January 07, 2024

「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その10)


~「オープンマインド」~
 「オープンマインド」とは、固定観念にしばられずに相手を認め、自分についても正直に表現できる「開かれた心や姿勢」のこと。
  自分の考えに固執せず、相手に対し聞く耳をもっていれば、「自分には絶対無理」と決め付けず、不安があっても試してみようかと、新しい事に挑戦できる。
  反対に、クローズドマインドの人は、
①人にレッテルを貼ってしまう ②物事を主観的に見てしまう ③ステレオタイプなモノの見方をする といった傾向がある。
 「これは、絶対こうだ」「私はこれしか信じない」と決めてかかり、自分の意見に固執し、違う意見の人の話に耳を向けることができない。
・・・オープンマインドとは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱された「計画された偶発性理論」というキャリア理論のなかで述べられたもの。
 「偶キャリ」は、それほど古くはないので、向山先生が参考にしたわけではないと思う。
 しかし、自由な発想を促す向山実践の背景には「オープンマインド」と同じ着想がある。
 さて、近年話題になった「MIND SET」も、100の努力を推奨した向山学級を彷彿させる。
 1979年のスナイパーNo.9では「水泳でも、作文でも、練習中、ちっとも伸びないように見えて、持続さえすれば、突然できるようになるのだ。」とある。
 
 その激励の根底にあるのが、「自分は努力次第で変われるのだ」という拡張的知能観(しなやかマインドセット)である。
85d849419c5f4fb7be52aa3faabfaf7a
8d9a4d359fd44dfc8573c43ecd923c41
=============

しなやかマインドセット

「才能は磨くほど伸びる」と思う人

◯新しいことにチャレンジしたい

◯努力は何かを得るために欠かせない

◯批判から真摯に学ぶ他人の成功から学ぶ

→結果的により高いレベルで成長し自分の意思で未来を切り開いていける

 マインドセット次第で仕事が変わり、自分が変わり、人生の質が変わる!

==============

・・・「拡張的知能観」があるから、諦めずに頑張れる。

教師は、この拡張的知能観に基づいて、いつもいつも子供を支える存在でありたい。

「探究力・発想力」を育むのは、「それでいいんだよ」「その調子だよ」「もっと考えてみよう」と学習者のリミッターを外す激励の言葉なのだと思う。

 

| | Comments (0)

December 31, 2023

成長は加速度的に訪れた! 〜アインシュタインの「奇跡の年」〜

 アルベルト・アインシュタインが4つの論文を科学雑誌『アナーレン・デア・フィジーク』で発表した1905年のことである。この4つの論文は、空間時間質量エネルギーといった基本的な概念に対する科学的理解に革命をもたらし、現代物理学の基礎を築いた。アインシュタインがこれらの優れた論文を1年で発表したことから、1905年は「奇跡の年」と呼ばれている。
 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
=================
 彼が世間に認められたのは、大学ではなく、特許庁に勤めていたときです。1905年、彼は5つの論文を発表します。これらの論文で提唱された「光量子仮説」「ブラウン運動理論」「特殊相対性理論」といったアイディアは、いずれもノーベル賞に値する画期的な発見でした。今では、この1905年は、物理学史上の「奇跡の年」と呼ばれていますが、特殊相対性理論の論文を書いたときのアインシュタインは、まだ物理学者ですらなかったのです。
 受験に失敗し、大学にも残れず、就活でも苦労し、教授から「才能がない」とまで言われた若者が、どうして世紀の大発見をすることができたのでしょうか。(中略)
 アインシュタインは、学業では必ずしもよい成績を修めることができませんでした。しかし、彼には本当の意味での「考える力」があったのです。また、普通の人なら諦めてしまうような困難な状況に直面しても、決して諦めませんでした。
「学業成績」と「考える力」。この2つは似て非なるものなのです。そして、大きな仕事を成し遂げるためには、諦めずに、最後までやり遂げようと思う人間力が必要なのです。
 「物理学者が教える『考える力』の鍛え方」上田正仁著2013年(ブックマン社)p15〜17
===================
・・・・アインシュタインにとっては、まさに「ブレークスルー」。
 頭の中にあった様々な知識が結合し、言語化できたことで世間に認められたのだと思う。
 当たり前だが「頭の中」にあるだけでは誰にも理解されない。
◆ 実際、アインシュタインも1905年に発表される論文に至るアイディアは、ずいぶん前から頭の中にあったと言います。周りからは才能がないと思われていた劣等生の脳内で、とてつもない素晴らしい思索が進行したのしていたのです。P20
 向山洋一氏の言われる「100の努力・成長曲線・成長は加速度的に訪れる」を彷彿させるエピソードだ。
 
 同書には、アインシュタインの言葉も紹介されている。
◆ It’s not that I am so smart , it’s just that I stay with problems longer.
 私はすごく頭が良いわけではなく、ただ、1人でも長い時間、問題と向き合っているだけだ。
◆ I have no special talent . I am only personality curious
 私に特別な才能などない。ただ、情熱的と言えるほどに好奇心が旺盛なのだ。
・・・エジソンと同じように、ただただ自分の道を突き進んだということが分かる。

| | Comments (0)

December 29, 2023

最悪を想定する「無限の努力」

 12月26日、ボクシングで4団体統一戦王者となった井上尚弥選手。
 ネットの次の見出しが刺激的だった。

 井上尚弥は闘う前から脳内の「最強タパレス」に勝っていた ボクシング2階級制覇した圧巻の想像力
 
 井上尚は対戦相手のビデオを熱心に見るタイプではない。相手の映像をある程度チェックして特徴をつかみ、動きをインプットする。そこから、頭の中で対戦相手を徐々に強くしていくのだ。
 実際、タパレスはそんなパンチを打てないかもしれない。そこまでディフェンスをしないかもしれない。だけど、頭の中であえて過大評価し「最強のタパレス」をつくりあげる。
 シャドーボクシングでは、目の前に強くなったタパレスがいるかのように「これを避けられたら今度はこうして」と自身の動きを合わせていく。「当たりそうだな」というパンチを何度も繰り返す。だから、誰よりも入念にシャドーボクシングを行い、多くの時間を割いている。
 八重樫トレーナーは練習での動きをそのまま試合で再現し、KOする井上尚の姿を何度も見てきた。「それって、相手のイメージがめちゃくちゃリアルじゃないと試合ではできない。本当にすごいこと」と称賛する。
 試合後、タパレスは「できることはすべてやり尽くした」と言った。だが、そのはるか上を行くかのように井上尚が倒しきり、顔には傷一つなかった。それは頭の中でずっと「最強のタパレス」と闘い続けていたからに、ほかならない。
・・・「頭の中であえて過大評価し『最強のタパレス』をつくりあげる」
  つまり、最悪を想定し、脳内で「最強の相手」を想定し、打ち勝つ練習を積んだ。
  だから、本番の試合を見ると、シロウト目には余裕だった。記事にあるように井上選手の顔は傷一つなかった。
 「最悪を想定する」というのは、単純な楽観主義とは真逆の発想だ。
 「やってのける』ハルバーソン(大和書房)には、次のように書いてある。
=============
◆ポジテイブ思考の人は、物事がうまくいくと信じているために、起こり得るさまざまな問題を十分に検討しようとしません。そのために準備を怠ったり、危険な行動を取ろうとします。(中略)
 一方、ネガティブ思考の人は、つねに最悪の状況を想定します。物事がうまくいかなくなる状況も含め、さまざまな可能性に備えようとします。
◆「トラブルのもとになる非現実的な楽観主義」と「目標達成に欠かせない現実的な楽観主義」との違いは、楽観的になる理由の違いから生じます。
 自分は適切な計画を立てたり効果的な戦略を見つけることによって成功するか失敗するかを自分でコントロールできる、そう考えて楽観的になるのが現実的な楽観主義です。この考えは自信と意欲を高めます。
 非現実的な楽観主義は、計画や努力とは無関係の要素ーたとえば才能(わたしは頭がいいから成功する)や運(自分はラッキーだからうまくいく)-を根拠にします。そのため必要な準備を怠り、状況が悪くなるとすぐにあきらめてしまうのです。
============
 楠木建「絶対悲観主義」(講談社+α新書)の冒頭には次のようにある。
==============
 世の中に言う悲観主義は実のところ根拠のない楽観主義です。最初のところで「うまくいく」という前提を持つからこそ、「うまくいかないのではないか」と心配や不安にとらわれ、悲観に陥るという成り行きです。
 こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどありません。この身も蓋もない真実を直視さえしておけば、戦争や病気のような余程のことがない限り、困難も逆境もありません。逆境がなければ挫折もない。成功の呪縛から自由になれば、目の前の仕事に気楽に取り組み、淡々とやり続けることができます。GRIT無用、レジリエンス不要――これが絶対悲観主義の構えです。
================
・・・ 才能や運を根拠にした楽観主義は、必要な準備を怠り、状況を悪くする。
 そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどないと思うから、抜かりない準備ができる。
 井上尚弥選手の歴史的快挙は、才能ではなく、努力なのだ。
3765f1729ba94c3c829f056567dfcc64 

| | Comments (0)

August 05, 2023

能力は努力次第で伸ばせる 「MIND SET」

以前、TV『世界一受けたい授業』で、ドウエックの『マインドセット』を紹介していました。

ドウエックは、次のように主張しました。

能力は努力次第で伸ばせるから、難しい課題でも挑戦し、失敗を恐れないことが大事だ

これは、「才能は生まれつき・努力したってどうせ変わらない」と真逆の考え方です。

 

ベテランの先生は、学級経営の基盤に

「やればできる・失敗を恐れず挑戦する・努力する・あきらめない」

等を置きます。

また、「やればできる」の対極にある「できるのにやらない子」に対する指導もしっかりしています。

◆ 「何とかならない子」は、努力を持続する意思が、極端に弱い子です。例えば、前もって予告した10問の漢字テストをするとします。(中略)予告してあっても悪い点を取る場合が多いのです。「やればできる」のだが「続けることができない」わけです。

◆「知能検査がよい」ということはたいした才能ではないですが、それとは別の「やることをやれる」「続けてやれる」ということは必要な才能であると考えています。そして、この才能は先天的なものではなく、生活の中で獲得されるものであり、それを獲得させる過程こそ、教育(学校・家庭)の大切な内容であると思っています。

「向山式『勉強のコツ」がよくわかる本」PHPより

あるクラスでは「がんばっている子に刺激を受けて自分もがんばらなきゃ」と切磋琢磨する学級の雰囲気を感じる。担任の先生ががんばっている子に温かく声をかけているからだ。

「ほめる」ができない子も「励ます」は可能である。

頑として動かない子もいるが、彼らのかすかな変化を察知して、励まして続ける教師であってほしい。

Mindset

| | Comments (0)

April 23, 2023

I'd like to finish my work before I start it.

I'd like to finish my work before I start it.
・・・「仕事を始める前に、それを終わらせるのが好き」という意味。
周到な準備を整えておけば、本題に入る前に仕事を終えることができる、という意味では
「段取り8分(ぶ)、仕事2分」
と同じ意味合いだ。
 事前にきちんとした段取りさえしておけば、仕事の8割方は完了する。
「ぶっつけ本番」「自転車操業」の仕事でうまくいくはずがない。
「段取り8割」は、「人事を尽くして天命を待つ」のように、本番は何もしないというわけではない。
8割は事前準備・シミュレーションに費やすぐらいで仕事ができるといいなと思う。
99b7034b8a224d6a92e8d20de5b2db75
 






| | Comments (0)

March 03, 2023

「逆境のときに、どう生きるかで人間の真価は決まる」

「小学校国語教室」102号(光村図書)2022年4月号。
巻頭は東京パラリンピックで金メダルを取った道下美里さんのコラム記事だ。
彼女にとっては「東京パラリンピック」の延期が「逆境」であった。
そりゃあそうだ。
延期決定から1年以上、コンデイションとモチベーションを維持しないといけない。
もちろん日々の生活もある。あと1年オリンピック最優先の生活ができるかどうか。


逆境のときに、どう生きるかで人間の真価は決まる。
順風満帆のときは、うまくいく。そうじゃないときに、どう生きるかがすごく大事なんだ。


という道下さんの言葉に納得してしまう。


そして、たまたま読み返している『伸びる子は〇〇がすごい』榎本博明(日経プレミア)。
「〇〇」の中は「レジリエンス」が入る(はず)。


人生は思い通りにならないことだらけである。そんな人生を力強く前向きに生きていってもらわねばならない。そのためには、思い通りにならない状況に置かれたときも粘り強く頑張り抜く力をつけさせることが必要である。P109


たまたま読み返していた本と、たまたま机の中を整理していた冊子とがつながって、もう少し深めてみたくなってきた。

https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/johoshi/s-kokugo/sodan/s102

09

| | Comments (0)

October 21, 2022

やる気を奪う秘訣

(起)

今は、業務改善が話題になり、なんでもかんでも削減の対象になる。

(承)

モチベーションの本を何冊か読んでいた時に、印象に残るものがあった(記憶違いがあるかも)。
それなりの報酬を与えて、ある物を製作させる。製作したそばから、それを目の前で破壊する。これが何よりやる気を削ぐ。
つまり、その人に全く無意味な行動をさせると、いくら報酬があっても、やる気になれないと言うのだ。

(転)
この理屈で言うと、先生方にとって、一番辛いのは、準備した行事が中止になる事だ。

多少、負担が増えても、働いた意義を見出せる方が精神衛生上は望ましい。

それが「働きがい・やりがい」だ。

(結)

「負担」と「やり甲斐」は表裏一体だ。
 なんでもかんでも削ると、仕事は楽になるかもしれないが、何の魅力もなくなってしまう。
 「負担軽減」が、「やり甲斐の奪取」につながってしまっては意味がない。

| | Comments (0)

身体の「超回復」と、心の「トラウマ後成長」

大学時代に「超回復」という言葉を知った。
今はネットで検索するとたくさんヒットする。効果的なトレーニング・負荷と休養のバランスを知る重要なキーワードだ。

ブリタニカ国際大百科事典
◆運動前よりもエネルギーを増加させ大きな回復力を示す現象をいう。一般的に,運動することで筋肉のグリコーゲンは減るはずであるが,休養と栄養補給で逆にふえることがある。こうした反応を利用することで,ゲーム前にエネルギーを大量に貯蔵したり,筋肉を効率よく増強することができる

大辞林
◆強い運動後疲労がたまった筋肉が、休養により運動前より高い筋力を得ること。

「知恵蔵」の1行目のみ。
◆運動で消費された筋肉のグリコーゲン量が、休息と炭水化物補給によって運動前の貯蔵量を大幅に超えて回復を示すこと。

https://kotobank.jp/word/%E8%B6%85%E5%9B%9E%E5%BE%A9-163344

当時、理解した内容も、およそ、こんなところだ。

ただ、今になってネット辞書後半を読むと、ちょっと違うニュアンスが含まれている。
自分は陸上部に所属していたが、体育科ではなかったので、この部分の理解が不足していた。

デジタル大辞泉の解説
◆<op:b>強い負荷をかけることで傷つき衰えた筋肉細胞が休息によって回復し、さらに負荷を受ける前よりも筋力が強くなる現象</op:b>。過負荷から2~4日間が超回復の期間といわれ、その期間に過負荷運動を行い、次の回復を待つということを繰り返すことで筋力を合理的に増強できると考えられている。

他のサイトでは、もっとはっきり書いてある。

◆<op:b>トレーニングを行うと、筋繊維が破壊される。筋線維が破壊されると、人間の身体は、壊れた組織を修復しようとする</op:b>。この修復にかかるのが、一般的に24~48時間と言われている。筋線維が壊れてから修復するまでのプロセスを、超回復と呼ぶのだ。
https://moneytimes.jp/sense/detail/id=2827

・・・知っている人にとっては当然のことだ。

<op:b>トレーニングを行うと、筋繊維は破壊される。
我々は、筋トレと称して、筋繊維・筋肉細胞を傷つけている。
そして、その回復のメカニズムをうまく活用することで、傷ついた筋力を前よりを強くしている。
</op:b>
これが、身体的な回復と成長のメカニズム。

心理的なストレスやトラウマに対して、ポジテイブ心理学の研究では「トラウマ後成長=PTG」と呼ばれる現象があると指摘されている。

以下「トラウマ後成長と回復」ステーヴン・ジョゼフ著 筑摩選書より、
◆現実に研究結果が示しているのは、トラウマになりかねない出来事に直面した多くの人たちのが相応の回復力を持ち、ストレスに屈しないか、屈したとしても急速に回復でき、その後も比較的高レベルの機能を維持できるということだ。p19

◆こういった変化は「ベネフィット・ファインデイング」「逆境後の成長」「自己変革」「ストレスに伴う成長」「スライビング」など様々に表現されてきた。
なかでも、1990年代半ばに二人の臨床心理学者リチャード・テデスキとローレンス・カルホーンが考案した「トラウマ体験後の成長posttraumatic growth」という言葉はもっとも関心を呼び、現在では、トラウマがどのように幸福感を高める足がかりになるかを探求する新たな研究領域を示すものとして広く用いられている。P39

・・・筋トレと異なり、好きで不幸な状況に身を投じる人はいない。
それでも不幸が過ぎた後、それまでの自分より、どこかポジテイブな生き方ができるようになる人は一定数の割合でいるという(無論、苦難に打ちひしがれてしまう人もいる)。

「トラウマ体験後の成長=PTG」は、トラウマ体験前のレベルを超えるという点で、筋トレの「超回復」と同じなのだ(という解説は見られなかったが、自分はそう思っている)

 筋トレは筋肉を傷つけていると知った衝撃
 筋肉の超回復と、心のPTGが酷似していると知った衝撃

 だから勉強はやめられない。

PTG関連
①トラウマ後 成長と回復―心の傷を超えるための6つのステップ (筑摩選書)
②悲しみから人が成長するとき―PTG (風間書房)
③PTG 心的外傷後成長: トラウマを超えて (金子書房)近藤 卓

| | Comments (0)

October 06, 2022

努力はスキルアップを保証する

「努力論」は奥が深いので、いつも中断してしまう。

向山洋一氏は、次のように述べている(「教育要諦集」第4巻54頁)。

◆行動しないで「夢みる」だけではあれば、願望はいつまで たっても成就しない。

◆何も行動せずに「夢の成就」を願っても、何一つ変わりはしないのである。

・・・では「あきらめずに努力を続ければ、夢はかなう」のかと言うと、これは何とも言えない。

結果として、志望校に合格するか・全国大会に出場するか・代表に選ばれるかプロになれるかなどは誰にも分からない、

夢の内容にもよるが、夢の実現は「運」や「縁」や「自分の力では動かしようもない他者の力」が大きく影響する場合が多い。

つまり、いくら努力をしても、かなわない夢はあるのだから、「努力を続ければ必ず夢は叶う」などと励ますのは、あまりに楽観的である。

しかし次のようには言える。

 

「あきらめずに努力をすれば、必ずスキルはアップする」

 

運動や楽器演奏、受験勉強、語学習得などは、着実に努力の成果が現れる。

「スキルアップ」という意味でなら、「努力は裏切らない」と言ってよい。

 向山氏も次のように述べている。この「上達」とは、まさにスキルアップの意味だ。

◆「絶対にあきらめるんじゃない。努力を続ける限り、必ず上達する時は訪れる。」

| | Comments (0)

努力プラスFUN

「努力」とは何なのか?「GRIT」=「やりぬく力」と「努力」はどう違うのか?

「天才とは1%のひらめきと99%の努力」とエジソンの格言にある。原語の「perspiration」は「努力」と訳されているが、直接の意味は「汗」「汗を流す」である。「実行力・行動力」と同義であろうか。エジソンには、次の名言もある。

◆「私は一日たりとも、いわゆる労働などしたことがない。何をやっても楽しくてたまらないからだ。」

; I never did a day&rsquo;s work in my life. It was all fun.; ;

「努力」には苦難を乗り越えるイメージがあるが、エジソンは自分の創作活動を「FUN」と呼んでいる。

「情熱・熱意」といった楽しいイメージだ。

「努力」は、ハードワークであり、熱中・集中であり、楽しみ(all fun)でもあるということだ。;

中野信子氏は、「見返りを期待して、楽しくないものに苦痛を伴う努力を重ね、恨みをため込むくらいなら、やめたほうがいい」と言う。

「好きなことができるなら、苦だと思わないし、成果が出なくても苦にならない」というスタンスは、先のエジソンの言葉と通じている。

 多くの成功者が「好きなことをやれ」「好きなことであればいくらでも続けられる・好きなことでなければ困難を乗り越えられない」と言う。苦手なものを克服するより得意分野を伸ばすべきだというのが「ポジテイブ心理学」のスタンスである。

 「努力」の概念の周辺に、関連するワードを並べてみたことがあるのだが、FUN、楽しさを加えるとすごいことになる。

「努力」の意味範囲が広がり過ぎて収拾がつかなくなってしまい、現在に至っている。

| | Comments (0)

より以前の記事一覧