August 04, 2022

日本の命運をかけた宇宙開発

堀江貴文氏の宇宙開発は、趣味や道楽ではないことが、以下のサイトでよくわかる。https://dentsu-ho.com/articles/8066
内燃機関エンジンのレッドオーシャンで日本に勝てない欧・米・中が撤退してEV移行を目論んでいる。
それなのに、一人勝ちの日本が自分からEVのレッドオーシャンに飛び込むってどういうことなの?という危機的状況だ。
EVシフトによって、日本の自動車産業が大打撃を受けることが明らかになった今、日本はオールジャパンで宇宙開発に取り組むことが、国家としての最善策だ。
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自動車はEV(Electric Vehicle、電気自動車)の時代といわれていますが、EVはバッテリー、モーター、コンピュータを買ってくれば、誰でも作れちゃう。HV(Hybrid Vehicle、ハイブリッド車)や水素よりも、ずっと簡単です。いま、技術でかなわないEUや中国が、日本車をつぶしにきているのではないかとさえ思います。そうなったら、日本の自動車産業が持っていた貴重なサプライチェーンが破壊されてしまう。
それでも僕は、宇宙産業でかなりの程度、日本のサプライチェーンを吸収できると考えています。日本は各地に、自動車、造船、鉄鋼などの集積がある。これ全部、宇宙産業につながります。ロケットや衛星は国家安全保障、経済安全保障につながるものなので、国内で製造し、部品も国内で調達する必要がある。オールジャパンでやるしかない。
宇宙は「産業の総合格闘技」です。例えば特殊鋼の技術。そもそも特殊鋼が作れる国は世界に数えるほどしかない。日本は百年の鉄の歴史があり、資本市場も充実している素晴らしい国です。ロケット産業を育成することが、価値の継承につながります。
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・・・加えて、日本の「地の利」まで意識したことはなかった。それも、幸運の女神のおかげか。
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例えば東南アジアの国の多くは、自前の観測衛星が欲しい。でもそれを運ぶロケットを作れない。それで日本に頼もうとなる。受注はたくさん取れます。
日本が他国より優れている点は、“地の利”です。ロケットは東か南に打ち上げます。静止軌道は南なので、特に赤道近くが有利。低軌道は東で、ある程度の高緯度が有利です。
アメリカは、「静止軌道はカリフォルニア州」「低軌道はフロリダ州・テキサス州」など場所を変えます。その点、インターステラテクノロジズがある北海道・十勝には地の利がある。東も南も、空がキレイに空いている。“東と南が抜けている”アドバンテージ。これは先進国で、日本しかない。
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堀江氏が宇宙ビジネスに取り組んでいるのは、趣味や道楽ではない。
自動車産業の今後が怪しい中、そこに特化することで多くの雇用が確保できる。
個人の利益のためでもあるとは思うが、国益を担っていることが間違いない。
「勝手にやれば」とお任せしていいレベルの話ではない。
オールジャパンの問題なのだ。

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March 06, 2016

「憲法改正」は、自民党の党是

  安倍首相は、憲法改正について「結党以来の党是」と述べた。
  確かに、次のようにある。

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党の政綱    昭和三十年十一月十五日

一、国民道義の確立と教育の改革
ニ、政官界の刷新
三、経済自立の達成
四、福祉社会の建設
五、平和外交の積極的展開
六、独立体制の整備

 平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う。
 世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外国軍隊の撤退に備える。

https://www.jimin.jp/aboutus/declaration/
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 たとえば。田原総一郎氏は、自民党の党是が「憲法改正」であることから、憲法の拡大解釈でごまかさず、堂々と憲法改正を問えと言う。

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◆憲法改正は、自民党結党以来の党是だ。
安倍首相は、スタート地点に戻って、「憲法」と「安全保障」のあるべきかたちを、正面から国民に問いかけるべきなのだ。
http://blogos.com/article/132443/
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 安倍首相は個人的な思いで「憲法改正」を推進しようとしているわけではない。
 むしろ、憲法改正を正面に据えて訴えてこなかった従来の自民党党首こそが批判されるべきなのだ。

 むろん、 「憲法改正すべき」という意見と、「憲法○条を改正すべき」は意味が違う。
 どこをどう改正するかは国民が決めればよい。
 まずは、「憲法」は、改正されるべき対象であることを示すことが大事なのだ。
 聞けば、朝日新聞も共産党も、戦後は「憲法改正」を主張していたそうではないか。

 昭和21年11月3日の朝日新聞の社説の主張は極めてまっとうである。

◆憲法は、国家の基本法であるから、しばしば改正することは、もとより望ましいことではないが、人民の福祉のために存在する法律である以上、恒に生命のあるものとしておかねばならない。(中略)慎重は要するが、憲法改正については、国民として不断の注意を怠らないように心がけるべきである。
   『戦後 歴史の真実』前野徹著(扶桑社文庫)p195

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January 02, 2014

安倍内閣総理大臣スピーチで昨年を振り返る

 昨年の日本を振り返るのに、安倍首相の生の言葉は参考になった。というより、これほど、まとまっていたら、もう何も付け足すことはないのだという気になった。

平成25年12月19日日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1219speech.html

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1.はじめに
 ご無沙汰しております。本年5月に、この日本アカデメイアで、成長戦略のスピーチをやらせていただきました。
 現職の総理大臣が、これだけの頻度で特定の会合に出るということも、滅多にないと思います。
 総理の年間の国会出席日数は、ドイツが11日、フランスが12日、あのイギリスですら36日であります。しかし、日本は、127日と、だんとつで多い。
 具体的な数字で聞くと、やはり迫力が違います。皆さんのこの調査のおかげで、国会改革の議論もようやく本格化しましたので、そのお礼もかねて、やってまいりました。
 昨日はさらに、「首相を待機時間から解放」、「首相の委員会出席を制限する」といった提案を発表されたと聞きました。目に入った部分だけを引用して恐縮ですが、これを機に、国会改革がさらに加速することを期待しております。

2.臨時国会
 先の臨時国会は、55日間の会期で重要な法案がいくつも成立しました。近年稀にみる、密度の濃い国会であったと思います。
 今後の社会保障改革のプログラム法が成立しました。さらに、産業競争力強化法のほか、電力自由化、再生医療の促進、農地集積バンク、国家戦略特区など、成長戦略関連法案が成立しました。
特定秘密保護法ばかりが注目されましたが、「成長戦略実行国会」の名にふさわしい国会であったと思います。
 「数の力の横暴」などと批判も受けましたが、実際には、まったく異なります。与野党の修正協議が盛んに行われた国会でした。
 産業競争力強化法、国家戦略特区法、そして農地集積バンク法といった重要法案が、野党と修正で合意した上で、成立しました。
 今は、野党にも、政権与党を経験した方がたくさんいます。選挙で国民に約束した政策を、少しでも実現したいと考える。国民に対して、大変誠実な姿勢だと思います。
「Her majesty’s opposition」
 イギリスでは、野党のことをこう呼びます。「女王陛下の野党」。つまり、野党も国政に責任を負っている、という考え方です。
 単なる「抵抗野党」でなく、「責任野党」として政策実現を目指す。私は、こうした野党とは、今後も、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、より良い結果を目指したいと考えています。
 祖父の岸信介が、かつて、「もう一度総理大臣になれたら、もっとうまくやるのに」と、よく語っていました。一度目の失敗は、私の胸に深く刻み込まれています。
 「信なくば立たず」。今は、前回の反省の上に立って、謙虚に、できるだけ多くの国民の理解と合意を得る努力を続けることが重要だ、と自覚しております。
 国会安全保障会議、いわゆる「日本版NSC」を設置する法律や、特定秘密保護法についても、実際には、野党と修正協議を行い、合意に達することができました。
 特定秘密保護法には、厳しい世論があります。国民の皆さんの叱声であり、謙虚に、真摯に受け止めなければならないと考えています。
 私自身が、もっと丁寧に時間をとって説明すべきだった、と反省もしています。政府として、今後とも、国民の皆さんの懸念を払拭すべく、丁寧に説明を積み重ねていく考えであります。
 世界各国では、国家秘密の指定と解除、保全などには、明確なルールがあります。もし我が国が、こうした秘密情報の管理ルールを確立していなければ、外国から情報を得ることはできません。
 この法律により、機密管理に関する明確なルールができました。さらに運用の透明性を確保することで、「知る権利」や「言論の自由」が侵されることは決してないことを、国民の皆さんに御理解いただけると思います。
 外交・安全保障政策の司令塔たるNSCと、その活動の基礎となるルールである特定秘密保護法。ようやく、安全保障政策を進める「車の両輪」がそろった、と考えています。

3.外交・安全保障
 今週、「国家安全保障戦略」を策定しました。我が国で、初めてのものです。北岡先生には、懇談会の座長として、大変なご尽力をいただきました。
 北朝鮮による核・ミサイルの問題があります。中国が、一方的に、防空識別区を設定しました。尖閣諸島周辺では、領海侵入が相次いでいます。力による現状変更の試みは、決して受け入れることはできません。
 南西地域をはじめ、我が国周辺の広い海、そして空において、安全を確保するため、自らの防衛態勢を強化することが必要です。今週、防衛大綱の抜本的な見直しも行いました。
 その上で、日本は、国際協調のもと、世界の平和と安定に、これまで以上に、積極的な役割を果たしていかねばなりません。
 今回の戦略では、全体を貫く基本思想として、我が国が、「積極的平和主義」の立場をとることを、鮮明にしました。
「The world must be made safe for democracy.」
 国際連盟を提唱した、アメリカのウィルソン大統領の言葉です。それまでアメリカ大陸にしか関心がなかったアメリカが、「モンロー主義」を放棄した瞬間であります。
 それは、民主主義の価値を守るためであり、世界の平和を守るためであり、そのことが、アメリカの平和につながる、との信念からでありました。
 それから1世紀。世界は格段に小さくなり、相互依存を強めています。世界の平和と安定なくして、我が国の平和と安定を守れません。
 自由で、安全なシーレーンによって、資源を輸入し、世界を相手に貿易をしている、経営者の皆さんは、そのことを、日々実感しておられることでありましょう。
 世界のコンテナの約2割が通過するアデン湾では、日本の自衛隊の活動を、日本の船舶だけでなく、世界が頼りにしています。海賊対処に共にあたっている連合海上部隊のミラー司令官に、本日官邸で会いましたが、日本の活動に高い評価をいただきました。
 海を挟んだ隣国フィリピンでは、すさまじい台風被害を受けた地域で、日本の医療チームのほか、1200名規模の自衛隊員が、緊急支援を行いました。
 首相官邸フェイスブック英語版で、この活動を紹介したところ、これまで一日数十件しかなかった「いいね!」が、フィリピンの方々からの感謝コメントを中心に、一晩だけで6万件以上も寄せられました。
 カンボジアでは、日本の女性たちの活躍で、乳幼児の死亡率が半減しました。日本式の保健・医療は、生活水準の向上に大きく貢献をしています。
 こうした様々な活動を通じ、世界の平和と安定に貢献しています。日本の平和と安定を守るためにも、日本は内向きであってはなりません。
 先週の日・ASEAN特別首脳会議では、生活水準の向上や経済的な繁栄など重層的なパートナーシップの上に、日本とASEAN諸国の防衛大臣による協議の場を持つことを提案し、今後進めていくこととなりました。
 日本の「積極的平和主義」の船出にふさわしい会議になったと思います。
 今後とも、日米同盟を基軸とし、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値を共有する国々との連携を強化してまいります。
 今年は、慌ただしく、海外を飛び回りました。1月の東南アジア訪問を皮切りに、13回も海外にも出かけ、訪れた国は全部で25カ国であります。
 TICADをはじめ、国内にもたくさんの海外首脳を迎え、首脳会談は全部で150回を超えました。さらに国会に127日も呼ばれたら、それだけで、ほぼ1年がつぶれる計算です。
 トルコには、この1年間で二度訪問しました。
 春の訪問で、エルドアン首相と、2020年のオリンピック・パラリンピック開催地にどちらが選ばれても祝福しよう、と約束しました。
 ブエノスアイレスでは、東京が選ばれた直後、祝福のため私の所に来てくれました。自国の都市が落選し、ショックは大きかったはずですが、私との約束を守ってくれました。
 秋には、私がエルドアン首相との約束を守り、日本の技術力で実現したボスポラス海峡地下トンネルの開通式に出席しました。同じタイミングで、首脳会談を行い、トルコへの原発輸出が決まりました。
 カナダのハーパー首相との会談では、シェールガスの輸出が決まりました。
 ロシアのプーチン大統領とは、外務大臣と防衛大臣による定期協議、いわゆる「2+2」を開催することや、平和条約の締結に向けて次官級の協議の場を設けることで合意をしました。
 やっぱり、直接会って信頼関係を築きながら、一つひとつ前に進む。政治も、外交も、ビジネスも、すべて同じではないでしょうか。
 いかなる課題があろうとも、首脳同士が、膝詰めで、直接話をすることで、物事が大きく動きます。「トップ外交」の重要性を、改めて、実感した1年でありました。
 本日もいらっしゃっている、武田薬品の長谷川さんが、先日、後継社長に、初の外国人社長を起用すると発表されました。
 230年もの歴史ある会社で、大胆な決断をされたと思います。しかし、グローバルにビジネスを展開し、国際的な競争力が勝負となる時代には、むしろ自然な決断ではないかと思います。
 残念ながら、総理大臣は、外国人というわけにはいきませんから、私自身が、足で稼ぐほかに、道はありません。
 リーダーが、永田町半径1kmの範囲内での生活に追われているようでは、日本は、世界で勝ち残ることはできません。来年も、世界に目を向け、足を運んで、積極的にトップ外交を展開してまいります。

4.成長戦略
 大詰めのTPP交渉を動かすのも、最後は、トップの判断です。
 企業活動の国境をなくす。そのためには、知的財産権、投資、政府調達、国営企業、環境規制、地方政府へのルール適用など、ありとあらゆる野心的な課題に、結論を出さねばなりません。
 個別各論ではなく全体を見て、国益にかなう最善の判断を行う。これは、トップリーダーにしかできません。バリでの首脳会談では、私から、そう申し上げて、各国から賛同を得ました。
 米国とは、農業と自動車で、タフな交渉を続けています。「攻めるべきは攻め、守るべきは守る」との原則のもと、安易な妥協は決してしません。
 自由や民主主義といった価値観を共有する国々が集まり、成長センターであるアジア・太平洋に、一つの経済圏をつくる。これは、新たな「アジア・太平洋の世紀」に向けた「百年の計」です。
 同盟国でもあり経済大国でもある、日本とアメリカが、このような大きな視点を持って、交渉をリードする。最後まで、その自覚を持ち続けることができるかが、成功のカギであると考えています。
 「できるか、できないか」ではなくて、「やるか、やらないか」ではないか。私はそう考えてます。私も、先頭に立って、早期の交渉妥結に向けて取り組んでまいります。
「世界で勝って、家計が潤う。」
5月のスピーチで、こう申し上げました。あれから7か月。あのときご説明した政策は、すでに「実行」の段階に移っています。
 例えば、『日本を、世界に誇る「実証先進国」にする』と申し上げました。そして、産業競争力強化法で新たに「企業実証特例制度」を創設しました。あらゆる分野で、フロンティアに挑む企業に、新たな規制緩和によりチャンスを広げます。
 ぜひとも皆さんにもご活用いただき、イノベーションにつなげてほしいと思います。
 国家戦略特区も、来年3月を目途に、具体的な地域を指定します。容積率規制や病床規制の緩和、公設民営学校は、長年実現しなかったものです。投資減税や固定資産税の軽減も行います。
 今後も、規制改革で追加的なニーズが明らかになれば、機動的に法改正を行います。進化し続ける戦略特区として、ニューヨークやシンガポールにも匹敵する、世界で最もビジネスしやすい環境を、目に見える形で、日本の中につくりあげていきます。
 実行だけではありません。すでに「成果」も生まれています。
 5月のスピーチで、『「観光立国」を目指して、ASEAN諸国からの観光客へのビザ制度を見直す』と申し上げました。例えば、タイからの観光客には、この夏からビザを免除しました。その後、観光客は、前年比で9割増えています。
 大橋さんの全日空は、さっそくバンコク線の増便を決めたそうです。成長する会社は、時代の変化に敏感ですね。
 そして、あの時申し上げた「訪日者数1000万人」目標の実現は、ほぼ間違いありません。おそらく明日には、1000万人を突破するはずです。これまで年間800万人程度でしたから、過去最高です。
 「やれば、できる。」来年以降は、次の2000万人の高みを目指し、外国人旅行者に不便な規制や障害を徹底的に洗い出し、観光立国をさらに加速してまいります。
「実行なくして成長なし」。
 臨時国会では、電力自由化や再生医療の促進などの法律も成立しましたが、今後も、とにかく成長戦略の実行に全力をあげてまいります。
 5月のスピーチでは、農業・農村全体の所得倍増を目指し、農業の成長戦略についてもお話しました。
 農業の構造改革を進めるには、農地の集積が、何よりも重要です。そのための農地集積バンクが、法律が成立し、いよいよ動き出します。
 さらに、40年以上続いてきたコメの生産調整の見直しを決定しました。いわゆる「減反」の廃止です。
 農業分野といえば、「古い自民党」の象徴のように言われてきた。減反の廃止なんて、自民党には絶対できないと思われてきました。
 しかし、金丸さんや新浪さんの力も借りて、農政の大転換を行うことができました。
 これで終わりではありません。
 先般、「和食」が、世界の無形文化遺産になりました。その和食を育んだのは、おいしくて安全な日本の農産物です。日本の農業は、成長産業として、必ずや世界に羽ばたけるはずです。 
 日本の農業が秘めているポテンシャルを最大限開花させるため、今後も、皆さんのお力をいただきながら、改革を進めてまいります。
「一命を捨てるときは、道具を残さず役に立てたきものなり。」
 「五輪書」に出てくる、宮本武蔵の言葉です。
 日本は、もう成長できないのではないか、という悲観論をしばしば耳にします。私が最も恐れるのは、国民が自信を失うこと。まだまだやれることはあるはずです。
 他方で、ないものねだりはできない。新興国と単なる価格競争をやっても、勝ち目はありません。
 日本は、日本らしく成長するほかに道はありません。アカデメイアで、岡村さんたちが議論しておられる「日本力」。これしかありません。
 農業、医療、エネルギーなど、日本の中に眠るポテンシャルを最大限引き出すこと。これが安倍内閣の成長戦略です。
 大きな柱の一つは、女性の活躍です。日本は、世界的に見て、M字カーブが顕著。しかし、逆に言えば、そこに成長の可能性があります。
 ニューヨーク証券取引所で、「リーマンブラザースが、リーマンブラザーズ&シスターズだったら、今も存続していたのではないか」という言葉を紹介したら、大反響でした。
 実際、イギリス・リーズ大学の調査では、女性役員がいる会社は、いない会社よりも、2割も破綻確率が下がるというデータがあります。
 安倍内閣は、女性を積極的に登用しています。三役の2人は女性。森大臣は、特定秘密保護法の審議に、堂々たる答弁で応じていただきました。先月は、憲政史上初の女性総理秘書官も任命しました。
 ところで、このアカデメイアは、見渡すところ、女性がほとんどいない。大変残念です。更なる発展のために、もっと女性会員を増やしていただきたいと思います。
 昨日、墨田区のメッキ工場に伺いました。従業員9人の小さな町工場です。しかし、機械の改良などで、誰にもマネのできない、薄いメッキができる技術を開発しました。
 世界のクルマの約3割、そのスピーカー端子のメッキは、この小さな町工場で、行われています。
 このたび、ものづくり補助金を活用して、1500万円の設備投資を行うそうです。町工場には乾坤一擲の投資ですが、しっかりとした技術力に裏打ちされているからこそ、攻めることができるのだと思います。
 「より薄く、しかし、より強靭に」といった、大企業からの厳しい要求に高い技術力で応える。日本のイノベーションを支えているのは、こうした下請けの中小・小規模企業です。
 民主党政権下で、行き過ぎた円高が続き、組立の海外移転だけでなく、部品の現地調達が加速し「根こそぎ空洞化」が進みました。しかし、政権交代を経て、政府もリスクをとり、国内の事業環境は一変しました。
 納期を守り、融通も利く、何よりも、技術力が高い。日本の中小・小規模企業の高い競争力を考えれば、国内調達はもはや十分コストに見合うはずです。
 持続的なイノベーションは、海外調達一辺倒からは生まれない。私は、ポテンシャルあふれる国内の中小・小規模企業の力が、不可欠であると考えています。
 今週発表された12月の日銀短観。中小企業の業況判断がプラスに転じました。製造業では6年ぶり、非製造業では21年10か月ぶりのプラスです。
 アベノミクスのすそ野は、中小企業にも確実に広がってきています。
 しかし、先行きの見通しは、まだ弱い。仕事が減るのではないかと心配している。やっぱり大企業は、中小企業から、信じられていないんでしょうか?
 大企業の業績回復の果実が、国内の中小・小規模企業、そして、その従業員の皆さんに、行き渡らないようであれば、アベノミクスは失敗であると、私は考えています。
 地方にもポテンシャルが眠っています。それぞれの地方が持っている「資源」を活かす発想です。
 例えば、ドラマ「あまちゃん」で有名になった、「北限の海女」。今年のB―1グランプリで優勝したのは、「浪江焼きそば」。「ふなっしー」のような「ご当地キャラ」もあります。
 歴史や伝統も含めて、地方ごとの特色をうまく生かした活性化。「もうダメだ」とあきらめる前に、他に「誇るべき」独自の資源を発掘して、活性化につなげていく。
 そうした取り組みを、政府としても応援していきたいと思います。

5.経済の好循環
 さて、いよいよ年の瀬。
 来年も、やっぱり経済。強い経済を取り戻すことが、政権の最優先課題であることは間違いありません。
 4月から消費税は上がりますが、景気を着実に回復させていく。そのために、先日、経済対策として、5.5兆円規模の補正予算を決定しました。
 目指すは、「経済の好循環」。
 業績の改善を、所得の上昇につなげ、消費の増加を通じて、さらなる業績の改善を図る。長引くデフレで錆びついてしまった、自由経済の成長のメカニズムを、取り戻すことが目的です。
 先ほどのメッキ工場では、今年は景気がよくなり、メッキ待ちの部材が敷地からあふれ出るぐらい発注が来ています。だから、従業員の給料もあげることができた。そうしたら、40代の若手が、ローンを組んでマイホームを買ったそうです。
 これこそ、まさに「好循環」。私は、こうした実感を、広く、国民の皆さんへ、全国津々浦々にいたるまで届けたいと考えています。
 この秋の中間決算は、TOPIX採用企業1300社あまりの平均で、経常利益が、前年度比5割増し。業績改善は明確です。
 今年の冬のボーナスは、今日もおられる古賀さんの「連合」の調査によると、平均で、昨年より3万9千円増えています。
 年末商戦では、昨年と比べて、お歳暮やおせちなどで、ワンランク高い商品が売れている、と聞きます。
 景気回復の流れとあわせ、この冬、「経済の好循環」が、かすかに生まれつつあります。あとは、来年の春、賃上げがどうなるか?
「Buy my Abenomics」
 9月にニューヨーク証券取引所を訪れた際、私は、ウォール街の皆さんに、「今こそ、日本に投資すべきときだ」と申し上げました。
 今日は、日本でも、とりわけチャレンジ精神に富む経営者の皆さんがお集まりですから、あえて申し上げたい。
 今こそ、人材に、設備に、投資すべきときです。
 月曜日に、中小・小規模企業の経営者の皆さんから、お話を伺いました。今年、3%や4%も、賃上げしたところがあります。物価上昇目標よりも高い。
 中には、従業員20人、30人規模の企業もあります。おそらく社長さんは、会社のために個人保証までやっている。それでも、従業員の賃金を上げる決断をしたのですから、皆さんの企業が賃上げの決断できない訳はないと思います。
 社長の一人は、「人が成長する以上に、企業が成長することはない。」とおっしゃっていました。利益を上げるのは、人の力。だから、利益が出れば、社員に還元する。それがモチベーションにつながり、さらなる利益を生み出す。
 非常にわかりやすい。「成長する企業」の発想とは、こういうものなのだと思います。
 皆さんの企業でも、将来の成長を確保するため、ぜひとも、今、攻めていただきたいと思います。
 皆さんだけに、リスクを取らせる気はありません。政府も、設備投資減税や、所得拡大促進税制を、さらに拡充します。さらに、復興財源を確保した上で、来年度から、復興特別法人税を廃止し、法人実効税率を2.4%引き下げます。
 来年は「好循環」を力強い流れに変えていきたい、と考えています。

6.さいごに
 振り返れば、この1年間、「強い日本を取り戻す」ため、特に経済に軸足を置きながら、あらゆる課題に取り組んでまいりました。
 経済以外にも、復興の加速化、教育の再生、外交・安全保障政策の立て直しなど、課題は山積です。 憲法改正に向けた国民的な議論を深めていくことも重要です。
 しかし、強い日本を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。一人ひとりが、それぞれの持ち場で頑張ることで、未来を切り拓いていくほかありません。
 1年前と比べて、どうでしょうか?世の中の空気は、景気を含めて、一変したのではないでしょうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックも決まりました。
 「みんなで頑張れば、夢は叶う」。
 今年は、あらゆる面でそうした実感を持てた1年だったと思います。
 今週末から映画「永遠の0」が公開されます。私も見に行きたいと思っているのですが、日本の航空機技術の始まりは、103年前の今日だそうです。
 明治43年12月19日、代々木公園で、日本で初めて飛行機が空を飛びました。その滞空時間は4分、高度はわずか70mでありました。
 飛行実験を一目見たいと集まった10万人にものぼる観客は、この小さな一歩に、大きな拍手を送ったと言います。「いつか、飛行機の時代がやってくる」。当時の人々のワクワクする気持ちが伝わってきます。
 頑張れば、来年は、今年よりも、もっと良くなる。多くの国民の皆さんが、103年前の初飛行に心躍らせた人たちのように、ワクワクするような一年にしたいと思います。
 今年も、残り少なくなりましたが、来年が、皆さんにとって、良い年となりますことを、心からお祈りしております。
 ありがとうございました。

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・・・
「そうだったのか」「そういうこおだったのか」「そんなことがあったのか」と思うエピソードが満載だ。
ちりばめられた格言にも感心した。
むろん「自画自賛にすぎない」といった批判もあるだろう。
しかし、議論が紛糾して棚上げ・先送りでは何も進まない。

◆ 「できるか、できないか」ではなくて、「やるか、やらないか」ではないか。

という首相の言葉が、行動力・実行力の大切さを表している。
経過と今後の動向を考えるには、貴重な内容である。   

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November 23, 2009

「デフレ認定」の次は、「デフレ対策」を!

 政府が「デフレ認定」をした。
 ジーンズの価格低下競争・ランチメニューの値下げ合戦など、明らかなデフレ傾向があった。

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/yomiuri-20091120-01487/1.htm

 大事なポイントは次の記述だと思う。
 
物価が下がれば消費者にとってはうれしいが、企業の利益は減少し、給料カットや失業として跳ね返る。その影響による消費の減少で物価がさらに下がれば、デフレと不況が連鎖するデフレスパイラルにつながる。

 奥さんが喜んで低価格商品を選べば選ぶほど、お父さんの会社の利益は上がらない、ということになる。
 17日の中日新聞夕刊の「社会時評」でも高村薫氏が「価格破壊と言えば聞こえはよいが、完全なデフレであり」と述べていた。
 980円ジーンズや3万円の液晶テレビを歓迎ムードで紹介している場合ではないのだ。

 問題は、「合成の誤謬」と言われる。
 ネット検索するとたくさんひっかかる用語だ。

◆合成の誤謬(ごうせいのごびゅう、fallacy of composition)とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、かならずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語。

 低価格競争が望ましくないと思いながらも、そこから企業が抜け出せないのは「囚人のジレンマ」による。

◆囚人のジレンマ(しゅうじん - 、Prisoners' Dilemma)は、ゲーム理論や経済学において、個々の最適な選択が全体として最適な選択とはならない状況の例としてよく挙げられる問題。非ゼロ和ゲームの代表例でもある。この問題自体はモデル的であるが、実社会でもこれと似たような状況(値下げ競争、環境保護など)は頻繁に出現する。
現実世界でも囚人のジレンマないしそれに類似した例を見つける事ができる。例えば核開発では、A国とB国が両方とも核開発を止めれば平和が維持できるにもかかわらず、相手国が裏切って核開発をはじめる恐怖に耐え切れず、双方とも核開発をはじめてしまう(恐怖の均衡)。また価格破壊競争でも、A社とB社が両方とも値下げを止めれば利益を維持できるにもかかわらず、相手企業が値下げにより利益を奪う恐怖に耐え切れず、双方で値下げ合戦をして共倒れしてしまう。このように囚人のジレンマは政治・経済の解析にかかせない。

 「物価が下がるなんてうれしいことだ」とばかり言っていられないのが、デフレの問題の根源だ。
 しかし、個人の力では何ともならない。
 実際に給料が下がってボーナスが減っているのだから自衛策として消費を減らす行為は止められない。「消費しろ、高い物を買え」という方が無理だ。

 こういう時だからこそ、明快な経済対策が必要になる。
 雇用を創出し、消費を喚起するデフレ政策・・・実際はどうなのだろう。
 先のニュース記事には、次のようにある。

 政府は、今年度2次補正予算と来年度当初予算を、雇用、環境、子どもへの対策を重点に編成するという。
 ただ、財政は厳しい。国債を大増発すれば金利が急上昇しかねない。大盤振る舞いを避け、需要拡大に即効性のある事業に絞った予算配分が必要となろう。
 政府内には「住宅版エコポイント」などの新たなアイデアもあるという。子ども手当などの政権公約にとらわれず、効果的な対策に知恵を絞ってもらいたい。

 今後のニュースに注目したい。

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December 26, 2006

ナショナリズムとパトリオテイズム

Bungeishunju0607
 『国家の品格』で、藤原正彦氏は「愛国心」を「ナショナリズム(国益主義)」と「パトリオテイズム(祖国愛)」を区別して論じている。
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 明治になって作られたであろう愛国心という言葉には、初めから「ナショナリズム(国益主義)と「パトリオテイズム」(祖国愛)の両方が流れ込んでいました。明治以降、この二つのもの、美と醜いをないまぜにした「愛国心」が、国を混乱に導いてしまったような気がします。(P115)
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 『文芸春秋』の7月号で保坂正康氏が次のように述べる箇所がある(P107)。その時は、よく分からなかったが、今なら少しは分かる。
 

私は、「愛国心」という言葉に変わる、適切な表現があればいいと思うんですね。愛国心(ナショナリズム)と愛郷心(パトリオテイズム)、国とふるさととはちがうものです。本来、ナショナリズムという言葉はさまざまな意味を含みますが、日本の場合、戦前の、超国家主義や偏狭な民族主義という印象が強くなってしまった。
 ナショナリズムには、上部構造と下部構造があると思います。上部構造は国の政策、つまり国益をめざして政府が決定するナショナリズムです。下部構造には愛郷心も含まれますが、近代日本以前から続いてきた共同体の伝承も、広い意味でのナショナリズムでしょう。
 同じ7月号で石原慎太郎氏も次のように述べている(P111)。 石原氏は「ナショナリズム・ナショナリスト」という言葉に嫌悪感を抱いていない。その意味が、今なら少しは分かる。
 それは、石原氏の意識が、保坂氏の言うところの上部構造「国益をめざして政府が決定するナショナリズム」にあるからだと考えられるからだ。
 藤原正彦氏も「政治家とか官僚とか、日本を代表して世界と接する人々は当然、ある程度のナショナリズムを持っていてくれないと困る。世界中の指導者が例外なく、国益しか考えていないからです。」と述べている(P115)。 政治家である石原氏が「ナショナリスト」であることは、むしろ当然なのだ。
 それにしてもこの「愛国」という言葉は、なぜ今の日本では妙に色のついた、いわばスポイルされた言葉になってしまったのだろうか。(中略)今現在の「ナショナリスト」という言葉には、排他的で民族至上主義的な意味合いが込められていて、むしろ「パトリオット(愛国者)」と称すべきなどだというが、この日本では言葉のニュアンスが、多くの誤解や混乱を生んでいる。

 藤原氏は「愛国心」という言葉は手垢にまみれているから「祖国愛」を使おうと言う。
 マイナスイメージのある言葉(二重の意味をもつ言葉)は、誤解を呼ぶし、議論がかみあわない。
 少なくとも私たちは、今後どこかで目にする「愛国心」という言葉が「ナショナリズム」「パトリオテイズム」のどちらの意味で使われているか、両者を混ぜて述べられていないかなどを検証していかねばと思う。

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