「おもしろい」を強要するのはなぜか?
4年2学期国語の物語「友情のかべ新聞」の学習の手引きに次のような課題があった。
◆この物語の、どんなところをおもしろいと思いましたか。理由とともに、まとめましょう。
こういう問い方をすると、文章表現の苦手な子は、すぐに「ない」と答える。
だから、「ない」と言わせないような問い方をした方がいい。
ちなみに、学力調査では「心に残ったところ」を書かせている。
そもそも・・・
「おもしろい」前提で、このように問う意図がよく分からない。
「一つの花」や「ごんぎつね」のような悲しい話じゃないから、この物語は「どんなところがおもしろいかを聞いても大丈夫」と判断したのだろうか。
むろん「どんなところをおもしろいと思ったか」は問いやすい。
実質は「文章のどこかを選べ」をクローズに聞いているわけだから
「どんな感想を持ちましたか」
「どう思ったか」
といったオープンクエスチョンよりも答えやすい。
しかし、4年生2学期後半なので、汎用的に
「この物語を読んで、どう思いましたか。理由とともに、まとめましょう。」
として、
「面白い」「つまらない」「納得しない」「感激した」「びっくりした」など様々な感想をもった子が、それぞれの根拠を書けばよい。
子どもから、こうした一言感想を出させて、それぞれ好きなのを選ばせた方が多様でよいではないか。
もっと言うと・・・
「おもしろいところ」を列挙しても作品のテーマを意識させることにはつながりにくい。
「どう思ったか、何を感じたか、何を考えさせられたか」という方向で書かせないと、メッセージやテーマに近づかない。
この作品ならではの特性として「物語のストーリー展開のおもしろさ・謎解きのおもしろさ」を読ませたかった意図は分かる。
しかし、せっかく「一つの花」「ごんぎつね」と読んできたのだから、作品のメッセージ性に着目させたい。
タイトルが「友情のかべ新聞」だから、むしろ主題バレバレの作品だ。
「この物語を読んで、『友情』についてどう思いましたか。理由とともに、まとめましょう。」
と、指定してもよいと思う。
※国語の読みとりには「テーマ」が大事だと思っている。このところ何度か書いています。
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2024/07/post-1a4a85.html
「国語」カテゴリの記事
- 都道府県の旅(カンジー博士)(2024.08.24)
- 何のために新聞を作らせるのか?(2024.08.23)
- テスト問題の意味を教えないと汎用的な技能が身につかない。(2024.08.22)
- 「対比思考」は情報処理能力(2024.08.06)
- 「おもしろい」を強要するのはなぜか?(2024.08.05)
Comments