November 27, 2023
October 24, 2023
国語の答えは「1つ」しかない!
October 15, 2023
漢字の練習時間が長い
October 13, 2023
「要約よりも引用を指導せよ」 ~宇佐美寛先生の主張~
September 24, 2023
まずはスラスラ音読できること
September 23, 2023
国語の評価はインプットとアウトプット
September 22, 2023
変容(成長)する主体が「主人公」
1学期どう教えたのですか?
September 21, 2023
『たずねびと』の主人公は、哲学的思考に一歩近づいた?
令和3年度 石川県の教採論文課題の文章が面白かった。
私たちは、「問う」ことではじめて「考える」ことを開始する。思考は疑間によって動き出すのだ。だが、ただ頭の中でグルグル考えていても、ぼんやりした想念が浮かんでは消えるだけである。だから 「語る」ことが必要になる。きちんと言楽にして語ることで 、考えていることが明確になる。そしてさらに問い、考え 、語る。これを繰り返すと、思考は哲学的になっていく。
(梶谷真司 「考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門」より)
・・・「哲学的思考」と言われると難しくて敬遠したくなるが、「問い、考え、語る」なら、新学習指導要領の「主題的・対話的で深い学び」に通じる。出題者も当然そう思ってこの資料を教採の課題として提示したのだと見当がつく。
5年国語「たずねびと」と重ねてみたら、主人公の「綾」が、まさに哲学的思考をしているのではないかと思った。
上記の表現を借りるなら、ラストの「綾」は、頭の中でグルグル考えていても、ぼんやりした想念が浮かんでは消えるだけの状態だ。
「アヤ」は原爆で亡くなった「アヤ」についての疑問を解明するために広島に来た。 しかし、「アヤ」についての当初の疑問は解決したものの、知らないことが多すぎた。 ※資料館を半分も回らないうちに、わたしは頭がくらくらしてきた。何もかも信じられないことばかりだった。 ※うちのめされるような気持ちのまま、資料館を出た。 ※わたしははずかしくなって下を向いてしまった。そんなことは考えたこともなかったからだ。 ※わたしはらんかんにもたれた。おにいちゃんもせかさなかった。 ただただ興味本位で訪れた自分が恥ずかしくなった。 思慮の足りなかった自分が恥ずかしくなった。 何も知らない自分が恥ずかしくなった(知らないことの多さに呆然とした) |
だから、この作品の中で主人公がどう成長したかと問われたら、「自分の思慮の足りなさを知った」「自分が『無知』であることを知った」ということで、それはつまり「哲学的思考に一歩近づいた」ということなのだと思う。
◆学校をはじめ 、世の中では、いろんなことを学んで分かることを増やし、分からないことを減らすのがいいとされる。 哲学はその真逆である。分からないことがたくさんあれば、それだけ間うこと、考えることが増える。だから、 どんどん分からなくなるのがいい、というのが哲学なのだ。
「綾」は、どんどん分からなくなった。
それでいい。それこそが「成長」なのだ。
September 10, 2023
向山洋一氏の功績 〜表現の中に根拠を求める読み〜
より以前の記事一覧
- 町内の起案文書も、ナンバリングが欲しい! 2023.08.24
- 漢字に興味を持たせ、漢字の習得率をアップさせたい。 2023.08.24
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- 「ごんぎつね」のワークシート考 2023.08.04
- 証拠となる言葉探しに、敏感になる。 2023.07.26
- 「構造学習」について 2023.07.25
- 「思考の質を高める構造読解力」 2023.07.25
- 物語の読み取りには、テーマが大事? 2023.07.24
- 安易なワークシートの授業 2023.07.21
- 「向山型国語入門QA小事典」 2023.07.21
- 吹き出し授業の甘さは、こういうことか! 2023.07.21
- 「どんなお話か」は難しい 2023.07.20
- 物語の「作り方」が分かると、「読み方」も分かる! 2023.07.20
- 国語のテストで、あきらめさせない! 2023.06.19
- Microsoft Bingで「一つの花」について聞いてみました。 2023.06.04
- 生成AIを使った「一つの花」の教材研究 2023.06.02
- 「~だ」と「~のだ」の違いをAIに尋ねる 2023.05.24
- 「~のです」は理由を表しますか? 2023.05.24
- 視点人物であることを意識させる 2023.05.14
- 問いに正対した解答が大事! 2023.02.08
- 「三年とうげ」(3年光村) 教師の一人読み 2022.12.21
- 「プラタナスの木」(光村国語4年) 2022.12.06
- 楽しい授業は、疑問が次々浮かぶ 2022.12.06
- 「三年とうげ」(3年光村) 2022.12.05
- 「対比」と「二項対立」 2022.11.30
- 私の弟は学校だ 2022.11.16
- 国語の教養小説 〜アウフヘーベンしようぜ〜 2022.11.06
- 子供の感想には、「感動」と「分析」がある。 2022.10.31
- 国語の「登場人物」と「発問」を考える 2022.10.30
- 「分析批評」の番外編 ~読者・作者・話者~ 2022.10.30
- 対比は奥が深い (7) 過去の実践研究例 2022.10.30
- 対比は奥が深い (6) 2022.10.30
- 対比は奥が深い(5) ~解釈の違い~ 2022.10.30
- 対比は奥が深い④ 変化 2022.10.30
- 対比は奥が深い③ 情報処理能力 2022.10.30
- 対比は奥が深い② 2022.10.30
- 小1「くじらぐも」 2022.10.30
- 対比は奥が深い(1) 2022.10.30
- 4年生で学ぶ「対比」 2022.10.29
- 物語の三部構造と「変化」を読み取る 2022.10.28
- 「分析批評」をきちんと世に伝えていきたい 2022.10.28
- 分析批評の「話者」の解説 2022.10.27
- 分析批評は、作品に対して自分の意見を言うための分析の技術である。 2022.10.27
- 「モチーフ」という分析用語 2022.10.27
- 「狂言回し」という文芸用語 2022.10.26
- 物語のまとめのフォーマット 2022.10.26
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- 「探索的会話」 2022.07.27
- まずはスラスラ音読できること 2022.06.04
- 国語の教科書で「リード文」の指導 2022.05.18
- 「言葉ってスゴい!」 2022.05.11
- 日本の国語教育に求められること 2022.05.11
- 漢字の読み書きのつまずきについて 2022.04.28
- フルセンテンスだから思考訓練ができる ~法則化運動から学んだ文化~ 2022.04.20
- 子どもの誤答を考える。 2022.01.21
- 国語の発問づくりは3段階ある。 2021.12.28
- 齋藤孝『子どもの学力は読解力で決まる』 2021.12.07
- 「パラグラフ」と「段落」は違う! 2021.11.29
- 「作文下手な日本人」が生まれる歴史的な必然 2021.11.08
- 「PISA型読解力は何を示唆するか」 2021.11.04
- 文章理解の三段階 2021.10.29
- 令和の三読法? 「構造読み」「精査・解釈」「考えの形成と共有」 2021.10.11
- 大きな対比は、作品と自己との比較 2021.08.01
- 「人はいかにして学ぶか 日常的認知の世界」(中公新書) 2021.01.04
- テキストを鵜呑みにしないために、「拡散的思考」で読む。 2021.01.02
- 要約は総合的な表現活動である(3) 2020.12.28
- 要約は総合的な表現活動である(2) 2020.12.28
- 要約は、総合的な表現活動である(1) 2020.12.28
- 「スキーマ」の理解を深める(その2) 宇佐美寛氏の文献に戻る 2020.12.19
- 「描写」を指導することの重要性 2020.12.19
- 学習指導要領の用語の定義(今さらながら) 2020.12.12
- あらためて「PISA読解力」を考える 2020.09.15
- 物語の「題名」の分類は作文指導にもつながる 〜「ベストセラーコード」④〜 2020.08.14
- ヒーロー・ヒロインの「動詞」の特徴 ~人格は運命なり~ 2020.08.14
- 「文体」がいかに重要か 〜「ベストセラーコード」②〜 2020.08.14
- 物語の展開(プロット)を考える 〜「ベストセラーコード」①〜 2020.08.14
- 文学批評による批判的思考力の育成 2020.08.13
- 単純な対比の読み取りでは、飽きてしまう 2020.08.06
- 「転回点」=「ターニングポイント」=「クライマックス」 2020.06.14
- 国語読解法〜「物語の型」「一文の要約」〜 2020.05.31
- 国語の学習は「テキストを正確に詳しく読むこと」 2020.04.25
- 日常では、リテラシー能力が求められている! 2020.02.24
- 「PISA型読解力は何を示唆するか」 2020.02.24
- PISA型読解力とクリテイカルシンキング 2020.02.23
- 「PISA型読解力」をどう捉えるのか? 2020.02.11
- 「初等中等教育局メールマガジン」に着目 2020.01.26
- 文科省のPISA読解力の見解は? 2020.01.13
- 記述式問題とプログラミング的思考 2020.01.01
- 「情報」の学習指導(光村版) 2020.01.01
- 読解力は、より重要な能力 2020.01.01
- 中央公論12月号 伊藤氏貴氏への反論 2019.11.16
- 中央公論12月号 「ロギッシュ」と「ミクシ」 2019.11.16
- 学テから大学入試まで一貫している。 2019.11.09
- RST 係り受け解析 2019.11.06
- 読解力を高める授業と、証明教育 2019.09.25
- LINE;によって阻害される「文脈形成力」 2019.08.31
- 読解力は抽象化の力 2019.08.31
- 「一字読解」という国語の技法 2019.08.19
- 『わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~』 2019.07.29
- 二重否定を否定できる言語能力 2019.07.17
- 大学入試講演会で分かったこと! 2019.06.17
- AIの限界を「ゲシュタルト知覚」で解釈する 2019.05.28
- AIの限界を「言語コード論」で解釈する 2019.05.28
- 文章のレイヤー構造 2019.05.28
- 「読解力」をマークした 2019.05.28
- 「文章法」とは何か? 2019.05.23
- 小中学校の学テ問題から、大学入試まで 2019.05.07
- 学力テストに対応する国語の授業とは? 2019.04.22
- 「作文下手な日本人」が生まれる歴史的な必然 2019.01.14
- 読書は脳の想像力を高める 2018.10.31
- 文学で培う健全な批判精神 2018.10.28
- 古くて新しい「ブレーンストーミング」 2018.10.27
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- 「読解力向上」と「論理」の私案 2018.06.09
- 国語の「抜き出し問題」 2017.08.04
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- 長い一文を読み取る力 2017.03.05
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- 中学生に必要な、GRIT 2017.03.05
- 光村4年国語「アップとルーズ」 2016.11.03
- 日米仏の作文指導(思考指導) 2016.04.03
- 国語らしく心情を読む練習 2015.05.29
- 白石範孝氏も学んだ「向山型国語」 2015.03.21
- 「国語教育」2015年3月号 2015.03.07
- 「批判・批評」のルーツをたどる 2015.02.08
- つなぎ言葉の習得が、論理的思考の基盤になる 2014.10.05
- 感想文の到達目標・必達目標 2014.10.03
- 「子どもにさせようと思うことは自分がやらないと絶対にダメです」 2014.09.23
- あらすじを書かせるにのも、手順がある 2014.08.20
- 国語教育 2014年7月号(明治図書) 2014.06.15
- 学力状況調査(小学校国語)の悪問 2014.05.11
- 児童の発達の段階に応じた国語の指導 2014.04.29
- 事実と意見の区別は難しい 2013.10.28
- 達意の文章を書くことが最優先 2013.10.28
- 意見文を書かせるための「反論」のすすめ 2013.10.28
- 「ぼくは川」「われは草なり」を、どう読むか? 2013.09.15
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- 寝てゐても団扇の動く親心 2013.05.18
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- 続:文章を正しく読み取る活動は 2013.04.21
- 文章を正しく読み取る活動は? 2013.04.21
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- 子どもの実態に合わせて、授業を組み立てる 2011.07.10
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- 説明文教材は数値に感動させよう! 2010.12.02
- 『人間失格』 太宰治 2010.10.23
- 段落構成の指導の前に、文法指導を! 2010.09.27
- 「発言」と「発表」を区別する 2010.09.20
- 「推敲」で語感を鍛える 2010.09.16
- 読書感想文の書き方 2010.08.18
- 読解力向上の手だて 2010.08.02
- PISA型の話し合い 2010.07.25
- 「ヒロシマのうた」(6年)を6時間で授業すること 2010.07.14
- 国語の読解授業が、どう変わったか。 2010.07.04
- 「国語力」についての理解 2010.06.21
- 誰の視点で小説を読むか 2010.05.05
- フィンランドメソッドによる読解指導 2010.01.08
- 「世界で一番美しいぼくの村」(東京書籍 4年) 2010.01.07
- 何気ない仕草に心が表れる 2009.12.06
- 「サーカスのライオン」をどう読むか・どう問うか? 2008.12.27
- 新川和江の2つの詩 2008.11.14
- 「海のいのち」(立松和平)は、共生の物語か 2008.08.20
- 「かさ」を表す自分の言葉 2008.06.15
- 「雪」のイメージ 2008.06.01
- 論理数学的な法則性 2008.02.17
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- 論理的思考がストーカーをなくす 2007.12.02
- 6つの力をつける国語教科書 2007.09.04
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- 「論理力ノート」~見出し語~ 2006.12.01
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- いろは歌(3) 2006.09.29
- いろは歌(2) 2006.09.29
- 「いろは歌」(1) 2006.09.29
- 「読書感想文」のマニュアル 2006.09.12
- 要約指導~「柱」概念への疑問~ 2006.09.07
- 具体的に語る 2006.07.08
- 意見文の内容 2006.07.08
- 「ドラゴン桜」13巻の学び その3 2006.07.02
- 「ドラゴン桜」13巻の学び その1 2006.07.02
- 「していない」の2つの意味 2006.06.29
- イコールのパターン 2006.06.23
- 読解力の3段階 2006.06.15
- 「読解力」=けんか読み 2006.06.14
- 「要約指導」の2タイプ 2006.06.14
- 接続語と段落構成 2006.06.12
- 「だが、しかし」の論理 2006.06.12
- 対照実験の論理 2006.05.29
- 心情を読みとるレベル4・5 2006.05.28
- 暗号を読む作業(2) 2006.05.14
- 暗号を読む作業(1) 2006.05.14
- 心情を読みとるレベル3 2006.05.04
- 「詩」を読ませる 2006.05.01
- 詩を書かせる 2006.04.28
- 「メタ認知」で教育論文を読む 2006.03.13
- 「メタ認知」補足 2006.03.10
- イチローの作文の論理 2006.03.06
- 「じゃんけん」の論理 2006.03.06
- 分析批評の10のものさし 2006.03.01
- 「ドラゴン桜」11巻の学び(2) 2006.02.21
- 作文のNGワード「という」 2006.02.07
- 「図書館読み」と「無人島読み」 2006.02.02
- 古典の学習と「講談」 2006.01.28
- 作文のNGワード「思います」 2006.01.20
- 「楽しかったです」の作文をどうするか 2006.01.19
- 「いろいろ」の作文 2006.01.17
- 文相互の関係 2005.10.20
- 「読解力」と「考える力」 2005.10.19
- 「読解力」と「論理思考」 2005.10.19
- 「読解力」と「論理エンジン」 2005.10.19
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