March 25, 2017

「偶有性」の概念

Mogi

「脳をやる気にさせるたった1つの習慣」茂木健一郎(ビジネス社)。


 「たった1つの習慣」の中身は、サブタイトルに書いてある。

 ~なぜやりたいことを書きだすと実現するのか~

  やりたいことを書きだすと、ドーパミンが放出されて「成功した気分」になり、やる気がアップすると言う。
  「有言実行」が自分を追い立てることも重要な意味があることは想像に難くない。
 記録することが「メタ認知」になることもよく分かる。

 ただし、「たった1つ」と言いながら、ほかにもやる気のヒントが書いてある。
 やる気をなくす原因が

①コンプレックス ②単調 ③強制や命令

 この反対が、やる気になる方法だ。

①コンプレックスを逆手にとる
②目標をつくる(自分なりの課題を設定する・目安をつくる)
③与えられた課題を楽しむ
④遊びながらやる(フロー体験)


 さて、茂木氏の本著のメインの主張とは別かもしれないが、何度も出てくる「偶有性」というワードが気になった。
 
P28
脳科学には「偶有性」という概念がありますが、脳は本来「定まっていること(確実性)」と「定まっていないこと(不確実性)」の絶妙なバランスの中で生きています。

P64
ある程度「予想がつく事柄(確実性)と、「予想がつかない事柄(不確実性)とが混ざり合っている状態のことで「どのように変化するか分からない性質」のこと。

P65
人生もそれ(オセロゲーム)と同じで、白だと思っていた状況が一転して急に急に黒に変わったりすることの繰り返しです。
地震や洪水などの災害に見舞われたり、事故に巻き込まれないとも限りませんし、勤めている会社が買収されたり潰れたりすることもあるでしょう。
まさに「一寸先は闇」で、自分の人生で次の瞬間に何が起こるかはまったく予想できないのです。

P73
人間の脳は予想できるものと、できないものの割合を1対1くらいに保ちバランスを取ろうとします。
そのバランスの取れた状態が脳にとっては、一番楽しいことなのです。
つまり、脳は本来偶有性を楽しむようにできているのです。

P74
 何が起こるか分からない状態を楽しむ気持ちは、進化の過程で脳が身につけた生きる知恵だといえます。
そのことが分かれば、次に何が起こるのか分からない局面に立たされたときも、「これは何だか分からないけど、もしかしたら面白いことが起こるかもしれない」と偶有性を楽しむことができ、人生の見え方も変わってくるはずです。
 繰り返しますが、脳は確実性と不確実性のバランスの取れた状態を好みます。会社と自宅を往復する確実性ばかりの生活を送っていては、会社が合併したり倒産するという「偶有性」の荒波に放り込まれたとき、適切な行動を取ることができなくなります。
自分が置かれた状況が変化しても、「次のステップに進むチャンスだ」と偶有性を楽しむ気持ちがあれば、その厳しい状況を乗り越えていくことができるでしょう。

P204
偶有性という概念が血肉化されていくと、一つひとつの出来事に対して一喜一憂しなくなります。
なぜかといえば、人生何が起こるか分からないからこそ、楽しいと思えるからです。
何が起こるか分からないからこそ、たとえ最悪の状況に陥っても「もうすぐ事態が好転するかもしれない」と思えるようになるのです。

P209
人生は偶有性の連続で、次に何が起こるか誰にも分かりません。
けれども実際何か事が起こったときに、自分の中にプリンシプルを持っていれば
・・言い換えれば、自分の中に「これだけは譲れない」「これがあれば大丈夫だ」という確実性を持っていれば・・
不況になろうが会社をクビになろうが定年退職しようが、自分自身が揺らぐことはないのです。

P232
人生に確実なことは何一つありません。
自分の中に確実なものを持っていれば、不確実なことがあっても慌てずに対処できるし、ときには楽しむこともできる。
その「たった1つの習慣」とは、やりたいこと書き残すことだ。
書き留めた時点でドーパミンが分泌されて、ヤル気になるからだと言う。

 
茂木氏のブログにも「必然化する偶有性」というタイトルの記事がある。

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自分の回りの「ローカル」な状況を自らコントロールしようとしても、そうはいかない。
局所が、別の局所につながり、それがまた次の局所へとつながっていく。
「ローカル」だけを見ていたのでは、二つ先、三つ先、四つ先のノードで何が起きているのか、把握できない。
「遠く」で起こったことが、回り回って自分の生活に影響を与える。偶有性が必然的となっているのである。
 とりわけ、インターネットの発達は、物流の側面だけでなく、情報の面から見ても、世界各地の相互依存関係を強め、偶有性を増す結果となっている
(中略)脳は、もともと、容易には予想できない要素が本質的な役割を果たすという「偶有性」を前提にその動作が設計されている。
そのことは、認識のメカニズムや、意識と無意識の関係、記憶の定着や想起などのプロセスに反映されている。偶有性に適応するからこそ、脳は創造的であり得る。
グローバル化に伴う「偶有性」の増大に適応することは、脳本来の潜在的力を発揮することに、必ず資するはずなのである。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2010/07/post-c775.html
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◆ 「成功できる人は、「思い通りに行かない事が起きるのはあたりまえ」という前提で挑戦している」(エジソン)
◆「思い通りにいかないから人生は面白い」(曽野綾子)

 やる前からあきらめてしまう自信のなさは、「思い通りにならないことが許容できない」から起こる。
 できて当たり前のことだけこなす堅実な生き方は、脳に刺激を与えない。それでは創造的な仕事はできない。シンギュラリティの世界を生きられない。
 「偶然を受け入れる」「偶然を活かす」「偶然を引き寄せる」といった心の持ちようが求められる。

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自ら計らわない人 広田弘毅

 32代内閣総理大臣である広田弘毅の座右の銘は、

(1)「物来順応(ぶつらいじゅんのう)」

「物来たればこれに応じて対処する(向こうから来るままに応じること)」の意味。朱子の「近思録」にある言葉とも、佐藤一斎の「言志四録」の言葉とも言われている。
 我欲や邪念を捨てて、眼前の仕事に専念せよ、と理解した。

 広田弘毅が外交官時代に左遷人事とも言えるオランダ公使になった時に詠んだ歌が残っている。

(2)「風車、風の吹くまで昼寝かな」

 「なるようにしかならない」と達観したかのような句だ。
 
  城山三郎は、『落日燃ゆ』で、広田弘毅を次のように書いた。

(3)「自ら計らわない人」


「物来順応」
「風車、風の吹くまで昼寝かな」
「自ら計らわない」

は、いずれも同じような意味だと思う。
 むろん、「果報は寝て待て」「なるようにしかならない」のような受け身な生き方を薦めているわけではない。
 「今すべきことに全力を注ぐ」「与えられた役割を全うする」という極めて能動的な生き方であるべきなのだ。そこは、誤解を招きやすいところだ。

 さて、同じように「なるようにしかならない」という誤解を招く言葉に「無為自然」がある。

(4)無為自然
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◆無為自然(むいしぜん)とは、紀元前の古代中国で書かれた『老子道徳経』に書かれている言葉で、努力はせいいっぱいするけれど、最後の結果は天に任せるという生き方です。
http://www.taoism.gr.jp/taoism/nagasarenai13.html

◆「無為」という言葉は「無為無策」「無為に過ごす」のように「なにもしないでいること」という意味でよく使われますが、
『老子』で使われている「無為」は「意図や作為のないさま」という意味です。
 これは、一切なにもしないということではなく、作為的なことはなにも行なわないことと、とらえてください。(中略)そう考えていくと、『老子』でいう「無為」とは、意図や意思、主観をすべて捨て去って、「道」(天地自然の働き)に身を任せて生きているありようを意味しているといえます。『老子』はこの「無為自然」を理想のあり方としました。
http://textview.jp/post/culture/8081
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 「努力は精一杯するけれど、最後の結果は天に任せる」となると、さらに「人事を尽くして天命を待つ」と同じ意味ということになる。

(5)「人事を尽くして天命を待つ」
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◆自分の全力をかけて努力をしたら、その後は静かに天命に任せるということで、事の成否は人知を越えたところにあるのだから、そんな結果になろうとも悔いはないという心境のたとえ。
 南宋初期の中国の儒学者である胡寅の『読史管見』に「人事を尽くして天命に聴(まか)す」とあるのに基づく。
http://kotowaza-allguide.com/si/jinjitsukushitetenmei.htm...
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 努力が必ず結果に結びつくとは限らない。

 だからといって、努力を放棄していいわけではない。

 「今すべきことに全力を注ぐ」
 「与えられた役割を全うする」
と能動的に生きるのみである。

(6)「無私の心」

と重なってくることは言うまでもありません。


◆Let it be. → あるがままに。
 (性格なりを変更しないでそのままの自分を。) 

◆Let it go. → ほっておいて。解き放って。
 (私のやりたいようにやらせてください。)

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March 18, 2017

パソコンでノートを取るとバカになる

 やや古い文献になるが、見出しの内容について、パソコンで打ち込みます。
 コピーしたままで紛れていたものですが、再活用するにはデジタル化が一番です。

「PREDIDENT」2016.2.29 P68-69 田野俊一 より抜粋 ◆部分が引用文。

◆事実関係では差はないものの、概念理解では、パソコンでメモを取ったグループより、手書きでメモをとったグループのほうが、点数が高くなりました。

とあり、その原因について

◆メモの中身を分析すると、パソコンのグループは講演の内容をすべて記録億するかのように、逐語的にメモをとる傾向が見られました。一方、手書きのグループはすべての言葉を書き取るのが難しいからか、発言を要約しながらメモをとっていました

とある。
要約するのに思考した分だけ、概念理解が促されされ、エピソード記憶が働いたのかというのは私の解釈。
実際には

◆パソコンを使うと手書きよりもメモをとれるが、そのせいで頭の中で行う情報処理が浅くなり、学習効果が低下する恐れがある

と記されている。
パソコンの方がメモを取りながら別のことを考えたりして集中していないこともあるのかなというのが、私の解釈。

人間の認知モードは二種類あると言う。

①「体験的認知」・・何か起きたら後先考えずに反応する動物の一般的な行動原理
②「内省的認知」・・「将来いい学校へ入るため勉強する」のように、想定したゴールに向けて行動するロジカルな知覚

◆知的活動の初期段階においては、情報を収集し、整理してまとめ、自分の考えを足していく作業が大事で「内省的モード」が適しています。だからメモをとるときは内省的モードになるのが好ましいのですが、高い集中力が必要で負荷が大きいため決して簡単ではありません。
 そして操作そのものに快感がある楽しいパソコンや、バーチャルリアリテイのような豊かな刺激を与えられると、人間は「体験的モード」にはまりこんでしまう。そのためパソコンでノートをとると、理解を深めないまま、言葉を入力する作業に没頭してしまうと考えられます。

・・・ある学校で、4年生の調べ学習の発表をパソコンで入力すると聞いて驚いたことがある。
ローマ字入力を習熟させるという意味はわかるが、調べ学習のレポートなどは、アナログでやった方が時間的に無駄がないと私は思う。
「内省的モード」という観点でも、アナログ発表の意義はあるのだということだ。

 今こうしてデジタル入力をしているが、最近になって手書きのメモも多く取るようになった。
 とりあえず思いついたことをメモ書き・なぐり書きをしておくことは、最初からていねいにレイアウトしてワープロ作成するよりも、ブレーンストーミングとしては望ましい。
 ブレーンストーミングしたい時に、丁寧なノート(ワープロ打ち)を意識するのは「二兎を追うもの一兎も得ず」になってしまう。目的を見失ってはいけないのだ。

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March 05, 2017

中学入試が「思考力型」に

 朝日小学生新聞2月20日号に「中学入試『思考力型』増える」の記事があり、面白い試験が紹介されている。

(1)「くらし」というテーマに沿って、受験校の図書館を利用してリポートを完成させる「思考力テスト」(東京・工学院大学附属中)。

(2)レゴブロックで自分の好きなことを作品として表現し、150字で記述させ、世界が抱える問題の解決法を考えさせる「思考力ものづくり入試」(東京・聖学院中)

 首都圏で今春このような入試を実施した学校は120校だとのこと。

◆こうした「思考力型」「適性検査型」などと呼ばれる入試は、図や表、写真とともに長めの文章を読みこみ、自分の考えを記述するというタイプが主流。国語、算数、理科、社会といった教科の枠にとらわれない出題です。

◆新しいタイプの入試を導入した理由として学校側が挙げるのは、グローバル化などの「世の中の変化」です。実際には大学入試改革で、求められる力がかわることも背景にあるとみられます。

◆「塾通いをしていない子でもチャレンジできる入試が増えている。考える子が好きだったり、世の中の動きなどに関心があったりする子にも『受験』という選択肢が広がっている」

とある。
 大学入試が変わる前に、中学入試から変化が起きているということだろうか。
 むろん幼稚園や小学校のお受験は、知識理解は問えないので、創造力や想像力を試すような課題が従来から課せられてきた。その延長に中学入試の変化があるのかもしれない。

 今回の朝日の記事は、なるほどとは思うが、「塾通いをしていない子でもチャレンジできる入試が増えている」には少し疑問がある。
 こうした思考力を試す入試は、本当に塾通いしないで対応できるものだろうか?
 結局、この手のテストも、それはそれで受験テクニックが必要になるだろうし、採点基準から裏読みした対策が練られることは必至である。
 冒頭の「思考力テスト」は、その指定の細かさを見ると、従来の学力の高さにプラスしての「思考力」なのだと考えざるを得ない。

① 「くらし」に関係することや、言葉から連想することを自由記述。
② 記述内容に関連した情報を図書館でまとめ、表にまとめる。
③ 「くらし」と照らし合わせて、日ごろから感じている課題を書きだす。
④ その中から、重要なことを一つ選び、さらに知りたいことを書く。

 こうしたプロセスをステージ6までふんでリポートにまとめると言うのだから、相当な学力・周到な受験対策が必要だ。

 ところで、図書館で調べてレポートを書くという入試方法は、ハーバード大学で行われていると聞いたことがある。
 ハーバード大学のユニークな入試方法が話題になる。これも「だから勉強しなくてもいい」というわけではない。
ユニークな入試ができる前提は、書類選考によって学科の成績が提出されており、受験するどの学生も高水準の成績だという点にある。優秀な生徒が集まっていることを前提にしてのユニークな入試である。
 日本で言えば、難関大学がセンター入試の比率が低いのと同じ。
 学力を軽視しているわけではなく、どの受験生も高水準であることが分かっているからこそ、学力以外の特性を試験したくなるのだ。学力軽視ではないことは、きちんと把握する必要がある。

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「ハーバードクラスの大学だと、これらのテストのスコアがすこぶる高い入学希望者ばかりが集まります。高校や大学時代の成績、いわゆるGPAも見られるので、学校での勉強にも手は抜けません」

学力はSATやGPAでチェックされ、さらに願書やエッセイ、推薦状から、その人のバックグラウンドや、課外活動でどんなことをしてきたかを審査される。

「ハーバードは、学力に加えて芸術的素養がある人や、スポーツに打ち込んできた人を好んで受け入れています。
出願時に提出する書類にエッセイがありますが、そのような人たちは、ただ勉強だけしてきた人よりユニークで深みのあるエッセイを書けるからです。
勉強だけでなくスポーツや芸術の才能も求められるなんて……と絶句したくなりますが、実際ハーバードには、天が二物を与えた才能あふれる学生が集まっているのです」
http://president.jp/articles/-/16257
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現在の大学入試センター試験は、マークシート方式で行われています。
また、各大学の試験では、1点刻みで合否が決まってしまいますが、現在、先進国でこのような入試方式を中心にして行っているのは、日本くらいしかありません。
米国も欧州も日本のような知識偏重の学力テストには重きを置いていません。
面接や小論文などを通して、高校時代をどう過ごしたかを見ているのです。
暗記、記憶だけでは測れない能力です。
そうしていかなければ、新しい時代の変化についていけないということでしょう。
http://mainichi.jp/articles/20150508/org/00m/100/026000c
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1つめは、「課題解決の能力」です。
受け身や指示待ちではなく、主体的にその能力を発揮できることです。
それから2つめは、「クリエイティブな企画能力」です。
例えば、東大の文系はかつて優秀な官僚を養成する大学だったわけですが、その官僚においても、いまやクリエイティブな能力が求められてきています。
ただ指示されたことだけをやっている官僚は、もはや使いものになりませんから。
そして最後の3つめは、「人間的な魅力」です。
人を思いやる優しさや慈しみの心、また、新しいものや多様なものを受け入れることができる姿勢など、そうした人間としての度量や魅力を持ち合わせていく必要があります
http://diamond.jp/articles/-/60886?page=3
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・・・さまざまなネット記事で入試の動向なども分かる。
保護者に言い負かされないように、きちんと把握しておきたい。

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February 25, 2017

「セレトニン5」=「幸運を引き寄せる法則」

1)中野信子氏「日本人は、脳科学的に英語が下手」

 「英語学習とセレトニンと自己肯定感」について、1か月ほど前に書いた。

中野信子氏のインタビュー記事(日経グローバルゲート)、とても参考になった。

◆もし外国人の方が日本人より語学の学習能力が上回るとしたら、それは「失敗を恐れない」ということではないでしょうか。
4人の外国人を取材されて、「失敗しても恥ずかしいと思わない」、という共通点が見えたことは、その大きな裏付けにもなりますよね。日本人は、失敗に対する恐怖心や不安感が大きい民族なので、「間違った英語を話しては恥ずかしい」と思い、なかなか話さず、語学が上達しない。これはある意味、「脳科学的に仕方ないこと」といえます。

◆脳内には「セロトニン」という神経伝達物質があって、これが十分にあると、安心感を覚え、やる気も出ます。このセロトニンの量を調節しているのが、セロトニントランスポーターというたんぱく質。神経線維の末端から出たセロトニンを再び細胞内に取り込む役割を担っています。この数が多いと、セロトニンをたくさん使い回せるので、気持ちが安定し、安心感が持てます。逆に少ないと不安傾向が高まります。日本人は、このセロトニントランスポーターの数が少ない人の割合が世界で一番多い。つまり世界一、不安になりやすい民族なんです。

◆語学習得はトライ&エラーなので、失敗を恐れる人には、正直いって不利な科目かもしれないですね。できるだけ、失敗しても心の痛みを感じにくい環境を工夫して作り、積極的に話せる機会を持つことが最善の方法だと思います。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/111700052/112500005/?rt=nocnt
・・・この記載を読んだとき、まずは「緊張・不安」心配」を受け入れようと考えた。
 日本人は、みんな「緊張・不安・心配」が強いのだと思えば、自分だけ卑屈になることもないからだ。


(2)「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」(ケリー・マクゴニガル 大和書房)

 「不安。緊張・心配」は決して悪いことばかりではない。
 適度な緊張がないとパフォーマンスは上がらない。「心拍数が上がる」と脳や体内に血液が大量に送りこまれるので、プラスの効果もある。
 「緊張・不安・緊張」として括っていたものを、マクゴニガル氏の著書では「ストレス」で括っていた。
 
◆ストレスを避けるのではなく、受け入れてうまく付き合っていくことで レジリエンスが身につく。 「思い込み」を変えることで「身体の反応」を変え、「選択」までも変えてしまう一生役立つ実践的ガイドブック

・・・マクゴニガル氏もストレスを「力に変える」ものとしてプラスに考えていた。
 それは「マインドセット=心の持ちよう」とも呼ばれ、「リフレーミング」「ポジテイブシンキング」とも重なる発想であった。

 日本人は昔も今も不安や緊張を持ちやすく失敗を恐れやすい.
 だからこそ、このプラスの発想転換が必要である。


(3)『「しなやか脳」でストレスを消す技術」(篠原菊紀 幻冬舎)


 ここにも、不安遺伝子に関する記載があった。

◆そもそもわたしたち日本人の多くは、不安を感じやすい遺伝子を持っています。社会的な脅威に対して過剰な反応をしてしまったり、ついついネガティブにものごyとをとらえがちだったり。
 心の安定に強くかかわる脳内物質にセレトニンがあります。こセレトニンに関係する遺伝子に「5-HTTLPRのSタイプ」があり、これがその「不安遺伝子」です。セレトニンを再利用するための穴を作るのに5-HTTLPRがかかわるのですが、このSタイプを持つと穴の数が少なくなり、セレトニンが再利用されにくくなり不足しやすくなります。すると心の安定が得られにくく、先々を心配しがちになるというのです。
 このSタイプ、遺伝子は対なので、ふたつ持つ人、ひとつ持つ人、ひとつも持たない人がいるわけですが、デルブリュックらによればアメリカ白人でふたつ持つひとは40.4%、アメリカ黒人では24.5%。しかし、日本人では73.3%がふたつ持っています。ひとつ以上ならなんと98%。そんなわけで、日本人の大多数はそもそも不安をン抱えやすい可能性が高い。ネガティブにものごとをとらえやすいのです。(P15)

(4)『脳からストレスをスッキリ消す事典」(有田秀穂著 PHP) 

 ここでは、ストレスを解消する「セレトニン」の重要性が強調されていた。

◆セレトニントレーニングで、ストレスはコントロールできる。
◆セレトニン生活で毎日が変わる!
 ・些細なことに動揺しなくなる。
 ・頭が冴えて仕事・勉強がぐんぐんはかどる。
 ・物に頼らなくても心が落ち着き、浪費が減る。など

 また、「ストレスを活かしてメリットを得られる人」の具体例も示してある。

・集中力が高まり、仕事や勉強の効率が上がる。スポーツでは、最高のパフォーマンスができる。
・やる気が引き出され、志望校合格やプレゼンテーション成功など、目標達成の原動力になる。
・営業成績のアップなどで期待以上の快感を得ると、さらなる意欲につながる。
・外からの刺激が新たな興味を引き起こし、生きる楽しみにつながる。など

 ストレスの効用、セレトニンの働きの重要さを、子どもにも分かりやすく教えていきたい。それが自信回復やチャレンジ精神の高揚につながるからだ。

(5)「運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則」(リチャードワイズマン 角川文庫)

 TOSSでは、「セロトニン5」と呼ばれる子どもを安心させる5つの手立て(対応術)が提唱されてきた。

①見つめる
②ほほ笑む
③話しかける 
④ほめる 
⑤触れる

 教師の心得として示された「セレトニン5」だが、別の見方もできる。
 ワイズマンの主張を読むと、「運のいい人」=「セレトニン分泌を促す対応ができる人」と言えそうだからだ。

◆運のいい人の身ぶりや表情は周囲の人を自分のほうに引き寄せるから、それだけたくさんの人と出会うことになり、偶然の出会いの確率も高くなる。
◆運のいい人は、笑った回数やアイコンタクトの回数が多く、他者を受け入れる開いた身振りが顕著だった。
◆運がいい人たちは、好奇心が旺盛で、外向的で人づきあいがよく、人とのネットワークを広げることに積極的である。

 どれも「セレトニン5」と重なるではないか。
 
 自分のセロトニン分泌を促せる人は、自信に満ち、積極的に行動できる。些細なことに動揺しない。だからチャンスが巡ってくる。
 他者のセレトニン分泌を促せる人は、安心感を抱かせ、相手を引き寄せ、信頼もされやすい。だからチャンスが巡ってくる。

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February 19, 2017

働き方改革は「時短感覚」から

 2月17日(金)の中日新聞に「クルマ革命」の特集記事が掲載された。
 中でも後半の「自動運転の衝撃 開発スピード段違い」と題した箇所は圧巻だった。

◆これまでの自動車業界は技術をこつこつ積み重ね、改良を加えていく「擦り合わせ型」。トヨタは水素と酸素から起こす電気で走り、水しか排出しない画期的な燃料電池車「ミライ」の開発に二十二年かけた。だがIT業界は、例えば一年半の間に同じコストで情報処理能力が二倍に進化する世界。自動運転の開発でも運転支援のレベルから段階的に進もうとする自動車メーカーに対し、IT勢は一足飛びに完全な自動運転を目指すイメージだ。

 AI開発を進めるトヨタの坂井克弘(43)も、スピード感の違いに戸惑った一人だ。昨年六月から自動車産業発祥の地・米ミシガン州の「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」でIT転職組と机を並べる。会議時間はトヨタ時代の三分の一。会議資料もパソコン上で仲間と意見交換しながら作る。「とにかく時間を効率的に使う。フットワークも軽い」

 完全な自動運転による究極の「ぶつからないクルマ」が実現すれば、車体の強度や安全装置をはじめ自動車メーカーが培ってきた技術の蓄積は、不要になりかねない。グーグルが実用化のめどとする二〇二〇年まで三年を切った。日産のゴーンは今後十年の自動車産業を、こう予測する。「過去半世紀で起きた以上に変化する」
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017021702000095.html

・・・スピード感の違いは、自分たちも十分感じている。
20年前は、サークル通信などによって情報交換がされた。印刷から郵送までは、時には1週間を要したが、現在は瞬時に発信できる。。
教材研究も、書籍中心からネット中心になって、資料収集の時間、資料作成の時間は格段に早くなった。

現在は、瞬時に情報伝達できる。そのスピードの違いは圧倒的で、そのような「時代感覚」=「時短感覚」をしっかり自覚し、活用していける子どもを育てていかないと世界とは競合できない。

 16日のラジオ番組「ボイス」で上念司氏が、「仕事の遅い人が残業手当をもらい、仕事の早い人が手当てをもらえないおかしい。これからは仕事の速い人に対価が支払われるべきだ」と主張していて、なるほどと思った。
 そして、その根本の原因は、学校教育にあると言われた。

 「なぜ学校の掃除時間は決められているのか。与えられた仕事を終えたら終わればいいではないか。早く終わったらできる仕事を見つけなさいというやり方では、効率的に仕事を終えようという意識を育てられない」

というような意見で、これもなるほどと思った。
 時間感覚の改善は、社会の在り方・仕事の在り方を変えていく。
 子供に「時短感覚」を教えることは教師の務めである。
 子供の「時短感覚」を鍛えることは、国家戦略の最先端を担う仕事でもある。その責任は重い。

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December 27, 2016

「確証バイアス」と、逆転現象の授業

 非認知スキルの重要性を説いているのが

 「『学力』の経済学」中室牧子
 「成功する子・失敗する子」ポール・タフ
 「幼児教育の経済学」ヘックマンなど。
 

 「成功する子・失敗する子」(ポール・タフ著)について、もう少し。
 チェスの上達に必要なスキルを究明する中で出てくるキーワードが「確証バイアス」(p113~114)
 簡単に言えば、自分の都合のよいデータだけを流用してしまう傾向だ。
 我々教師も都合のよいデータだけを引用して自説を補強することがないよう留意したい。

◆何かの理論を実証しようとするときに、人はその理論に反する証拠を探そうとはせずに、どうしても自分が正しいことを証明するデータを探してしまう。
「確証バイアス」として知られる傾向である。これを乗り越える能力がチェスの上達においてはきわめて重要な要素だった。

◆当然のことながら、ベテランのグループは初級者のグループよりも正確に状況を分析していた。
驚くべきは、どのようにちがったか、という部分である。ひとことでいえば、上級者のほうが悲観的だった。
初級者は気に入った手を見つけると確証バイアスの罠に陥りやすい。
勝利につながる可能性だけを見て、落とし穴は見過ごしてしまう。
これに比べ(中略)上級者は自分の仮説を反証することができ、その結果、致命的な罠を避けることができる。

・・・第三章「考える力」の一節だ。
 確証バイアスの罠に陥るのは、深く考えないことが原因だ。
 だからこそ、深く考えないと失敗する経験を意図的に仕組む必要がある、

 ※よく考えろ
 ※常識にとらわれるな
 ※他に手はないか

と聞いて、思いつくのが「逆転現象」の授業だ。
 多数決でも常識でも決まらない「逆転現象」の授業は、確証バイアスの罠に陥らない秘策であるとも言える。
 
 また、他人とつるまない一匹狼のたくましさを育むのは、自分の都合のよいデータだけに振り回されない強さと慎重さだも言える。
 
 ところで、『成功する子~』には、慎重さ(悲観的な見方)が大事だと書きつつも、一方で大胆さ(楽観的な見方)も大事だと述べている。

◆ダブリンの研究についてスピーゲルに尋ねると、どんな動きの結果についても少し悲観的であるくらいのほうがいいという考えには同意するといっていた。
ただし、チェスの能力全般については、楽観するほうがいいという。
演説のようなものだ、とスピーゲルは説明した。マイクのまえに立つときには少しばかり自信過剰なくらいでないと困ったことになる、というわけだ。
「どんなに上達しても、死にたくなるほど馬鹿げたまちがいをすることは絶対になくならない」。だから自分には勝てるだけの力があると自信を持つこともチェスの上達の一部なのだ、と。

・・・「慎重に、かつ大胆に」「悲観的に、かつ楽観的に」といったところか。
「繊細かつ大胆」で検索するとたくさんヒットする。
黒澤明監督の語録「天使のように大胆に、悪魔のように繊細に」という言葉とニュアンスが近い。
「大胆と繊細」「楽観と悲観」は相反する言葉ではあるが、両方を兼ね備えることが成功の秘訣のようだ。

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December 06, 2016

マイクロソフトのAII開発原則

 11/29付日本経済新聞 朝刊に「米マイクロソフトCEOに聞く」という記事があった。

◆人間中心のAIめざす 「代替」より「能力拡張」◆

という見出しで、特に注目したのは、AI開発原則の表であった。
 とりわけ、「人間に求められるもの」については、意義深いと思った。
 人間にしかできない能力にさらに磨きをかけることでしか、AI時代を生きられない。
 そのヒントが書いてある。

【人間に求められるもの】
〇共感力
 他者に共感する力をAIが身につけるのは極めて難しい。
だからこそ、AIと人間が共生する社会において価値を持つ。

〇教育
AIの普及には必要な知識とスキルを兼ね備えた人材の育成が欠かせない。

〇創造力
AIは人間の創造力をより豊かにし、拡張するが、創造力そのものは人間だれもが望む能力であり、それはこれからも変わらない。

〇結果に対する責任
様々な分野ではAIの判断を受け入れることはあっても、その結果に対する最終的な責任は人間が負う。

 なお、インタビュー記事の一部は以下の通り。
 知らないことが多すぎて、自分の考察など入れられない。
 引用ばかりですが、日経新聞さんには、どうかご理解いただきたい。

①AIはパソコンや携帯電話、インターネットに匹敵する『ネクスト・ビッグ・シング』だ。
すべての人々、あらゆる産業を大きく変える力がある。
だが、社内には技術や応用例に関する資料はあっても、AIをどうとらえるべきかといった高い次元で書かれたものがなかった。

②「AIの研究者は人間の『置き換え』を目指すのか、それとも『能力の拡張』を目指すのかを選択しなければならない。
我々は後者にすべてを懸ける。能力を拡張するといっても、あらゆるシステムを動かすのにいちいち人間が関わるという意味ではない。
自律型のシステムは今後ますます増えていく。人間の幸福とは何かを考え、その増進に役立つ『人間中心』の発想を核に設計するという意味だ」

③「ある仕事が機械に置き換わり、コストが削減された場合、そこには余剰が生まれる。
一つの解決策はその余剰に課税し、最低収入保障として再配分する方法がある。
一方で、新たに生まれる仕事や、機械には簡単には置き換えられない仕事もある。
医療の世界でいえば、“医師”の仕事は自動化できたとしても、看護師や介護福祉士などは人が足りない。
AIが普及した社会で一番希少になるのは、他者に共感する力を持つ人間だ」

④「いつの時代も、新技術が登場すると雇用への影響が議論されてきた。
今回は2つの点でこれまでと違う。
一つは対象がホワイトカラーであること。
もう一つは変化が次の世代ではなく、いまの世代が現役の間に起きることだ。
どの国も企業も抽象論ではない雇用対策や職業訓練の議論を今から始める必要がある」

⑤ ――AIのリスクを強調するほど一般人の恐怖心は増幅します。AIはやはり潜在的に危険な技術なのですか。
 「そうではない。こういう話を声高にするのは、我々の技術が使われる場所や場面が昔に比べて格段に増えたからだ。
以前は一家に1台あるパソコンぐらいだったが、今は自動車の安全にも自分の健康にも学校を卒業できるかにも我々の技術が関わっている。
ITが主流になり責任も増えたからこそ早め早めに考えておこうということだ」

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10049350Z21C16A1FFB000/

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October 09, 2016

進路指導に役立つ「GRIT」

Grit  先日のサークル例会で、「進路の学年集会」の話題になった。
中3対象の進路の集会だから、ラストスパートであるとはいえ、これ以上頑張らせたら壊れてしまう子もいるし、何度言っても焦りのない子もいる。全員の心に沁みるような全体指導の言葉かけは難しい。
 直近の受験対策ではなく、もう少し長期的な視野に立っての進路選択の大切さを伝えたいとの話題に沿って、手持ちの「GRIT」(ダイアモンド社)をパラパラめくっていると、使いたい箇所がたくさんヒットした。
 念のため解説しておくと、「GRIT」は、TEDトークの「成功するカギは、やりぬく力」のプレゼンテーションで注目されたダックワースの待望の1冊である。t

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若い人たちに「自分が本当に好きなことをしなさい」とアドバイスするのは、バカげたことなのだろうか。
じつはこの問題については「興味」を研究している科学者たちが、この10年ほどで最終的な結論に達した。
第一に、人は自分の興味に合った仕事をしているほうが、仕事に対する満足度がはるかに高いことが、研究で明らかになった(中略)
第二に、人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなる。(中略)
自分の興味に合った分野を専攻した大学生は、成績が高く、中途退学の確率も低いことが分かっている。(P140)
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というくだりは、「好きな進路を選べ」というメッセージにはなる。
 ただし「好きなことなら努力しなくていい」とは言っていない。

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「誰だって、自分が本当に面白いと思っていることでなければ、辛抱強く努力を続けることはできません」(中略)
「ただ、好きだからといって、上達できるとは限らない。努力をしない限り、上達するはずがないのだ。
だから、多くの人は、好きなことをやっても全然うまくならない」
 私もそう思う。自分の興味があることを掘り下げるにしても、練習に励み、研究を怠らず、つねに学ぶなど、やるべきことは山ほどある。だからこそ言っておきたいのは、好きでもないことは、なおさらうまくやれるはずはないということだ」(P147)
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というくだりは、「好きなことでさえ努力が必要だ」と釘をさしている。

 だから、逆に言うと

◆好きでもないことをやらざるを得ない場合は相当の覚悟が必要だ◆  

ということになる。
 目先の受験勉強で言えば、不得意教科の努力は大変だということ。
 決して「好きな教科だけやっていればよい」ということにはならない。

◆得意な教科から先に取り組んでモチベーションを上げたり、調子を上げたりしておく。
◆徹底的な得意な教科をつくって、確実に点数を稼いでおく。
などの策を講じることになる。

 さて、長期的な進路選択の話というと、次の箇所も外せない。「モチベーション3・0」にも同様の指摘があった。
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自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。
目的意識を感じないものに、興味を一生持つ続けるのは難しい。
だからこそ、自分の仕事は個人的に面白いだけでなく、ほかの人びとのためにも役立つと思えることが絶対に必要だ。P133

「大きな目的」のためなら、粘り強くがんばれる P215
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 「GRIT」をそのまま中学生に読ませたいとは思わないが、エッセンスをうまく伝えていけるといいなと思う。

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August 30, 2016

niftyのホームページサービス終了

「@homepage(アット・ホームページ)」は、2016年9月29日に終了します。「@niftyホームページサービス」への移行をお願いします。
・・・ついに来たか、という印象。
PCを更新するごとにHPのフォルダを移し、ホームページビルダーをインストールする気力が失せ、niftyのHPがずっと放置してある。
しかし、自分にとってはいざとなったらネット上にデータが残っているので、閲覧は可能だった。
そのniftyのHPサービスが終了。わざわざ移行するのも面倒だが、データが全てなくなるのは、もったいない。
せめて、データの確認や整理は、この1か月でやっておこうと思う。

このココログのブログデータもかなりの量になった。
HPより多い。
もし、サービス終了となると、データ保存していないので、こっちの方が大変だな~。

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