「防衛的悲観主義」のススメ
「勉強する気はなぜ起こらないのか」外山美樹(ちくまプリマー新書)⑤
ポジテイブが正しくて、ネガテイブが誤りとは限りない。
心配性には心配性のメリットがある。
この本を読んで、自分はまさに「防衛的悲観主義」のタイプだなと思った。
◆用意周到な準備ができた防衛的悲観主義の人は文字通り「何が起きても大丈夫」という自信のもとで積極的な態度で本番を迎えることができます。P145
不安を列挙し全部クリアさせることで安心するタイプ。
最悪の事態を想定し、最善を尽くすことで不安な自分をコントロールするタイプ。
このタイプの人が、無理に楽観的に考えるとうまくいかない。不安なのに無理にポジティブに考えようとすると裏目に出るのだ。
かつて自動車教習所で「だろう運転」はなく「かもしれない運転」をしろと教わった。
警察のスタンスは、「いつも最悪を想定して慎重に行動しましょう」だ。「備えあれば憂いなし」なのだから。
最悪が起こると思っておけば、ショックを和らげることもできる。楠木建氏の「絶対悲観主義」〜大丈夫、どうせうまくいかないから〜のスタンスは、それはそれで潔い。
ただし楽観主義者に悪い出来事を想像させるとパフォーマンスが下がると言う。
心配性も度を越すと「杞憂」になり、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということになる。
少なくとも、やる気を高める原動力はそれぞれのタイプによって異なるのだということは理解し、相手のタイプを尊重したい。
人生経験の長いおじさんからすれば、若い世代のポジティブな行動は無謀にも思えるが、だからと言って彼らの行動を全て否定したり規制するのは「大きなお世話」なのだ。
外山美樹氏の論文が検索できた。
◆認知的方略の違いがテスト対処方略と学業成績の関係に及ぼす影響1 -防衛的悲観主義と方略的楽観主義-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/53/2/53_220/_pdf/-char/ja
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