January 09, 2024

「遊び心」が「創造性教育」の基盤になる(5)

 「遊びをカタチにして、思いっきり楽しもう」というアイコンを子供向けに企画したのが

したのが、ホンダの「子どもアイデアコンテスト」。これも創造力テスト。

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Hondaの想い

「子どもアイディアコンテスト」は2002年から開催している、Hondaの次世代育成プログラムです。

子どもならではの発想から生まれるアイディアをカタチにすることで

「夢を持つこと」 「挑戦すること」 「創造すること」の大切さや楽しさを体験してもらい、

その過程において子ども達の社会的な成長の一助につながることを目指しています。

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https://global.honda/jp/philanthropy/ideacontest/about/

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・・・WEBから実際のプレゼン動画をみると、最終選考の作品は子供の制作か、親子共同制作かは怪しい。

完成度はとても高いが、すごく真面目なプレゼンばかりで「バカバカしさ」には欠けるかなと思う。

 でも「次世代育成プログラム」というワードが印象的だった。

 そもそも、我々教師の毎日も「次世代育成プログラム」であるべきなのだ。

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「遊び心」が「創造性教育」の基盤になる(4)

 ロボコンの大元は、森正弘教授が審査員をしたオールホンダ・アイデアコンテスト(通称アイコン)。

発案者はもちろん本田宗一郎で、これも創造力テスト。

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1971年10月に開催されたアイコン第2回大会から第6回大会までの審査員を務めた、森政弘・東京工業大学名誉教授は、「『アイコンは技術開発のためにやっているのではない』という本田さんの一言が1番印象に残っている」と語る。

アイコンは仕事ではなく、遊びである。遊びとは、やらされているという気持ちのない状態。まさに、人間らしい気持ちであり、自発性を大事にしている状態である。

Hondaでは、仕事と遊びは、それぞれ平等に考えられており、仕事をするときは仕事に集中し、遊ぶときは、思いっ切り遊ぶ。が、結果として遊びが仕事の、仕事が遊びの良い手段となり、相乗効果が現れるのだ。

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https://global.honda/.../chal.../1970ideacontests/index.html

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・・・仕事とは異なる遊び心(バカバカしさ)が大事だから、商品化はしない・コンテストが終わったら廃棄するというあたりも徹底していた。

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January 08, 2024

「遊び心」が「創造性教育」の基盤になる(3)

 生田幸士氏の恩師である森正弘教授が作ったのが「ロボットコンテスト」で、これも創造力テスト。

「高専ロボコン」サイトから趣旨を読んでみると、次のように書いてある。

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 アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)は、1988年から始まった、若い人たちに既成概念にとらわれず「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを 体験してもらい、発想する事の大切さ、物作りの素晴らしさを共有してもらう全国規模の教育イベントです。

 全国の高専学生が、毎年異なる競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競うもので、発想力と独創力を合言葉に毎年開催され、2023年で36回目を迎えます。

https://official-robocon.com/kosen/

 

 当然、ミッションを達成したチームが優勝・準優勝だが、結果ではなくインパクトを残したチームに「ロボコン大賞」の名誉が贈られる。

 他に「アイデア賞」「アイデア倒れ賞」などがある。

 アイデア賞だけでなく、アイデア倒れ対象があるところがユニークで、独創性を評価する気概が伝わってくる。

◆ロボコン大賞:大きな夢とロマンを持ってロボットを製作し、 唯一無二のアイデアを実現、見る者に深い感動を与えたチームに対して贈られる賞。

◆技術賞 :技術的な完成度が高かったチームに贈られる賞。

◆アイデア賞 :他に類を見ない独創的なアイデアを実現させたチームに贈られる賞。

◆デザイン賞 :機能的な美しさや装飾に秀でたロボットを作ったチームに贈られる賞。

◆アイデア倒れ賞:アイデアは優れているが、その真価を十分に発揮できなかったチームに贈られる賞。

 

・・・・以前見た「アイデア倒れ賞」のチームは、明らかにそれを狙っていた。当該ゲームの目的を達成するには、いかにも運頼みの装置だったからだ。

でも、そういうバカげたチャレンジが、全く新しい未来を作り出すのだ。

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「遊び心」が「創造性教育」の基盤になる(2)

医用ロボットの世界的先駆者である生田幸士氏は、次のようなコンテストを行なっている。

「10階建ての屋上から生卵を落としても、割れない装置を作りなさい。

使っていいのは、レポート用紙サイズのボール紙と接着剤だけ。」

・・・このアイデアコンテストも、まさに創造力テストだ。

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 レンガ1個の使い方は単なる空想話で通用するが、こっちは兎にも角にもボール紙で製作しないといけない。

 まさに「論より証拠」だ。

 その生田研究室では、毎年いかにくだらないことを考えたかをプレゼンで競い合う「バカゼミ」が行われている。これも創造力テスト。

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「遊び心」が「創造性教育」の基盤になる (1)

世界初の創造性テストと呼ばれるのが「レンガ1個の使い道をたくさん考えなさい」というレンガテスト。

マニュアル通りに行動するパイロットは、すぐに敵に撃ち落とされてしまう。

敵に予測されない行動が取れるパイロットが欲しい。

そのために必要なのが「創造性」。

現代的な課題で言うと、想定外の世の中を生き抜く力が「創造性」である。。

「レンガ1個の使い道を15分間で50通り考える」って、馬鹿げたアイデアを出さないと達成できないよね。

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https://www.cultibase.jp/articles/7942

 

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January 07, 2024

「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その10)


~「オープンマインド」~
 「オープンマインド」とは、固定観念にしばられずに相手を認め、自分についても正直に表現できる「開かれた心や姿勢」のこと。
  自分の考えに固執せず、相手に対し聞く耳をもっていれば、「自分には絶対無理」と決め付けず、不安があっても試してみようかと、新しい事に挑戦できる。
  反対に、クローズドマインドの人は、
①人にレッテルを貼ってしまう ②物事を主観的に見てしまう ③ステレオタイプなモノの見方をする といった傾向がある。
 「これは、絶対こうだ」「私はこれしか信じない」と決めてかかり、自分の意見に固執し、違う意見の人の話に耳を向けることができない。
・・・オープンマインドとは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱された「計画された偶発性理論」というキャリア理論のなかで述べられたもの。
 「偶キャリ」は、それほど古くはないので、向山先生が参考にしたわけではないと思う。
 しかし、自由な発想を促す向山実践の背景には「オープンマインド」と同じ着想がある。
 さて、近年話題になった「MIND SET」も、100の努力を推奨した向山学級を彷彿させる。
 1979年のスナイパーNo.9では「水泳でも、作文でも、練習中、ちっとも伸びないように見えて、持続さえすれば、突然できるようになるのだ。」とある。
 
 その激励の根底にあるのが、「自分は努力次第で変われるのだ」という拡張的知能観(しなやかマインドセット)である。
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しなやかマインドセット

「才能は磨くほど伸びる」と思う人

◯新しいことにチャレンジしたい

◯努力は何かを得るために欠かせない

◯批判から真摯に学ぶ他人の成功から学ぶ

→結果的により高いレベルで成長し自分の意思で未来を切り開いていける

 マインドセット次第で仕事が変わり、自分が変わり、人生の質が変わる!

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・・・「拡張的知能観」があるから、諦めずに頑張れる。

教師は、この拡張的知能観に基づいて、いつもいつも子供を支える存在でありたい。

「探究力・発想力」を育むのは、「それでいいんだよ」「その調子だよ」「もっと考えてみよう」と学習者のリミッターを外す激励の言葉なのだと思う。

 

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「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その9 )

~「上達論」~

 向山洋一氏の社会科実践に「〇〇であれば工業地帯である」「工業地帯であれば〇〇である」という仮説を自分でつくる実態調査がある。
 仮説の列挙が最大で41個、最小で5個の意見が出されたというところがすごい。
 以下が、32個の一覧表である。
仮説の論証(実態調査4)1980.11.5
◆作った仮説を論証する証拠をさがしたもの
(1)立地条件等
1海に面していれば工業地帯になりやすい
 アメリカに近い(太平洋側の)海に面していれば工業地帯になりやすい
2そばに川があれば工業地帯になりやすい
3交通が便利だと(国鉄は通っていれば)工業地帯になりやすい
4広い場所があれば工業地帯になりやすい
5埋立地は工業地帯になりやすい
6資源がとれれば工業地帯になりやすい
7鉄鉱石がとれれば工業地帯になりやすい(鉄は工業の中心である?)
8昔(50年前・100年前)に工業地帯であれば、今も工業地帯である。
(2)指標A
9製鉄所があるところは工業地帯である。
10石油工場があれば工業である
11パイプでつながった工業群があれば工業地帯である
12自動車工場があれば工業地帯である
13重化学工業が盛んなら工業地帯である
14大工場があれば工業地帯である
(3)指標B
15電気の消費量が多ければ工業地帯である
16水の消費量が多ければ工業地帯である
17人口が(学校が、住宅が、商店街が、車両に乗る人が)多ければ工業地帯である
18他府県から来た人が多ければ工業地帯である
19車が(交通事故が)多ければ工業地帯である
20「ごみ」が多く工業地帯では出れば工業地帯である
21道路が広ければ(立派なら)工業地帯である
(4)自然破壊等
22工業地帯で工業地帯では空気が汚れている(星が見えにくい・光化学スモッグ・よごれやすい)
23工業地帯では川がよごれている(泳げない。にごっている)
24工業地帯では海がよごれている(ヘドロ、泳げない、油がういている)
25工業地帯では騒音が多い
26工業地帯では公害病になる人が多い(鼻炎・気管支炎・ぜんそく)
27工業地帯では緑が少ない
28工業地帯では魚があまりいない
29工業地帯では虫が(赤トンボ)があまりいない
30工業地帯には空地があまりない
31工業地帯では土地の値段が高い
32工業地帯では農産物が(田畑が)すくない
・・・ 子どもたちは、「工業地帯は□□が多い・工業地帯は□□が少ない」のような四角の中を入れ替えていくようなたくさん列挙する「コツ」を体得しているのではないかと思う。
 無論、もともと東京に住む子どもたちだから
「あのあたりが工業地帯かな?だとすれば、どんな特徴があると言えばいいかな?」
と特定の地域をイメージして仮説を立てているのだろう。
 向山学級は、日頃から「たくさんの方法・たくさんのアイデア」を列挙させている。
 先にも引用した「青森のリンゴ」のような励ましが日常的にされていたのではないかと思う。
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「参考書で勉強するのも大切だけど、もっと大切なのは自分の頭でまず考えてみることだよね。事実を一つ一つ確かめたり、考えたりしてみることだよね。
さあ、参考書はあてにならないことがわかったから、自分の頭で考えてみよう。思いつくことは何でもいいから発表してごらんなさい。」
 ぼくは、子どもの発言をうながした。
「本当に何でもいいの」と、子どもは言いながら、一人が発表すると次から次へと意見が出された。
「鉄道があるからだと思う」という意見が始めに出された。
「とってもいいことだよ。そうすると長野以北で、しかも鉄道が通っている所ということで、ずいぶんせばめられるよね」、とぼくはことさらにほめた。
「とにかく、商売だから、もうかるんだと思う」と、ある子どもが言った時に、みんなドッと笑いころげた。
「それも、大切だ。どうしたら、もうかるのかな」と質問し、商品作物が一地域で集中して作られることによって、価格が下がることをおさえた。
 どの意見もどの意見も認めていった。何を言っても認められたから、子ども達は、 面白いように意見を続けた。
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・・・向山氏が、ブレーンストーミング的に、「どんな意見も受け入れる態度」を示しているかがよく分かる。
 だから次々に自由度の高い意見が出されている。
 また、笑われるような子どもの意見にも、きちんと意味づけをしており、発言した子どもの自尊心が高まるよう支援していることが分かる。
◆「思いつくことは何でもいいから発表してごらんなさい。」
◆「どの意見もどの意見も認めていった。何を言っても認められたから、子ども達は、 面白いように意見を続けた」
とあるから、最初から「質」を求めていない。
 「量」を求めることで、結果として「質」が上がってくる。
 「量質変化」だ。
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上達論を勉強したことのある人なら誰もが知っている法則があります。それは「量質転化の法則」です。
これは、ある一定量を積み重ねることで、質的な変化を起こす現象を指しています。
ものごとの質を変えたかったら、 量をこなすことが大事、という意味です。
つまり、上手くなりたければ「質が変化するまで量をこなす」ことが必要で、本質が変化しない段階で量をこなすことを止めてしまうと、 すぐにもとに戻ってしまうのです。
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・・・1979年のスナイパーNo.9では「水泳でも、作文でも、練習中、ちっとも伸びないように見えて、持続さえすれば、突然できるようになるのだ。」とあり、「100の努力」という形で具体的な数値目標も示している。
 向山学級には「量質変化の法則」という「上達論」があった。
 愚直に探究してきた子供たちは、ある時期から加速度的に成長を遂げたのだ。
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「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その9)

~創造性テスト~
 1950年にアメリカの心理学会会長となったギルフォード(Guilford,J.P)は産業や教育、芸術や科学の領域で創造的能力が大切なことを主張した。
 ギルフォードといえば知能検査で有名で、ただ1つの正答を導くような思考である収束的思考と,多くの解決策を発想する発散的思考を区別し、前者を「知能」、後者を「創造性」とした。
 そのギルフォードが「創造的能力」の必要性を感じたきっかけは、第二次大戦中にパイロットの選考を依頼された時のエピソードだ。
◆ギルフォードが知能検査や学業成績等をもとに適任者を選抜したパイロットのグループより、元司令官が選んだパイロットのグループの方が追撃される率が低かった。その原因は、元司令官が選んだパイロットは敵に予測されないような「マニュアル通りの答えをしない兵士」であったからだ。
・・・このことから、ギルフォードは常識と違う考え方や、予想外の解決策を見いだす創造的な人材を見極める方法が必要だと考えた。       
 1969年にギルフォードが考案した創造性テストは、
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レンガ1個の使い道をできる限り考える。(15分で50通り)
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・・・柔軟な発想をしなければ何通りもの使い道は出てこないことを考えると、レンガテストの着想は、今なお新しい。
 実際にレンガ1個の使い道を考えてみると、
「おもしにする」「台にする」とランダムに考えるより、
「重み」「高さ」などのカテゴリーを決めて連想した方が列挙しやすい(このように連想の仕方を覚えることも大切な思考訓練である)。
 創造性の評価には6つの因子があるが、シンプルに提示するなら、次の3つである。
 授業もこの観点で評価すればよい。
①たくさんのアイデアを出したか(数の多さ)
②人と違うアイデアを出したか(独創性)
③様々なカテゴリーでアイデアを出したか(柔軟性)
 向山学級の子ども達の意見の特徴の一端が、この3つの評価観点に表れていることが分かる。
 もう1つの評価項目を挙げるとすれば「人より速く思いついたか(瞬発力)」である。
「見開き2ページで100問の発問を作れ」という教師への課題
「わかったこと・気付いたこと・思ったこと」を黒板にあふれるほど列挙させる子どもへの課題
 これらは、レンガテストと同じである。
参考:【創造性評価の6つ因子】
①問題に対する感受性:問題点を発見する能力
②思考の流暢性:生成するアイデアの量
③思考の柔軟性:異なるアイデアを広範に生成する能力
④.独創性:ユニークな答を出す能力
⑤.綿密性:具体的に工夫し完成させる能力
⑥再定義:ものを異なる目的に利用できる能力
 1968年に教壇に立った向山洋一氏は、「創造性テスト」「水平思考」『発想法』『頭の体操』『知的好奇心』等に触れ、多様で多量な発想を鍛えてきたのだと勝手に考えている。
◆◆◆◆
1950~60年代 人工知能第一次ブーム
        特徴:推論と探索(探索・迷路・パズル)のブーム
1958年『独創力を伸ばせ』オズボーン(上野一郎訳)
1966年『頭の体操』第1集 多湖輝・『発想法』川喜多二郎
1967年 静岡市立東中学校の学級通信で「教室はまちがうところだ」掲載(蒔田晋治氏)
1969年 レンガテスト『水平思考の世界』エドワード・デボノ
1969年『知的生産の技術』梅棹忠夫
1973年『知的好奇心』波多野誼余夫氏・稲垣佳世子
1976年『創造力を生かす』オズボーン(豊田彰訳)
1979年『論理的思考』宇佐美寛
1981年『理科系の作文技術』 木下是雄
◆◆◆◆    
1967年 向山洋一 東京学芸大学教育実習
1968年  〃 大森第四小学校赴任
1971年  〃 初代向山学級卒業生
1977年  〃 調布大塚5年1組「すないぱあ」
1979年  〃 『斎藤喜博を追って』(教師修行十年)
1981年  〃 NHKクイズ面白ゼミナール開始(7年間)
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「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その8)

~創造的思考(ひらめき)= 応用力・活用力 のルーツを探る~  

「ひらめきが大事で、クイズやパズルが大流行」は、今に始まったことではない。
1966年に発刊された多湖輝の「頭の体操」は20集までシリーズ化され、第1集だけで250万部を超えた。
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何度も書くが、向山先生の初任は1968年である。
1999年に復刻された「頭の体操」1集の裏書きには次のようにある。
=====================
今あなたの脳ミソは、固定観念でこり固まっていませんか?
創造的な人間になるには、その枠を破っていく独創力が必要なのだ。
====================
・・・既成の枠にとらわれていては新しい変化に対応できないことが、50年以上前から既に問題視されていたことが分かる。
「発想力」「ひらめき」「柔軟な思考」など言い方は様々だが、今まさに「AIに代替えされないために人間に求められる能力」である。
 ちなみに、向山氏は「頭の体操」を全問正解し、模範解答よりも多くの答えを考えたそうだ。
 向山氏の発想(授業のヒント)に「頭の体操」があったことも十分予想できる。
 さて
 深く掘り進める論理的思考や分析的思考を「垂直的思考」と呼ぶのに対して、別の場所に新たな穴を掘るような発想を「水平的思考」(ラテラルシンキング)と呼ぶ。
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 『頭の体操』が求めたのも「ラテラルシンキング」である。
 「論理的思考(ロジカルシンキング)」や「探究的思考・批判的思考(クリテイカルシンキング)」に比べると認知度は低いが、既成事実や概念にとらわれずにアイデアや結論を導き出すこの思考法は、
「前提を疑う」
「新しい見方をする」
「組み合わせる」
の3つの視点から考えることで斬新で創造的なアイデアを導き出す。
 エドワード・デボノが著した『水平思考の世界 ~NEW THINK~』は1969年発行。
 副題が「電算機時代の創造的思考法」で、裏表紙には「自分のカラを破れ!」と題した次の紹介文がある。
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 現代のようなコンピュータ時代にこそ、人間の創造的機能が大いに発揮されなければならない。
 なぜならば、新しいアイデアを生み、新しい角度からものをみる頭脳、能力が、進歩成長の原動力となっているからである。
 「水平思考とは問題解決のために”想像力ゲーム”を意識的に使うことである。
 つまり、直線的なロジックでは見落とされてしまう新しいアプローチをみつけることである。
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 50年前の言葉とは思えないほど、今なお新鮮な言葉だ。
 論理的な思考は既成のアイデアを発展させる。
 しかし、新しいアイデアを生み出すには、新しい角度から物事を見る水平思考・創造的思考が必要で、両者は補い合う関係にあるとデボノは言う。
 『頭の体操』シリーズも、論理的(垂直的)に思考した読者が「ずるい」と思える問題がたくさんある。
 固定概念にとらわれ常識的な考えから抜けられないことが垂直的思考の弱点であり、「ずるい!」「その手があったか!」と思えるほど奇抜な発想をすることが水平思考の真骨頂だ。
 「ずるい」と思う時点で、自分の頭が固い証拠なのだ。
 豊かな発想は、量にも質にも関与し、多量で多様な意見を列挙させる。

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「探究力」をはぐくむ向山学級の秘密を探る(その7)

「リストアップ」のルーツを探る 
向山洋一氏は、1968年大森第四小学校に赴任された。
この年は、『発想法』(川喜多二郎著・中公新書)が発刊されている。
「KJ法」「ブレーンストーミング」「チェックリスト」の3つの手法が取り上げられた名著を向山氏が知らないはずがない。
◆最初は平凡なアイデアしか出てこないが、その平凡なアイデアが枯渇すると、ようやく非凡なアイデアが浮かぶ。
枯渇するまで大量に考え抜き、多量なアイデアをリストアップさせる手立てが、カードに記録するKJ法である。
◆また、1人では思いつかなくても集団で話し合うと、互いの意見が刺激になって連想が進む。
問題解決のために新しい発想、アイデイアを作りだすために考えられたのが「ブレーンストーミング」である。
・・・話し合いは結論を出すために収束の方向に向かうものだが、ブレストは拡散の方向に向かう。
Aに触発されてBが出たり、
思わぬ方向からCが出たり、
無理やりDを出したり
という自由度の高さがブレストの魅力である。
『発想法』には、ブレストの成果を上げるために4つの留意点が示されている。
①他人の意見を批判しない。
②自由奔放に意見を述べよ。
③できるだけ多量のアイデイアを出せ。
④他人の意見を受け、発展させよ。
 Aオズボーンが著した『創造力を生かす』(1969年創元社)には、よいブレスト会議は「出されたアイデアの数と、会議員の感想によって証明される」とあり、お互いが「おもしろかった」と言い合えば成功だと指摘がある(p296)。
【オズボーンのチェックリスト】
①転用できないか(Put to other uses)
②応用できないか(Adap)
③変更できないか(Modilify)
④拡大したら (Magnify)
⑤縮小したら (Minify)
⑥代用したら (Substitute)
⑦置換したら(Rearrange)
⑧逆にしたら 逆転(Reverse)
⑨結合したら(Combine)
 向山実践の「かける」の用法を列挙する授業や「わかったこと・気付いたこと・思ったこと」を列挙させる授業など、大量の気づきを分類整理する実践はブレーンストーミングが効果的だ。
 結論に導く収束的な話し合いも無論大事だが、多量で多様な解を促すブレスト的な話し合いも注目していい。
 「正解のない時代」と言われる今こそ「ブレスト」が重要になるはずだ。
 発想が途切れた時、ヒントに沿って見直したり類推したりすると、新たなアイデアが浮かぶ。
 先にも紹介したが、「1から10までの数を集合で考える」という課題で、60通りの答えを出すには、発想の転換がないと不可能なのだ。
 アイデイアをリストアップするKJ法、アイデアを創出するブレーンストーミング、発想を広げるチェックリストは、多量で多様な発想を促す向山実践(探究的な学習)を支えている。
 
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