「努力が報われない人は 仕事選びの戦略がない」
「週刊東洋経済」2019年5月25日号の山口周氏の連載の覚書が出てきた。
「努力が報われない人は 仕事選びの戦略がない」
坂本龍一は、デビッドボウイが出演する「戦場のメリークリスマス」、ベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」と、ここぞという仕事を選び、全力を注ぐことで世界的な評価を上げた。坂本龍一を例にして、「どうでもいい仕事」は適当にやり過ごし、人生を大きく変える可能性のある「ここぞ」という仕事に全エネルギーを注ぐことの大切さを説いている。
◆これは軍事においても同じことで、前線に戦略資源を空間的・時間的に分散して投入する、いわゆる「戦力の逐次分散投入」は最も忌避されるべきスジの悪い戦略です。「いつも頑張っているのに」と言って嘆いている人の多くは、自分の時間と労力という戦略資源をまさに逐次分散投入してしまっている、ということです。
◆引き受けた仕事に全力を出し切るのは美徳かもしれませんが、人間の時間と体力には限りがありますからすべての仕事に全力で取り組むことは現実には不可能です。つまり、そもそも「どの仕事を引き受け、どの仕事を引き受けないか」という仕事選びの戦略に裏打ちされてこそ、その「引き受けた仕事に全力で取り組む」という美徳が成果と評価につながるのです。
◆日の当たらない場所でも地道に頑張っていればいつかきっと報われる、という考えは社会心理学の用語では公正世界仮説と呼ばれます。これは「仮説」というよりも「願望」といったほうがよいでしょう。(中略)
むやみに努力をするばかりで、努力をする場所を選ぶという戦略をないがしろにしては、いつまで経っても「頑張っているのに報われない」から抜け出すことはできません。
「いつも80点で頑張っている人」は、「ふだん60点だけど、ここぞと言う時に120点を出せる人」には勝てないと山口氏は言う。
平均的に優秀な人は要らない。欠けたところがあっても1つ抜き出た人の方が評価される。
そのことを秋元康氏は「記憶に残る幕の内弁当はない」と表現した。
https://blogos.com/article/139067/
最近は「平均的に高い人は要らない」のだと聞くことが多い。まさに「一芸推薦」だ。
人はあれもこれもできない。「ここぞ」という点に絞ってエネルギーを注ぎたい。野口芳宏先生は「絶縁能力」と表現していたことを思い出す。
それぞれが持ち味を生かして120点を出せば、世の中全体のパフォーマンスは高くなる。
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