために、みんなは1人のために」

人それぞれだろうが、自分にとっての学級経営の願いは、この言葉に集約されるのだなと分かった。

 

「どんな学級にしたいですか」「どんな学級にはしたくないですか」

 対比の表にしながらたくさん書いてみる

「自分が一番大事にしたい対比は何ですか」

「これらの対比を1つの言葉にまとめるとどうなりますか」

「これらの対比を元にして、2学期の目標を作ってみましょう」
 
という形の授業が考えられる。

| | Comments (0)

August 25, 2024

今さら、大学入試問題の傾向に驚くなんて

昨夜8月24日、テレビ朝日で林修さんが、大学入試問題(国語)の解説をしていた。
大学入試センターが昨年公開した試作版を取り上げたのだが、出演者が複数の資料と本文との関連を問う問題に驚いていた。
「これが、国語の問題なの?」とも。
確かに、従来の「次の問題文を読み、設問に答えなさい」とは全く違い、情報量が圧倒的に多い。
しかし・・
出演者と違い、現役高校生は驚かないと思う。
それは、現行の小中学校の学力調査問題と同じようなタイプだからだ。
大学入試問題の変わりぶりに驚くなら、学力調査問題についても言及すべきだろう。
文科省は小中学生に、このような問題が解ける力を求めているのだから。
過去の自分のダイアリーを探ってみると、以下のように、2020年2月に書いていた。
(記述問題を入れるか入れないかで揉めていた時期だ)
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
センター試験に代わって2020年度から行われる大学入学共通テスト(国語)は、これまで行われてきた全国学力調査問題と傾向が酷似していた。
==============
「大学入試が求めるもの」
①複数の種類の実用文を読ませる  
②複数の文章を組み合わせて考えさせる
③大量の情報を処理させる
④最大200字程度の文章を20分程度の短時間で書かせる
⑤多くの条件を踏まえた文章を書かせる
⑥誰かの立場で文章を書かせる
 難波博孝氏(広島大学大学院教授) 東京書籍発行「教室の窓 Vol.55」
=============
 この点について難波氏は次のように指摘していた。
==========
実はこの方向性は、文科省がずっと追い求めてきたことであった。
小学校・中学校関係者の方ならすぐわかるだろうが、今まで10年以上行われてきた全国学力・学習状況調査のB問題と共通テストのここまで傾向はそっくりだからである。
文科省は10年かけて、共通テストの基盤をつくってきたといえる。
============
 2018年11月、朝日新聞に掲載されたコメントも、同様の趣旨だ。
=============
文部科学省はこれまでも高校までに教える内容を決める学習指導要領で「思考力、判断力、表現力」を身につけるよう学校に求めてきた。
だが、高校では大学入試に向けた勉強に重点が置かれがちだ。
そこで大学入試も、より学習指導要領の内容に合わせるよう大きく変えることにした。
 朝日新聞 進学特集「20年度入試から共通テスト」2018/11/5朝刊
=============
 授業を変えるためにゴールを決めた。
 大学入試を変えるというウルトラCを決行したのだ。
 さて、同様の指摘は「全国的な学力調査に関する専門家会議」の委員である田中博之氏も述べている。
============
(2017年の大学入試試行調査は)全国学力・学習状況調査の問題と、とてもよく似ています。これは偶然ではなく、意図的に合わせているのです。つまり、記述力が全国学力・学習状況調査から大学入試まで一貫して問われる必須の学力になる、という画期的な出来事が起きようとしています。だからこそ、小中学校では一層B問題的な学力観を重視すべきなのです。  
「総合教育技術」2019.11月号 P43
=============
・・・「記述力が全国学力・学習状況調査から大学入試まで一貫して問われる必須の学力になる、という画期的な出来事が起きようとしています」であったはずなのだ。
 大学入試にまでつながる「PISA型読解力」が、土壇場になって混乱してしまったが、我々の意識を延期するわけにはいかない。
 学力テストを、無理矢理やらされているテストと捉えているようでは、PISA型読解力が身につくわけがない。
 学力テストで問われているような内容を授業の中で行わない限り、PISA型読解力向上は望めないし、国際的な場で日本の生徒は活躍できない。
 さて、直近の文科省のPISA読解力の見解は?
=============
 読解力についていえば、前回までは、「読解力」の定義は、書かれたテキスト(本や新聞など出所や校正・校閲がしっかりした書きもの)の中から「情報を探し出す」「字句の意味を理解する」「統合し、推論を創出する」「内容と形式について熟考する。」等でありました。つまり「従来型」の範囲内での「読解力」を問うものだったといえるでしょう。
 今回からは、オンライン上の様々なデジタルテキスト(ブログ、投稿文、宣伝サイト、メール文)など、文責が誰にあるのか、出所が定かであるのか、校正・校閲がしっかりなされているのかなどが一見明確ではない文書について、「質と信ぴょう性を評価したり」「矛盾を見つけ対処したりする」ことも求めており、問題自体もその7割がPC使用型調査のために開発された新規ものとなっています。つまり、前回までの「読解力」の調査からは大きく変化しているということです。
 OECDの責任者であるシュライヒャー局長も、現代社会においてデジタルの世界で求められる読解力に焦点を当てたこと、「フェイクニュース」が広がる世界での読解力がより重要な能力になっていることを明確に言及しており、今回のPISA調査は、これまでの「読解力」の範囲に加え「情報活用能力」をも求めていることは明らかだと思います。
初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第373号(令和元年12月24日臨時号)
【矢野 文部科学省大臣官房審議官(初中教育担当) 特別寄稿】PISA調査2018とGIGAスクール構想
=============
 この審議官の言葉が一次資料なら、求められる読解力は
1 「情報を探し出す」
2 「字句の意味を理解する」
3 「統合し、推論を創出する」
4 「内容と形式について熟考する」
5 「質と信ぴょう性を評価する」
6 「矛盾を見つけ対処する」
となる。これを
◆これまでの「読解力」に「情報活用能力」を加えたもの
◆新たな読解力(読解力と情報活用能力のハイブリッド型)
と呼んでいる。これがまさに新学習指導要領の先の課題ということになるだろうか。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
 
 毎年、学力調査問題が公開されても、世間の関心は結果だけで、設問内容がどうかは問題にならない。実際、勤務する市内は学力調査の結果についての関心が薄く、多くの教員は、その問題内容を知らない。
 大学入試問題になると、今回のようにマスコミの話題になりやすい。
 保護者や大人社会が、いまだに国語のテストを「次の問題文を読み、設問に答えなさい」パターンだと思っているとしたら、そこはきちんと情報提供して、日本人の常識をバージョンアップさせてほしいものだ。
2bc7618bb01149358f18a8f9f88b07ba

| | Comments (0)

2学期の学級経営

山を動かす

 自己肯定感や自尊感情はとても大事ですが、今の自分の現状に満足しすぎると成長できません。
 「まだまだ自分は頑張れる・やればもっと成長できる」という意識を持たせたいです。
1人1人では、なかなかそこまで意識が高まらなくても、集団の影響で動く子はいます。
 山が動くイメージを伝えやすいのが「イノベーター理論・キャズム理論」と呼ばれるビジネスモデルです。
 「イノベーター」は、先生が何も言わなくてもどんどんチャレンジできる上位グループです。このグループをうまく活用して、次の山の子供たちを動かします。
 「レイトマジョリテイ」は、集団の半数が動かないと行動しないグループと言われています。逆に言えば半分が動けば、この集団は動きます。
 「ラガード」は強固に動かない集団です。ビジネス上は「この集団は最初からあきらめろ」という意見もあるようですが、学級で、もしこのグループの子が先に動くと、中間層は一気に動き出します。
 これが「逆転現象」です。イノベーターとラガードにはさまれたオセロが全部ひっくり返るようなイメージですね。
 誰しも「みんながやっているなら自分もやらないと」という気持ちを持っています。このような集団心理はデメリットもありますが、うまくメリットを生かし、前向きな学級集団を形成しましょう。
69400498942b4087a7396ae126855a4d_4_5005_

| | Comments (0)

August 24, 2024

都道府県の旅(カンジー博士)

●滋賀県の琵琶湖は、日本一大きい湖だ。

●京都府には、古い町なみがのこっている

●たこやきは、大阪府の名物だ。

教科書(光村4年)の例文に満足せず、都道府県の特徴を調べて短文つくりをする活動は、国語科としても社会科としても有効だと思います。

都道府県や愛知県の市町村についての関心を夏休み前に高めておきたいです。

休み中に旅行に行ける子も行けない子もいますが、ネット空間でなら平等に旅行体験ができます。

ランダムに情報収集しているうちに、観光名所・グルメ・特産品・有名人などに分類整理できます。

そして分類の観点ができると、その観点でさらに情報収集したくなります。例えば「野球のスタジアム」という観点が決まれば、全国のスタジアムを検索したくなります。

10個・20個と情報収集の「量」が増えると、ますます情報収集が楽しくなり、また分類整理も楽しくなり「質」が高まります。

「シンキングサイクル」が無限ループに入るように仕向けたいです。

社会科的には、都道府県名に続いて「横浜・仙台・神戸・浜松・松本」のような主要都市、「富士山・琵琶湖・能登半島」のような地名についても関心をもたせ、県名と一致させておきたいです。

個人作業でも可能ですが、情報共有させると、お互いが刺激になって探求が加速します。

912f76c6104c44c6b51274444254c714

| | Comments (0)

August 23, 2024

自分のペースで理解しながら学習を進めることができますか?

 国語の授業を参観したときのことです。

 作品の場面ごとの「設定(時・場・人)」を整理する際に、「課題の設定―情報の収集―整理・分析―まとめ・表現」というシンキングサイクルを示しました。

 これまでの授業とやっていることは同じでも、このように価値づけをすることで、いつでもこのサイクルで考えてみようと意識させられます。ある子が「社会科みたい」と言っていましたが、その通りです。どの教科でも提示するとよいと思います。

 ただし、この日の授業は、先生が意見を集約し板書で正解を示す形になりました。

 いずれは、グループで検討させ、グループごとに発表させ、補足はするけれども、先生のまとめはしない(あとでノート提出)というスタンスを貫くと、教師の正解待ち・板書待ちの子供たちの姿勢を打破できます。

 授業は、先生に教わる時間ではなく、自分で学ぶ時間なのだという意識改革が進んでいます。

====================

 児童生徒への質問調査(CBT)では、端末活用について、「自分のペースで理解しながら学習を進めることができる」「わからないときにすぐに調べることができる」等が質問されています。これに肯定的に回答するためには端末を自由に使うが環境が必要です。

教員だけが授業の展開を知っており、プリントを集め、教員が良いと思った意見を選んで指名して発表させ、「いいです」と皆に言わせたり拍手させたりする劇場型の授業はもうやめたほうが良いでしょう。授業の流れは子供に示し、それぞれのペースでやり方を自ら選択しながら学ぶことを目指す必要があります。学ぶのは子供です。

次の学習指導要領は大きな節目 堀田龍也教授・東京学芸大学教職大学院学長特別補佐|KKS Web:教育家庭新聞ニュース|教育家庭新聞社 (kknews.co.jp)

=======================

 堀田先生の「劇場型の授業はもうやめた方が良いでしょう」という指摘には仰天しましたが、この指摘は現行指導要領が出る前の提言です。今さら驚いていてはいけないのです。

4e2112e0c975463d9a96180137cd0c91

| | Comments (0)

何のために新聞を作らせるのか?

子どもたちは国語・社会・理科・総合などで学習新聞をつくります。

これからの時代はデジタルでできるなら、デジタルで進めていきたいです。

B4サイズのドキュメントを作成させると、文字サイズの調整などが難しいので、レイアウトはスライド型がスムーズです。

4年国語で扱う新聞づくりは〈新聞名・発行日・発行者〉〈見出し〉(写真・絵・図表)〈アンケート〉の4点にスポットを当てています。

そして、トップ記事 ・セカンド記事・サード記事を分担させています。 

『新聞をつくろう!』」(岩崎書店)では、8項目のチェック項目を載せています。

できれば、これらの項目も意識して新聞づくりに取り組ませたいです。


①みんなが興味をもつようなニュースがのっている。

②みんなが知らないことも記事にできた

③個性のある記事を入れられた。             

④わかりやすく、短い文章が書けた。

⑤事実だけでなく、意見や感想も書けた。        

⑥見出しは記事の内容に合っている。

⑦ひと目で読みたくなるような見出しが書けた。   

⑧わかりやすいグラフや表が使われている。

「見やすさ・読みやすさ・わかりやすさ」で、お互いの新聞を評価し、見る目を鍛え、次の新聞づくりに活かします。

装飾や配色に凝りすぎるとかえって読みにくくなることも伝えます。

なお、アンケート結果やランキングに終始すると、自分の意見や感想がおろそかになります。

「自分の伝えたいことは何か」がブレないように進めたいです。

 各教科の調べ学習。校外学習のレポート、係活動などで、新聞づくり・スライドづくりを繰り返し、楽しみながらレベルアップをはかってほしいです。

 国語の教科書では、この後「パンフレットを読もう」の単元があります。

「パンフレットを作る」というアウトプットも大事だと思います。

Normal_0560aa879d6a4670bedc4588e78c1ddc

| | Comments (0)

九九を超えた掛け算

4年2学期算数の授業検討

(3)おまけ:九九を超えた掛け算

4年生で学習する2桁の割り算では「九九を超えた掛け算」がスムーズにできるかどうかが重要です。

5年生になると、倍数・約数・通分・約分などが出てきて、九九を超えた掛け算の理解が重要になります。

たとえば

36は、九九の中では「4×9」しかありませんが、1×36,2×18、3×12 があります。

45は、九九の中では「5×9」しかありませんが、1×45,3×15 があります。

 

計算に慣れた子にとっては、当たり前の掛け算ですから、約数がすぐに浮かび、分数の通分もすぐにできます。

しかし、九九でとどまっている子はここで苦しみます。

むろん、36は、4×9だから、2×2×3×3だから、約数はこの4つの組み合わせの数だけあるという素因数分解の考え方もあります。

それにしても、「20×20」まで覚えた子は楽でしょうね。

2から9の倍数を100までスラスラ言えるようになるといいので、それらを楽しくできる学習ソフトなどを探してみようと思います。

写真は、以下のサイトより

https://www.illust-box.jp/sozai/278960/

5b56ccebe2374f909424a52a5a965e08

 

| | Comments (0)

4年算数「割合」  

4年2学期算数の授業検討

割合  【もとの量】×◇=【くらべる量】

「割合」は、言われたとおりに進めていくと何となくわかった気になりますが、実際には理解しきれていないことが多いです。

授業は、「割合」「比較量」「基準量」と区切って進めているので、掛け算で解くか、割り算で解くか分かります。

しかし、テストは全部混在する形なので、ごちゃごちゃになってしまう子がいます。

なお、5年生になると、150円は200円の何倍かというような問題が出ます。割合の意味を理解せず、何となく割り算で解けばいいと思っている子は「200÷150」の計算をしてしまいます。

4年生の段階で、関係図に書き込む数値の位置を間違えないようにして、右向きは掛け算・左向きは割り算であることをしっかり意識させておきたいです。

繰り返しますが、150円は200円の何倍かと聞かれて「200÷150」と立式しないように、ロジックを習得させます。

| | Comments (0)

2桁で割るわりざんの筆算

4年2学期算数の授業検討

(1)2桁で割るわりざんの筆算

1学期に1桁で割るわり算の筆算を学習しました。

この時は、68÷2、642÷6、242÷3などだから、九九ができれば何とか解けました。

2学期は2桁で割るわりざんの筆算です。前半は80÷30、96÷32などだから1学期の延長です。

中盤の第4時の175÷35、252÷36、168÷28 から圧倒的に難しくなります

(というか、ここまでは助走問題にすぎないということです)。

 もちろん17÷3、25÷3,16÷2で商のめどを立てるのだから九九レベルですが、商を立てた後の計算は2桁×1桁の掛け算です。35×5、36×8、28×8のような掛け算がスラスラできないと、どんどん遅れていきます。

 だから、割り算の筆算を始める前に(ほんとは1学期から)、2桁×1桁の筆算を習熟させます。

今日の授業の割り算で必要になりそうな2桁×1桁の筆算練習を授業開始時に練習させ、割り算の筆算の際は、その答えを参照させるという方法もあります。上の例でいうと、

35×435×535×6】【36×636×736×8】【28×628×728×8】などを授業開始時に解かせておくという意味です。

※計算の苦手な子ほど、①筆算の問題を書き写すのに時間がかかり、②詰めて書くので間違いやすく、③掛け算を小さく書くので間違しやすく、④引き算でも間違いやすいです。

これらのつまづきを想定して、対処しましょう。特に余白のあるノートつくりを推奨します。

 1時間の基本的な流れは「例題類題練習問題」ですから、「教師主体クラス全体個人」と位置づけて、最後は各自にチャレンジさせるようにしたいです。

例えば、練習問題6問にチャレンジさせると、早い子は6問解くけれど、遅い子は1問もできていないことがあります。

 練習問題が6問なら半分に分けて、5分で3問やらせて答え合わせ、5分で3問やらせて答え合わせとするといいかもしれません。早くできた子も5分なら待てると思いますし、遅い子も1問に集中すれば頑張れると思います。

全員に全問チャレンジを強要すると、計算の苦手な子は終わりません。時間で区切り、できたところまで答え合わせをするという形で良いと思います。多少時間はかかっても、確実に計算できるなら、単元テストは高得点が取れるはずです(テストでいい点が取れるように支援してあげてください)。

44de038c15134ddf9edbfd0fd056ccce

| | Comments (0)

August 22, 2024

テスト問題の意味を教えないと汎用的な技能が身につかない。

テスト対策のテクニックとしてしまうと読解力の向上につながらない。
・・・ということは漠然とわかっていたが、どう説明していいか分からなかった。
生成AIに頼ってもいいけど、まずは文献で探ってみた.
「使える『国語』の考え方」橋本陽介 ちくま新書(2019初版)p114〜121
 中学校一年生の学習指導要領「書くこと」の記述の引用があった。
ア 目的や意図に応じて、日常生活の中から題材を決め、集めた材料を整理し、伝えたいことを明確にすること。
イ、書く内容の中心が明確になるように、段落の役割などを意識して、文章の構成や展開を考えること。
ウ、根拠を明確にしながら、自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ、読み手の立場に立って、表記や語句の用法、叙述の仕方などを確かめて、文章を整えること。
オ、根拠の明確さなどについて、読み手からの助言などを踏まえ、自分の文章のよい点や改善点を見いだすこと。
これらを踏まえて、次の5つを留意点として挙げている。
①どういう順番で論じるか
②指示詞や接続詞への注目
③事実と意見の区別
④主張と根拠の確認
⑤抽象的な記述と具体的な記述
「これらの項目は国語の試験問題でも頻繁に問われている」として、具体的な設問が紹介されている。
◆文章の一部分を切り抜いて、どこに入るかを問うのは、①の「どのような順番で論じるか」を問う問題
◆傍線部の理由を問うのは、④の主張に対する根拠を問う問題
◆②指示語や接続詞を問う問題については、以下のように詳しく解説されていた。
✳︎文章とは連続したものなので、個々の文章や段落を互いに関連づける必要がある。互いに関連づけられることによって、全体の意味が連続しているように感じられ、スムーズに理解することができる。そのような意味の連続性が見いだせないと、読者は理解することができなくなる。文章において、意味が連続していることを、言語学ではテクストの結束性と呼ぶ。
✳︎接続詞の分類とは、前と後がどういう関係でつながっているかを示す記号なのである。このため、教師側からすると、文の展開がどうなっているかを読み取れているかどうかは、接続詞を空欄にして埋めさせることによってある程度測ることが可能になる。
✳︎順接では、ある叙述Aから帰結として言えることを導入し、逆接ではそれに反対することを導入する。何か論を導入したら、それに対して説明が必要になるので、説明の接続詞が使用される。「論理的な文章」を書くためには、文の展開をスムーズに行わなければならない。
◆⑤抽象的な文言に傍線を引き、具体的な説明としてふさわしいものを問う問題は、選択肢の場合は、具体例を参考にしつつ、別の言い方に変えている。
・・・私なりに整理すると、テストでは次のような読解スキルを問うている。
だから、授業はこれらの読解スキルを磨くように展開しないといけない。
①論述の順番 
②語のつながりを示す指示詞 
③文のつながりを示す接続詞 
③事実と意見の区別
④主張と根拠の区別
⑤抽象と具体の往復
 指導と評価の一体化だから、授業で指導していないことをテストで問うわけにはいかない。
 しかし往々にして、授業は授業、テストはテストになりやすい。授業とテストで同じ教材を使うから授業中、そのまんまテストの問題を扱うのちょっと難しいからだ。
 授業とテストで別の教材を使うことがスタンダードになったら、汎用的な読解スキルの意識はもっと高まるだろうか。
9784480071941

| | Comments (0)

August 17, 2024

「戦争」を授業するための教養としての読書

「教育トークライン」(「東京教育技術研究所)7月号巻頭の谷先生の言葉が印象に残る。
◆「深い教材解釈」をもった教師が巧みでさりげない「投げかけ」や「ゆさぶり」をすると、子供たちの思考は更に活発になります。
そこには、やはり 優れた教師の教授行為  があります。
・・・「一つの花」に限らず、戦争を題材にした作品の場合、どれくらい予備知識があるかで、読みの深さが変わってくる
。退職した自分でさえ太平洋戦争を知らないのだから、現職の先生は誰一人、太平洋戦争を知らない。
予備知識(スキーマ)があると、読みが深くなるのは先生も子供も同じだから、先生も果敢に情報を取りに行き、深い教材解釈に挑んでほしい。教科書本文だけでは補えない事実がたくさんある。
さて、黒柳徹子の「小さいときから考えてきたこと」(新潮文庫)は、ユニセフ親善大使として訪れた紛争地域での出来事を書いている。
 「黄色い花束」は、コソボで黒柳徹子に手を振る子供たちを見て、過去の自分と重ねた短編エッセイで、「一つの花」の出征の場面を彷彿させる。
========================
 私が子どものとき、何も知らないで、日の丸の旗を振って送り出した兵隊さんは帰ってこなかった。自由が丘の駅に行って、出征する兵隊さんに旗をふると、スルメの足を焼いたのを一本もらえた。私は、それが欲しくて、時間があると、行っては旗を振った。スルメなんて、あの頃、めったに食べられるものではなかった。知らなかったとはいえ、私は、あのとき、スルメが欲しくて送り出した兵隊さん達が帰って来なかったことを、今も申しわけなく、私の心の傷になっている。あどけなく手を振っている子ども達(竹田注 コソボの子ども達)を裏切っては、いけないのだと、私は子ども達が手を振るのを見るたびに思う。あの女の子から貰った黄色い花は、ノートに挟んで押し花にした、コソボの記念に。
=========================
・・・スルメ欲しさに兵隊さんを見送ったことを後悔する黒柳徹子
 父親との別れの間際におにぎりを欲しがったゆみ子は、いつか自分の行為を後悔する日が来るだろうか。
 いやいや、ゆみ子は覚えていない。だから大人になってそんな「心の傷」を負わなくてすむ。それがせめてもの救いなのだと話者は訴えているのかもしれない。
 このまま授業に使おうとは思ってないが、この黒柳徹子のエピソードを知っていると、『一つの花』を授業す教師側の「構え」が違ってくるような気がする。
 ただし、
 もっともっと知っておくべきエピソード・もっともっと読んでおきべき書籍があるのだと思うと、「知らないことの怖さ」を感じざるを得ない。
 そういえば『知の体力』永田和宏(新潮新書)にも、同じようなことが書いてある。
◆「何も知らない自分」を知らないで、ただ日常を普通に生きていることに満足、充足しているところからは、敢えてしんどい作業を伴う学問、研究などへの興味もモチベーションも生まれないのは当然である。しかし、あぁ、自分は実は世界のほんのちっぽけな一部しかこれまで見てこなかった、知っていなかったと実感できれば、そして自分がこれまで知らなかった世界がいかに驚異に満ち、知る喜びに溢れていることを垣間見ることができれば、おのずから知ることに対する敬意、リスペクトの思いにつながるはずである p56
448748060_487616930383772_27891721186504

| | Comments (0)

「ごんぎつね」のラスト、ごんは死んだのか。

銃で撃たれたごんは死んだとも読める。

「死んだ」と明記されていないのだから「死んでいない」とも読める。

もはや堂々巡りで、結論を出しようがない。

個人的な見解としては

「死んだ」と書かないで「死んだ」と読ませるのが作家の筆力。

「死んだ」と書いていないから「死んでいない」と言い張るのは、文学の暗示生を理解しない幼稚な見解だと私は思う。

 「分かり合えない」「すれ違い」の悲劇を強調するなら、ごんが死んだ方が効果的だ。

 

しかし、子供相手にムキになっても仕方ない。

同じ論争は「明日のジョー」でも起きた。

================

◆少し下を向いて満足そうに微笑んでいるジョーを見て、大人はジョーが燃え尽きて死んでしまったんだと理解し、子供たちは、ジョーはただ目をつむって休んでいるだけで、明日にはまたサンドバッグを叩いて世界タイトルを目指すんだろうな、と考えられるように描いたんです。

◆いまだにジョーの熱烈な支持層は多く、(略)復活させろとの手紙や電話に悩まされている昨今、この場を借りてお断りしておく。ジョーは燃え尽きたのデス、真っ白に……。

https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/joe

=================

同じことは、漫画「スプリンター」でもあった。最後、主人公は消えたのかどうか。

 

・・・結末の解釈を読者に委ねる手法を「論点回避」と言う。

「真っ白に燃え尽きた」ことを描写し、それ以上は説明しないこのラストを「死んだ・死んでいない」で言い争うのは野暮なのだ。

「ごんぎつね」の結末をロジックで考えさせるなら、

「青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました」というラストを踏まえ、

◆生きているなら、この1文をどう捉えるか

◆死んでいるなら、この1文をどう捉えるか

を言語化させるべきだろう。

「まだ」という言葉が「まだ生きている」を感じさせる。

「けむりが・・出ていました」は、ごんの魂が天に昇っていく様子を感じさせる。

などなど。

 どっちでもいいから、自分なりに根拠づけること・説得する努力が大事なのだ。

C14806ad832e402eaab3292ea64f1301 B002387ee747486a9545fc02297144e9_1_201_a

| | Comments (0)

August 15, 2024

ストーリーテリングの有効性について

説明主体の授業から脱却するために(6)

Q:単なる説明では、聞き手にインパクトは与えられないから「語り」が必要だと教わりました。この「説明より語りが効果的」とは「ストーリーテリング」の有効性の意味なのかなと思い、調べています。
・・・以下が、GEMINIの回答。
こんなQに丁寧に回答してくれるなんてありがたい。
==============
説明より語り:ストーリーテリングの有効性について
おっしゃる通り、「説明より語り」という言葉は、まさに「ストーリーテリング」の有効性を示唆する言葉です。
なぜ「語り」が効果的なのか?
感情への訴えかけ:
ストーリーには、登場人物の喜怒哀楽や葛藤が描かれます。これらに共感することで、聞き手は単なる情報だけでなく、深い感情的な繋がりを感じることができます。
記憶への定着: ストーリーは、論理的な説明よりも記憶に残りやすいものです。物語の構造は、人間の脳の働きに合致しており、情報をより深く記憶に刻み込むことができます。
説得力向上: ストーリーは、抽象的な概念を具体的に表現し、聞き手がより理解しやすくなります。また、自分自身の経験と重ね合わせ、共感することで、説得力が増します。
「説明」と「語り」の違い
説明
・・情報の伝達、論理的な説明、事実の羅列、客観的、冷静、理解を促す
語り
・・感情への訴えかけ、共感の形成、ストーリー、登場人物、設定、起承転結、主観的、感情的、行動を促す、記憶に残りやすい
ストーリーテリングが有効な場面
プレゼンテーション: 新製品の発表、企業理念の伝達
マーケティング: 商品の訴求、ブランドイメージの形成
教育: 歴史の学習、科学の概念の理解
自己紹介: 自分の経験や価値観の伝達
ストーリーテリングを効果的に行うために
聴衆の共感を得る:
聴衆の価値観や関心に合ったストーリーを選ぶ
具体的な描写:
抽象的な概念を、具体的な言葉やイメージで表現
感情的な要素:
感情に訴えかける言葉や場面を取り入れる
Call to action:
ストーリーの最後に、行動を促す言葉を付け加える
まとめ
「説明より語り」が効果的な理由は、ストーリーが人間の心に直接働きかけ、共感や感情を呼び起こすことができるからです。
単に情報を伝えるだけでなく、聞き手の心を動かし、行動を促すためには、ストーリーテリングの力が不可欠です。
=================
・・「ストーリーテリング」という言葉では理解してもらえないかもしれない。
淡々と「説明」するのではなく、感情に訴える「語り」が大切で、
共感してもらうことを意識すると
論理的な説明よりも記憶に残りやすい
◆聞き手がより理解しやすくなるので、説得力が増す
原稿を読み上げる・暗記した通りに話をするの形だと、どうしても説明口調になって、感情に訴えることができなくなる。
聴衆に合わせて、(聴衆反応を意識しながら)臨機応変に話を組み立てることも、授業改善の大切な要素になる。

| | Comments (0)

説明主体の授業から脱却するために(5)

「説明」でなく「語り」
とよく聞くが、具体的にその違いがよく分からなかった。
「語り」で検索しても、いい回答がも当たらないので「ストーリーテリング」で調べてみた。
その後、いい加減なプロンプトだと思いながら、Geminiに聞いてみた。
◆人を説得するのに「「ストーリーテリング」の手法が有効だと聞きました。その根拠や経緯を簡略に教えてください。
=================
ストーリーテリングが人を説得する理由
ストーリーテリングが人々を説得する上で非常に有効な手法であるとされるのは、人間の脳の仕組みと深く関わっています。
なぜストーリーが効果的なのか?
感情への訴えかけ:
ストーリーは、単なる事実の羅列ではなく、登場人物の感情や行動を通して、聴衆の共感や共感を呼び起こします。感情に訴えかけることで、メッセージがより深く心に残り、説得力が増します。
記憶への定着: ストーリーは、単なる情報よりも記憶に残りやすいものです。これは、物語の構造が人間の脳の働きに合致しており、情報が結びつきやすく、記憶として長期保存されるためです。
説得力向上: ストーリーは、抽象的な概念を具体的に表現し、聴衆がより容易に理解できるようにします。また、ストーリーを通して、聴衆は自分自身と重ね合わせることができ、より強い共感を抱き、説得されやすくなります。
ストーリーテリングの歴史と経緯
ストーリーテリングは、人類の歴史において、情報を伝達し、集団をまとめ、文化を継承するための最も古く、効果的な手段の一つでした。
古代: 神話や伝説は、道徳や価値観を伝え、人々の行動を導く役割を果たしました。
中世: 民話や物語は、教訓や知識を寓話の形で伝え、人々の生活に根付いていました。
現代: 広告、マーケティング、プレゼンテーションなど、様々な分野でストーリーテリングが活用されています。
ストーリーテリングの活用例
ビジネス: 新製品の発表、企業理念の伝達、顧客との関係構築
教育: 歴史の学習、科学の概念の理解、モチベーションの向上
政治: 政策の説明、支持者の獲得
まとめ
ストーリーテリングは、単なる情報伝達を超えて、人々の心を動かし、行動を促す強力なツールです。その効果は、人間の脳の仕組みと、長い歴史の中で培われたコミュニケーションの形式に裏打ちされています。
より効果的なストーリーテリングを行うためには、以下の点に注意することが重要です。
聴衆の共感を得られるストーリーを選ぶ:
聴衆の価値観や関心に合ったストーリーを選ぶことで、より効果的にメッセージを伝えることができます。
具体的な描写を用いる:
抽象的な概念を、具体的な言葉やイメージで表現することで、聴衆がより理解しやすくなります。
感情的な要素を盛り込む:
感情に訴えかけることで、聴衆の心に深く印象を残すことができます。
Call to actionを明確にする:
ストーリーの最後に、聴衆に行動を促すメッセージを盛り込むことで、より効果的なコミュニケーションができます。
簡潔にまとめると、ストーリーテリングは、人間の心に直接働きかけ、説得力のあるメッセージを伝えることができる、非常に強力なコミュニケーションツールです。
より詳しい情報が必要であれば、お気軽にご質問ください。
以下、補足として、ストーリーテリングに関する様々な研究や事例を紹介する書籍や記事などをいくつかご紹介します。
書籍:
『ストーリーが世界を滅ぼす』ジョナサン・ゴットシャル
『ストーリー・ブランディング』ドン・ケラー
記事:
これらの資料を参考に、ストーリーテリングのスキルをさらに深めていくことができます。
=================
 こうやってあっという間に情報を得られると、コツコツ情報を得た時に比べて自分のものになりにくいなと思う。
お手軽に得た知識はお手軽に忘れやすい。
 だから、検索して満足するのではなく、ここを出発点にして、血肉化していかねばならない。
 上記の回答を読んでいて
「エピソードを語る」「具体的に語る」「イメージ語で語る」「描写する」
と同じようなニュアンスだと思った。だから先のダイアリーで書いた「描写」と重なっている。
 百田尚樹の「日本国記」は当代一のストーリーテラーが書き上げた日本の歴史物語。歴史を事件の羅列ではなくストーリーとして楽しめるようにと世に出した作品だ。
 だから「感情への訴えかけ」「記憶への定着」「説得力向上」の3つを持っている。
「説明」ではなく「ストーリー」で、もう少し調べてみよう。
74c2e08a7d844deabd1d2ca43429139f

| | Comments (0)

説明主体の授業から脱却するために(4)

ゴールデンサークル理論

本物のリーダーは、WHY(なぜ)から話を始め、それからHOW(どうやって)、WHAT(何を)の順に話をしていくとしています。
一方「形式上のリーダー」は、その逆で、WHAT(何をすべきか)から入ってしまうので、WHY(なぜなのか)が腑に落ちず、人々を動かすことができない、としています。
◆数字や理論などの説明も大切ですが、人の心を動かすのは感情であり、直感です。
「WHY」の部分から話をすることで、直感的に共感を呼び起こし、その後の内容が好印象になります。
・・・Whyがないと腑に落ちない。Whyを解決するためにこの授業は展開しますというお約束がないと、この授業はこの先どう進んでいくのかが掴めなくて不安になるからだ。
 
 『秒で伝わる文章術』を読んで、1年前に次のようにまとめていた。
 忘れている自分に呆れるが、記録に残しておくことの重要さを改めて感じる。
==============
「なぜ」を明確にしないとゴールが決まらない(ゴールがずれる)
「なぜ」はミッションでありビジョンであり、動機、 目的、モチベーション。
「何をするのか」ではなく「なぜするのか」を語ることが相手への共感を生む。
ということは、「趣意説明の原則」に通じている。
「今日の授業は○○をするよ=What」
「今日の授業は、こうやって進めていくよ=How」
ではなく
「今日の授業は、○○のためにやるよ=Why」
・・・子供が納得しないまま「What」や「How」で強引に授業を進めても、教育効果が上がらないのだと理解した。
================
 探究型の授業、知的好奇心を満たす授業は、Why=謎解きが大事なのだ。
 久しぶりにTEDで「ゴールデンサークル理論」を視聴した。見事なプレゼンに惹きつけられる。
「講義調が悪」という先入観だけでは、大事なことを見失ってしまう。
「単調な説明」と「熱のこもった語り」を区別してプレゼンの良し悪しを判断しないと。

| | Comments (0)

説明主体の授業から脱却するために(3)

〜説明と描写の違い〜

 あるサイトを用いて整理する。
=========
 地の文には「説明」と「描写」がある。
 一見同じ文のように見えて、実際には「説明」と「描写」に分かれている。
 起きていることや事実を「私情を挟まず」淡々と書いて、読み手に必要な情報を提供する文が「説明」文。
「説明」文だけでは、あまりにも淡々としすぎてお説教かお経のような文章になってしまう。
 
 一方、「ある立場から出来事で感じたことを述べている文」が「描写」文。
 こちらは「私情を挟んで」多彩に書き、読み手に特定の感情や感覚や印象を与える文になる。
 「思しき」「ずいぶんと」「あまりにも美しすぎて」「まじまじと」「腹の底に響くような」「思っていた」のような視点を持つ人物の感情や感覚や印象が込められて、視点を持つ人物が出来事や事実などをどう受け止めたのか、どう感じたのかを読み手に伝えるために用いる。
 
 「説明」文だらけで「描写」文が足りないと、散々うんちくを聞かされ続けているようなもの。
 「描写」文だらけで「説明」文が足りないと、感情がこもりすぎて状況が今ひとつ飲み込めなくなる。
 程よいバランスをとることが大切である。
===========
・・・「私情を挟んで」多彩に書き、読み手に特定の感情や感覚や印象を与える文というのは、要するに「語る側の熱量の問題」なのかなと思う。
 授業内容を届けたいと願う教師の気迫だ。
 かつて道徳資料の範読について「読み聞かせ」ではなく「語り聞かせ」をせよと指導を受けたことがある。
 淡々と資料を読むのではなく、特定の感情や印象を与えるように読めということだったのかなと今は思う。
 「説明」ではなく「語り聞かせる」の大事さについても、併せて考えてみたい。

| | Comments (0)

説明主体の授業から脱却するために(2)

自分の疑問が言語化できていないので、ネット検索が思うように進まない。

プロンプトも不十分だが、試しにGEMINIに聞いてみた。
◆よく授業が「講義調」とか「説明が多い」と批判されるのは、「描写が足りない」という意味なのかと考えていますが、違いますか?
こんな貧弱なプロンプトにそれなりに回答してくれるんだから、まさに「かゆいところに手が届く」状態。
とても助かりました。
==============
「授業が講義調とか説明が多い」という批判は、必ずしも「描写が足りない」という意味とは限りません。
しかし、描写の重要性という観点から、この批判を捉え直すことは、より効果的な授業設計につながる可能性があります。
「講義調」や「説明が多い」という批判の背景
一方的な情報伝達:
教師が一方的に知識を伝える授業は、生徒の主体的な学習を妨げる可能性があります。
受動的な学習姿勢になりがちで、生徒の興味や関心を引き出しにくいという問題点があります。
抽象的な概念の理解:
抽象的な概念を理解するためには、具体的な例やイメージを用いた説明が重要です。
描写が不足していると、生徒は概念を抽象的に捉え、その意味を深く理解できない可能性があります。

記憶の定着:

具体的な描写は、記憶の定着を助けます。

生徒は、イメージしやすい具体的な例を通して、学んだことをより長く記憶することができます。

「描写が足りない」と「講義調」の関係

描写の不足は、講義調になりやすい要因の一つ:

抽象的な概念を説明する際に、具体的な描写が不足すると、教師は定義や概念を羅列するような説明に頼りがちになります。

講義調の授業は、描写の機会を奪う可能性がある:

教師が一方的に説明する授業では、生徒が自ら考えたり、表現したりする機会が少なく、描写力を養うことが難しい場合があります。

「描写」を授業に取り入れるメリット

生徒の主体的な学習を促す:

具体的な描写を通して、生徒は自ら考え、想像し、表現する力を養うことができます。

深い理解を促す:

抽象的な概念を具体的なイメージと結びつけることで、生徒はより深く概念を理解することができます。

記憶の定着を促す:

具体的な描写は、記憶の定着を助けるだけでなく、学習内容への興味関心を高める効果も期待できます。

思考力、表現力を養う:

描写を通して、生徒は思考力や表現力を養うことができます。

授業に「描写」を取り入れるためのヒント

具体的な例を挙げる:

抽象的な概念を説明する際には、具体的な例をできるだけ多く挙げるようにしましょう。

五感を刺激する言葉を使う:

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、五感を刺激する言葉を使うことで、生徒はより鮮やかにイメージを描き出すことができます。

比喩やメタファーを用いる:

比喩やメタファーを用いることで、抽象的な概念を分かりやすく説明することができます。

生徒に描写させる:

生徒に、学んだことを自分の言葉で描写させたり、絵や図に表させたりする活動を取り入れることで、深い理解を促すことができます。

まとめ
「講義調」や「説明が多い」という批判は、必ずしも「描写が足りない」という意味ではありませんが、描写の重要性を改めて認識することは、より効果的な授業設計につながります。
「描写」を授業に取り入れることは、単に知識を伝えるだけでなく、生徒の思考力、表現力、そして学習意欲を高めることにつながります
=================
・・・「授業が講義調とか説明が多い」という批判は、必ずしも「描写が足りない」という意味とは限りませんというのは、まさにその通りだと思う。
 それでも、「描写を生かす」という意識を持つことが講義調脱却の1つのヒントになるのだということを示唆してもらい、大変参考になった。
「描写」は、「イメージ喚起」だから、理解を促し、記憶に残りやすい。
 向山先生の「見えを問う」「絵画的発問群」にも、派生してきそうだ。

| | Comments (0)

説明主体の授業から脱却するために(1)描写を意識する

先日、歴史上の人物(いじん)についての模擬授業を3本体験した。

【人物Aは、○○をしました。次に○○をしました。そして○○を達成しました。】
と行動を順に追っていくだけでは、単調すぎて、聞き手は、その世界に入っていけない。
夢中になれる授業は
①「抽象的な説明」と「具体思考」のバランスというか
②「教師のプレゼン」と「子供の思考部分」とのバランスというか
③「ざっくり出来事を紹介する場面」と「ここぞというポイントを深掘りする場面」とのバランスというか
そんなところが決め手になるのだなと思いながら、子役として参加した。
◆情報量が多くなると、ついつい説明で押し切ろうとしてしまう。
◆教師が力説するほど子供は頭を使わなくなる。
というのが、自分の大きな課題だから、自分のためにも、ここは解決策を確定しないといけない。
この日は「描写」というワードも出てきたので、
「説明」を減らして「描写」を増やすのも、1つの解決策になるかなと勝手に考えた。
=============
物語の設定や情報を読者に理解させるための「説明」はしなくてはいけないのですが、あまり説明ばかりしていたのでは、読者は放り投げてしまいます。
理想的な小説の表現は、巧みな「描写」をしているうちに、必要な「情報」も読者に伝えていること。これはシナリオも同じですね。(中略)
すぐれたシナリオは、登場人物の行動を追ったり、セリフを聞いているうちに、いつの間にか物語が進行していて、情報も得ています。
==============
優れた小説は、「説明」を回避する。
そんなところにも、授業改善のヒントがないかなと探ってみる。

| | Comments (0)

August 12, 2024

看護師さんの凛とした姿はすごく安心

身内の入院が続きました。
2回とも大きな病院なので、主治医と話す機会はないが、看護師さんとはお話をしたり、状況を聞いたりする機会があります(大きな病院なので看護師さんは日替わり状態です)。
そんな時、何かと不安な我々にとって、看護師さんの立ち居振る舞いが大きな安心材料になります。
◆検査などのルーテインをテキパキと行う。
◆イレギュラーな場面でも難なく対処する。
◆余分なことは言わないが、質問には丁寧に答えてくれる
◆マスク越しに、あたたかな表情が伺える。
「仕事ができること」と「コミュニケーションが高いこと」と言えるでしょうか。
個人的な見解ですが、機械的に仕事をするだけの人には、尊敬の念を抱きません。仕事ができる上に、コミュニケーションスキルが高いと、「人」として惚れ惚れしてしまいます。
なお、幸いなことに「仕事ができない看護師」にはお会いしたことがありません。もし「実は仕事が不慣れで、うまくできない人」がいたのだとしたら、私を騙してくれたことに感謝したいです。患者の身内としては不安を感じさせないことが何よりありがたいからです。
このような看護師さんの優れたスキルを、教師にも置き換えて考えてみます。
保護者が安心するのは、「仕事ができること」と「コミュニケーション能力が高いこと」でしょう。
たとえ「本当は未熟」であったとしても、嘘でもいいから仕事ができるふりをして堂々と振る舞ってほしい。あるいは誠意を持って対応してほしい。
錯覚でもいいから「この先生は信頼できそうだ」と思ってもらえれば、その光背効果で他のことも信用されます。

| | Comments (0)

August 06, 2024

「対比思考」は情報処理能力

「学習指導要領(国語)」の情報の扱い方に関する事項

情報と情報との関係の1・2学年の項目は、次のようになっている。

ア 共通,相違,事柄の順序など情報と情報との関係について理解すること。

その内容についても具体的な記載がある。

これらは、ズバリ「対比」の思考とも言える。

=====================

共通する関係を理解するとは,事柄同士の中から同じ点を見いだしたり,そのことによって共通であることを認識したりすることである。

例えば,一見異なるように見えるもの同士にも見方によっては共通する部分が見いだせることを理解したり,似ているもの同士のどことどこが似ているのかを明らかにしたりすることなどが考えられる。

相違する関係を理解するとは,事柄同士の様子や特徴などについて違う点を見いだしたり,そのことによって相違していることを認識したりすることである。

例えば,一見似たように見えるもの同士にも見方によっては異なる部分を見いだせることを理解したり,異なるもの同士のどこが異なっているのかを明らかにしたりすることなどが考えられる。

事柄の順序の関係を理解するとは,複数の事柄などが一定の観点に基づいて順序付けられていることを認識することである。

例えば,時間,作業手順,重要度,優先度などの観点に基づいた順序が考えられる。

===================

  この「共通する関係」「相違する関係」は、ほぼほぼ「対比」のことだ。

「事柄の順序」は「変化」のことだと理解できるが、この「変化」も対比で思考すると整理しやすい。

 光村図書の場合は、「対比」は、4年の「学習で用いる言葉」として提示されている。

◆二つのものをくらべて、ちがいをはっきりさせること。

対比して説明することで、それぞれのにているところとちがうところ、長所や短所などが分かりやすくなる。

という解説は、指導要領の「共通する関係の理解・相違する関係の理解」のことを表している。

 

具体的には

①説明文「思いやりのデザイン」では、案内図のAとBを対比的に紹介している。

②説明文「アップとルーズで伝える」では、アップとルーズのそれぞれの長所短所を対比的に紹介している。

③物語「一つの花」では、戦争中と戦争後の様子等を対比的に描き、戦争の悲惨さを強調している。

 

3つのテキストでトレーニングしたら、「対比」についてはおよそ理解できるような仕組みになっている。

 

| | Comments (0)

August 05, 2024

夜空にかがやく星を見てみよう

 4年生の1学期の最後に、「夏休みに観察しましょう」くらいの感じで星の観察の単元があった。

 星の観察は授業内ではできないので、動画を見せたり、興味を喚起したりして、家庭での自主的な観察の意欲付けを図ることになる。

 夏休みの旅行中に、きれいな星空を観察する子がたくさんいたらいいなと思う。

 さて、教科書には「夜空を見よう」とある。

 「見る」でいいのか。

 たまたま夜空を見ればいいのか。

  意図的に「みる星を決める・みる位置を決める(変える)・何日も継続してみる」をさせるなら、それは「観る」あるいは「観察」だ。

==================

基本的に『観る』の意味は『見る』と変わりませんが、『見る』よりも意図的に目を向けて、形や様子を探るというニュアンスがあります。

例えば、テレビを何気なくみる場合は『見る』を使用しますが、しっかりと視聴する場合は『観察する』という意味で『観る』を用います。

『見る』は無意識で受動的ですが、『観る』は対象を見極めようという意識や行動があるので能動的です。このように、『視界に入れたときの状況』で判断して、『見る』と『観る』を使い分けましょう。

覚えておきたい「見る」と「観る」の違いと使い分け方|@DIME アットダイム

==================

 生成AIに尋ねてもよかったが、あえてネットで検索してみた。

 というか、もともと「見る」「観る」の違いは、およそ分かってはいたが、うまく言語化できないので、端的に表した記事を検索してみたかった。

 夜空にかがやく星を見るだけでは、星の動きは分からない。

「月や星を見る」ではなく「月や星を観察しよう」と示すべきなのだ。

Photo_20240805160301

| | Comments (0)

「自己調整能力」の大切さ

昨年もブログに引用したが、引用部が長すぎて、言いたいことが絞れていなかった。

==================

 ICTを活用した個別最適な学びは、一人ひとりの学力や特性に合った学びができ、これまでの一斉授業より効率よく学習を進められるという大きなメリットがあります。

しかし、学習意欲・基礎的な学力が高い生徒は自ら進んで学習する一方で、そうでない生徒は学習しない状況が生まれ、学力差がどんどん開いてしまう懸念点があるのです。

 https://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/2397/

===================

 自由進度のような形でどんどん進めていくと、できる子は待たないで済むから、快調に学習できる。ストッパーがない状態ともいえる。

 一方、やる気のない子・自信のない子は、丁寧に支援しないと、自分1人では学習を進められない。

 教師は、自主的に学習できる子へのエネルギーを、そうでない子に注ぐことで格差解消・時間差解消に努めないといけない。

 できる子がどんどん進める中で、遅い子が卑屈にならないようにしっかり支援しないと、できない子は学習意欲を失ってしまう。

 

 公教育は「くもん」ではないから、できる子はどんどん先に進むというシステムになっていない。飛び級もない。公教育はそのデメリットをメリットに変える「何か」をもっていないと、「吹きこぼし」を作ってしまう。自由進度学習は、そのデメリットの解消には役立つだろうが、そこだけ特化すれば、学級内で「ゆがんだ優越感や不必要な劣等感」を誘発してしまう。

 総じて「できる子」の側で過ごしてきた教師は、しっかり「できない子」に寄り添って、彼らの学習意欲・自己調整能力の向上を支援してほしい。 

| | Comments (0)

「情報」の一丁目一番地?

4年生国語(光村)に、「情報」のページとして、「考えと例」が取り上げられている。

2年生が「順序」、3年生が「引用」。

それも、もちろん大事だが、この「考えと例」は、本格的な「論理」の学習だ。

考え と 例

意見 と 具体例

抽象 と 具体

など、様々な言い方がある。

教科書は、一方の矢印になっているが、実際は双方向だ。

具体例 → つまり → 意見

具体例 ← 例えば ← 意見

 

具体例を挙げてから意見を言うか、意見を言ってから例を挙げるかは、本人の戦略次第だ。

Jo1

「抽象化」と「具体化」の2つとも、「言い換え」に該当する。

 

(1)簡潔に言い換える・抽象化する・要約する。

  「つまり」「要するに」「一言で言うと」

(2)詳細に言い換える・具体化する・敷衍する。

  「例えば」「詳しく言うと」「分かりやすく言うと」「具体的に言うと」「別の言い方をすると」

 

 説明型のテスト問題にも、「簡潔に言い換える」「詳細に言い換える」の双方向があり、この2つの表現の往復活動が、記述式の読解力(読解表現力)の基盤になっている。

 ちなみに、論説文はすべて次の3つの構造で成立している。

①「同等関係」

②「対比関係」

③「因果関係」

 

「〜とはどういうことか」は、①の言い換え(同等関係)を問う設問。

「〜はどう違うか」は、②のなにかと対比をさせる設問。

「〜のはなぜか」は、③の因果関係をたどらせる設問。

https://gendai.media/articles/-/83564

000_20240805145301

逆側から整理すると、文の構造には「同等」「対比」「因果」の3つのパターンがあり、その中の「同等関係」は、さらに「抽象化・具体化」の2つのパターンがあるということになる。

| | Comments (0)

「おもしろい」を強要するのはなぜか?

4年2学期国語の物語「友情のかべ新聞」の学習の手引きに次のような課題があった。
◆この物語の、どんなところをおもしろいと思いましたか。理由とともに、まとめましょう。
こういう問い方をすると、文章表現の苦手な子は、すぐに「ない」と答える。
だから、「ない」と言わせないような問い方をした方がいい。
ちなみに、学力調査では「心に残ったところ」を書かせている。 
そもそも・・・
「おもしろい」前提で、このように問う意図がよく分からない。
「一つの花」や「ごんぎつね」のような悲しい話じゃないから、この物語は「どんなところがおもしろいかを聞いても大丈夫」と判断したのだろうか。
 むろん「どんなところをおもしろいと思ったか」は問いやすい。
実質は「文章のどこかを選べ」をクローズに聞いているわけだから
「どんな感想を持ちましたか」
「どう思ったか」
といったオープンクエスチョンよりも答えやすい。
 しかし、4年生2学期後半なので、汎用的に
「この物語を読んで、どう思いましたか。理由とともに、まとめましょう。
として、
「面白い」「つまらない」「納得しない」「感激した」「びっくりした」など様々な感想をもった子が、それぞれの根拠を書けばよい。
子どもから、こうした一言感想を出させて、それぞれ好きなのを選ばせた方が多様でよいではないか。
もっと言うと・・・
「おもしろいところ」を列挙しても作品のテーマを意識させることにはつながりにくい。
「どう思ったか、何を感じたか、何を考えさせられたか」という方向で書かせないと、メッセージやテーマに近づかない。
この作品ならではの特性として「物語のストーリー展開のおもしろさ・謎解きのおもしろさ」を読ませたかった意図は分かる。
しかし、せっかく「一つの花」「ごんぎつね」と読んできたのだから、作品のメッセージ性に着目させたい。
タイトルが「友情のかべ新聞」だから、むしろ主題バレバレの作品だ。
 「この物語を読んで、『友情』についてどう思いましたか。理由とともに、まとめましょう。
と、指定してもよいと思う。
※国語の読みとりには「テーマ」が大事だと思っている。このところ何度か書いています。
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2024/07/post-1a4a85.html

| | Comments (0)

「どんなところ」と「どんなこと」

特定の教科書批判をしたいわけではないので、どこの会社は触れません。

ある学年の国語の物語作品の「学習の手引き」に次のような課題がありました。

 

◆この物語の、どんなところをおもしろいと思いましたか。理由とともに、まとめましょう。

 

そのページには、見本の「ノートの例」が示してあります

◆わたしがおもしろいと思ったのは、東君と西君が「油性ペンをさわろうともしなかった」ことに、「ぼく」が着目したことです。

なぜかというと、その部分を読んで、二人が油性ペンをさわりたくないと思うような出来事があったのかなと、想像できたからです。

 

厳密に言うと、「どんなところをおもしろいと思いましたか?」と聞いているので、

「わたしがおもしろいと思ったのは、・・・ところです」になります。

しかも、この例文の場合、

「さわろうともしなかった」ことに、「ぼく」が着目したことです。

と、「こと」が重複していて、読みづらくなっています。

「さわろうともしなかった」ことに、「ぼく」が着目したところです。

と、すれば、素直に読めたのです。

「どんなこと」と聞かれたら「こと」で答える。

「どんなところ」と聞かれたら「ところ」で答える。

「なぜ」と聞かれたら「から・ため」で答える。

聞かれ方に正対して答えるから、言葉に敏感になれるのです。

 

| | Comments (0)

August 04, 2024

学力調査の課題は、授業展開の課題。

6年生の4月に取り組む学力調査。
5年生学年末まで、ペラ1枚の市販テストしか取り組んでいなかったとしたら、それでは子どもが可哀そうだ。
問題は22ページある。時間は45分。
ならば、市販テストは裏表10分で解けるくらいの処理速度が求められると言えよう。
なにしろ、市販テストは既に読んだことのあるテキスト、見覚えのある漢字・語句なのだから。
そして、心に残った場面の感想を5分・下書きなしでスラスラ100字程度書けるくらいの作文力があるとよい。
日頃から、授業の最後3分の振り返りで100字くらい書かせたい。
ここ数年、国語の授業を参観して感じていたのが、第1時の中身の薄さ。
「教材を読んで、感想を書いて終わり」という「とりあえず第1時」では、子どもの頭はフル回転しない。
①テキストの前の「リード文」を読む。
②範読を聞く(CDを聞く)
③必要な個所に線を引いたり、印をつけたりする。
④時代背景などの補足を聞く・画像を見る(スキーマの問題)
⑤自由な感想メモを書く。
⑥主題とか対立軸とか教師の指定する課題についての意見を書く。
⑦一字読解で5W1Hを10問ほど問い、〇付けまで済ます。
ちなみに、1字読解で適切な問題を出すと、次の時間には「市販テスト」が解けてしまう。
学力調査の45分と同じくらいの密度で、
「課題意識をもってテキストを読み、問いに答え、自分の意見を書く」
に取り組ませないと、学力調査問題では時間切れになる。
「無回答」が問題点として話題になるが、時間切れも十分問題なのだ。
4c167c47afd8408183d6cae26e634334

| | Comments (0)

August 02, 2024

「読解力」について再び考える

初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第376号 2020/1/24

当時の初等中等教育局財務課長 合田哲雄氏の論稿は、なにげに書いてあるが、中身は重い。

意図的に改行を加えて提示する。

================
 では、「子供たちが未来社会を自立して切り拓くための資質・能力」って何でしょうか。 
〜中略〜

・ 教科書や新聞、新書などの内容を頭でベン図などを描きながら構造的に正確に読み取る力、
・歴史的事象を因果関係で捉える、比較・関連付けといった科学的に探究する方法を用いて考えるといった教科固有の見方・考え方を働かせて、教科の文脈上重要な概念を軸に知識を体系的に理解し、考え、表現する力、
・対話や協働を通じ、新しい解や「納得解」を生み出そうとする態度、

が大事なのですが、これらは、「書くことは考えること」という指導、多様な子供達がともに学ぶなかでの「学び合い」「教え合い」の学校文化、教科教育研究や授業研究といった固有の財産を持つ我が国の学校教育が150年にわたって重視してきた力そのものです。
=========================

 情報の正しい読み取りと、分析、解釈、自分なりの見解の表明といった一見目新しい情報リテラシー、読解力リテラシーの課題は、決して目新しいものではなく、我が国がこれまで重視してきた力であると主張されている。

 だからといって、昭和に戻れといってもいるわけではないが、全く新しいことに取り組む「ゼロ発進」というわけでもない。

 「論理的思考力」についてちょっと取り組んできた自分にとっては、「まことにその通り」なのだが、かといって油断していると、最新の知見や最新の情報を取りこぼしてしまう。

 自分の都合のいい情報だけを取り上げて自分の主張を正当化する「認知バイアス」に陥らないように謙虚に学んでいきたい。

 合田氏の主張に「わが意を得たり」で慢心すると、置いてきぼりになる。

| | Comments (0)

ルールを押し付ければいいわけじゃない!

学習ルール(○○スタンダード)を、きまりだからと子供たちに無理矢理押しつけても成果は上がらない。
ルールだと分かっていても衝動的に行動する子がいる。

彼らの特質を踏まえ、未然に防いだり、やってしまった行動をフォローしたりする教師の日々の指導が大事だ。

というわけで、「学習ルール設定の基本的な考え方」という文書を運営委員会で見てもらった。
参考文献は「実践障害児教育」2020年2月号。全文コピーしても読みづらいのでピックアップした。
                             
例1:指名されていないのに、答えを口にしてしまう子。

①いくら正しい発言でも、取り合わない。静かに手を上げた子を指名することを継続する。

②「黙って手を上げるんだよ」「先に答えは言わないで」と事前に注意を促す。

③「自分も言いたい・授業に参加したい」という意欲を受け止めながら、「今は、話を聞こうね」と言葉をかける。

④次のチャンスで静かに挙手していたときに指名する。我慢できたときにOKサインをおくる。

⑤自分の意見を言うだけでなく、人の意見を聞くことも大事な学習であることを日ごろから教える。
 また、人の話を聴かないと困るような場面やゲームを意図的に取り入れる。


例2:授業中、静かにすべき場面で、ほかの子と話す子

①「今は、大事な説明だから聞いていないと困る」というように、静かにする必要性を話す。

②具体的な場面で、話してよい時とそうでないときの区別を教える。

③授業時間の中で、ペアやグループなどで話ができる時間を設定し、メリハリをつける。

④きちんと静かにしていた場面をほめる。「あの時はできていたから、やればできる」などと励ます。

⑤友達と席を離す・教師の近くにするなど、座席の位置を工夫する。

⑥相手の子が迷惑しているなら、それを伝える。

相手の子がおしゃべりを望んでいるなら、相手の子も話に応じるべきではないことを指導する。

⑦授業に関する事や、隣にしか聞こえない声ならOKといったルールの有無を全体で再確認する。


例3:授業中、なかなかノートをとらない子。

①(全体に・あるいは個別に)書く分量を減らす。

②ノートの新しいページなど書く場所を明確に示す。書き込みのワークシートを用意する。

③書く時間を確保する。「鉛筆を持って。よーいはじめ」などスタートを意識させる。
 タイマーを使って、所要時間を意識させる。
 「書けた人は○○をする」など、終わりを意識させる。

④児童の発達段階によっては無理強いしない・字が汚くても書き直しさせない。

 

我々教師が困っている子は、本人も困っていることを忘れないで対応したい。

| | Comments (0)

「努力が報われない人は 仕事選びの戦略がない」

「週刊東洋経済」2019年5月25日号の山口周氏の連載の覚書が出てきた。

 「努力が報われない人は 仕事選びの戦略がない」

 坂本龍一は、デビッドボウイが出演する「戦場のメリークリスマス」、ベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」と、ここぞという仕事を選び、全力を注ぐことで世界的な評価を上げた。坂本龍一を例にして、「どうでもいい仕事」は適当にやり過ごし、人生を大きく変える可能性のある「ここぞ」という仕事に全エネルギーを注ぐことの大切さを説いている。

◆これは軍事においても同じことで、前線に戦略資源を空間的・時間的に分散して投入する、いわゆる「戦力の逐次分散投入」は最も忌避されるべきスジの悪い戦略です。「いつも頑張っているのに」と言って嘆いている人の多くは、自分の時間と労力という戦略資源をまさに逐次分散投入してしまっている、ということです。

◆引き受けた仕事に全力を出し切るのは美徳かもしれませんが、人間の時間と体力には限りがありますからすべての仕事に全力で取り組むことは現実には不可能です。つまり、そもそも「どの仕事を引き受け、どの仕事を引き受けないか」という仕事選びの戦略に裏打ちされてこそ、その「引き受けた仕事に全力で取り組む」という美徳が成果と評価につながるのです。

◆日の当たらない場所でも地道に頑張っていればいつかきっと報われる、という考えは社会心理学の用語では公正世界仮説と呼ばれます。これは「仮説」というよりも「願望」といったほうがよいでしょう。(中略)
むやみに努力をするばかりで、努力をする場所を選ぶという戦略をないがしろにしては、いつまで経っても「頑張っているのに報われない」から抜け出すことはできません。

 「いつも80点で頑張っている人」は、「ふだん60点だけど、ここぞと言う時に120点を出せる人」には勝てないと山口氏は言う。
 平均的に優秀な人は要らない。欠けたところがあっても1つ抜き出た人の方が評価される。
 そのことを秋元康氏は「記憶に残る幕の内弁当はない」と表現した。
 https://blogos.com/article/139067/

 最近は「平均的に高い人は要らない」のだと聞くことが多い。まさに「一芸推薦」だ。

 人はあれもこれもできない。「ここぞ」という点に絞ってエネルギーを注ぎたい。野口芳宏先生は「絶縁能力」と表現していたことを思い出す。

 それぞれが持ち味を生かして120点を出せば、世の中全体のパフォーマンスは高くなる。

| | Comments (0)

責任をかぶるのが上司の仕事

5年前のこと。「働き方改革」については、いろいろ手を打ってきた。

◆子供のためであればどんな長時間勤務も良しとするという働き方の中で、教師が疲弊していくのであれば、それは子供のためにはならない。
学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること。
 
・・・何のために、疲弊してまで働いているのか。ここが「本末転倒」のカギになる。
 長時間勤務が続けば、授業力を磨くことも、自身の人間性や創造性を高めることもできず、子どもに対して効果的な教育活動を行うことができなくなってしまう。「子供たちに対して効果的な教育活動を行う」という目的を見失ってはいけない。


◆今後学校へ新たな業務を付加するような制度改正等の際にはスクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底

・・・1つ増やしたら1つ削る「スクラップ・アンド・ビルド」。この方針を貫きたいものだ。

 引用は「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」の【概要】平成31年1月25日中央教育審議会より

 ところで、本校でも年度当初に業務の削減について

「新学習指導要領のせいにしてもいいし、新しく来た校長のせいにしてもいい。変えるならこの2年がチャンスだ」

と伝えた。
 文科省初等教育局財務課長の合田哲雄氏は、堀田龍也氏との対談で次のように語っていることを後日知った。

============
堀田「こういった業務の見直しは、保護者や地域の方から反発される恐れもありますね。

合田「そのときは、どうぞ文科省のせいにしてください。『学校としては今まで通り行いたいのですが、文科省がダメと言っているので・・」と文科省を悪役にしていただきたいと思っています。
 フリーマガジン「ウータン」42号(JEES発刊)
============

・・・誰かがスケープゴートにならないと改革が進まないのは寂しいが、合田先生のような方が文科省にいると心強いのだ。

| | Comments (0)

August 01, 2024

自由な時間が「問いの情熱」を育む

 ある高校の入試問題に森本哲郎『生き方の研究』の一節があって、純粋な読書としてその意味内容に感心したことがある。


=======================
 三歳から六歳ごろまでの子どもにとって、何より大切なのは、さしでがましい大人の干渉を受けずに、自分で自分の能力を開発するということである。つまり、自分で遊びを工夫し、あれこれ思案し、探索し、存分に好奇心をふくらませることだ。(中略) 
 学問とは、読んで字のごとく、問うことを学ぶことである。幼年期、それにつづく少年期が人生でいちばん大切というのは、この時期こそ、心から問いを発する、そして、問うことを自分で学ぶ年齢だからである。この時期に問うことを学びそこなうと問いの情熱はもう一生戻ってこない。
(中略)情報化社会といわれる現代の子どもたちには、問う前にすでに答えがある。(略)子どもたちは答えだけをきかされて育つのだ。そんな環境のなかで、どうして子どもたちは問うことを学べようか。
========================
 
 「自分で遊びを工夫し、あれこれ思案し、探索し、存分に好奇心をふくらませること」は、まさに探究のシンキングサイクルである。
 子供は何でもかんでも聞いてくる。
 「あれは何?」「なぜ〇〇なの?」
 いちいち尋ねる好奇心こそが「知の原動力」だ。
 「問い」が大事。「問いの情熱」が大事。
  他人の問いに答えるのではなく、自分で問うて自分で考えることが大事。 
  
 「自由試行=飽きるまで存分に触れさせる理科の授業」
が思い浮かぶ。
 答えを与えるのでなく、まずは自由な時間を与え、
 飽きるまでの体験の後に「分かったこと。気づいたこと・思ったこと」の列挙させる。
 さらに「探究活動」、「討論」。場合によっては「問題作り」。

 森本氏の文章では、この部分の前に、幼年期に「むだな時間がない」ことが批判されている。
 夏休みの「自由な時間」を「あれこれ思案し、探索し、存分に好奇心をふくらませる」ように仕向けられるかどうかは、1学期の教師の方向付け次第(「むだな時間」の指導次第)なのだとつくづく思う。




 夏休みの課題で中途半端に子供を縛るのではなく、「自由試行」「自問自答」「探究活動」ができるような時代になるべきなのに・・・

| | Comments (0)

どうしたら「音」が出るのか?

3年生の理科では2学期に「音」を扱います。

理科教材の見本の中に、小さなトライアングルが入っていたので、手に持って叩いてみました。

当然ですが、手で持っているので音は鳴りません。

音の鳴らない感触を確かめるために何度も叩いていたら、隣の先生から

「先生、手で持っていては、鳴りませんよ」と指導を受けてしまいました(笑)。

 

持っていたらカチカチ鳴るけど、音は出ません。知ってます。

ただし、「実験キットにトライアングルがあるから、鳴らしてみよう」と言われて取り出した子供たちは、こんな風に「カチカチ」体験をして、あれ、きれいな音が出ないなと思うのではないでしょうか。

だからこそ、「どうしたらきれいな音がなるのかな」という単元を貫く課題が設定できて、自由試行があって、探究活動が始まります。

指で押さえたら振動を止めてしまうから音が鳴らない。

振動が止まらないように宙づりにしたら、音が出る。

音の正体は、振動である。

・・・このロジックを実感させ、自分の言葉で説明させたいです。

Img_55031

 

| | Comments (0)

« July 2024 | Main | September 2024 »