June 17, 2019

文科省が求める論理の技法~言い回し~

(1)小学生以下の論理の言い回し

 文科省のHPにある中教審の「新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)」
 関係資料P24 「幼稚園教育要領の改訂(平成29年3月告示)」の「遊びを通しての総合的な指導」に「思考力、判断力、表現力等の基礎」の要素として、次の7項目が挙げられている。

①試行錯誤、工夫 
②予想、予測、比較、分類、確認 
③他の幼児の考えなどに触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさ④言葉による表現、伝え合い
⑤振り返り、次への見通し
⑥自分なりの表現
⑦表現する喜び等

・・・しかし、こうして項目だけ挙げられても、何をどう指導したらよいかが分からない。
  かつて、奈須正裕氏の講演を聞いて以下のメモ書きをした。

◆「あれ?おかしいなあ」は、仮説との不一致を示す言い回し。
◆ 「ほら、やっぱり~」は、仮説との一致を示す言い回し。
◆「だってさあ」は、根拠や反論を示す言い回し。
◆ 「それじゃあ」は、代案を示す言い回し。

・・・このように、発する言葉と項目とを関連付けると指導も評価も分かりやすくなる。
  以下のように試しに書いてみたが全項目は埋まらなかった。
  「発する言葉」が思い浮かばないということは、指導の手が思い浮かばないということだが、文科省が伝えたい内容が具体的に理解できてないということでもある。

①試行錯誤、工夫
  「もし~してみたら、どうかな」 「いいこと考えた」「あれ、おかしいな」

②予想、予測、比較
  「たぶん~」「きっと~」「やっぱり」「絶対に~」「~はずだ」「~にちがいない」
  
②分類、確認
  「こっちの方が~」「分けてみると」

③他の考えなどに触れて新しい考え
 「なるほど」「たしかに」

④伝え合い 
  「ねえ聞いて」「ねえ教えて」「あのね」「だからさ」 

⑤次への見通し 
  「よおし今度は」「これからは」

 (2)小学生の論理の言い回し

 文科省資料の「言語活動の充実に関する指導事例集」では、中学年で「判断と根拠・結果と原因」や条件文、高学年で演繹法や帰納法の論理を用いて表現できるよう指導せよとある。
 一部、具体的な言い回しの明示があるが、明示されていない項目は指導が難しい。

 【低学年】
○判断と理由の関係を明確にして表現する。
○時系列(まず,次に,そして,など)で表現できる。

 【中学年】
○判断と根拠,結果と原因の関係を明確にして表現する。
○条件文(「もし○○ならば△△である」)で表現する。

 【高学年】
○演繹法や帰納法などの論理を用いて表現する。
○規則性やきまりなどを用いて表現する。 

・・・これも、「言い回し」と組み合わせてみる。

◆判断と理由(結果と原因)
 「○○だから△△」 「なぜならば」「ということは」

◆時系列
 「まず」「次に」「そして」

◆規則性やきまり
 「~のはずだ」「~だと言える」「きっと」「たぶん」

◆条件文
  「もし○○ならば△△である」

◆演繹法・帰納法
  「AならばB」「○○ということは△△」

  このように、子どもの言い回しの語彙によって、使わせたい話法=使わせたい思考法が規定される。
  ある時期、教師がきちんと教えていく必要があるのだ。

※「言い回し」というワードが適しているのかどうかは自信がありません。


 (3)光村国語の6年間の「言い回し」の系統

さて、光村図書の2020年度版の「国語」完全活用ガイドという4つの小冊子がある。
https://www.mitsumura-tosho.co.jp/2020s_kyokasho/kokugo/

①深い学びを実現する「読むこと」
②言葉の土台をつくる「一年生の学び」
③思考力を育む「情報」教材
④語彙力を高める「言葉の宝箱」

とあるが、一番読みごたえがあったのは最後の1冊で、光村の国語教科書の特設コーナーとしても「言葉の宝箱」のコーナーが面白い。

学年ごとに、「考えや気持ちを伝える言葉」が具体的に列挙されている。
①人物を表す言葉
②物や事がらの様子を表す言葉
③考え方を表す言葉
④気持ちを表す言葉

2年から6年の「考え方を表す言葉」を列挙してみる(がんばって打ち込んでみた)。
これは、先に列挙した「言い回し」と同じ意味合いであることが分かっていただけるだろうか。

【2年】
① ~みたい ② ~のよう ③ ~ににた ④ ~と同じ ⑤ ~と違う  ⑥ ~にそっくり ⑦ ~くらいの ⑧同じところは~  ⑨ちがうところは~ ⑩ぼくだったら・わたしだったら

【3年】
① まるで~のよう ② ~と等しい ③ ~とことなる ④ ~と反対の ⑤ ~とぎゃく ⑥ ~のなかま ⑦理由は~ ⑧ 一方~は ⑨ 大きく分けると ⑩ ~にあてはまる ⑪たとえば~ ⑫このように

【4年】
①どちらかが~かというと ②~は、~を含む ③ ~の点では ④ ~に対しては ⑤もし~なら ⑥まとめると ⑦つまり~ ⑧例えば ⑨ たとえ~だとしても ⑩ ~による ⑪ ~かもしれない ⑫ ~のはずだ ⑬ ~にちがいない

【5年】
① ~の点から分類すると ② ~の点で比べると ③ ~といえる ④ ~と思われる ⑤ ~とはどういうことかというと ⑥原因として考えられるのは

【6年】
① ~とみられる ② 具体的には~ ③ 共通点は~ ③ 中でも、~ ④ 多くは、~ ⑤ ~の場合は ⑥ ここから~と言える
 
小冊子には次のようなアドバイスがある。

書くことの指導の際に、「考え方を表す言葉」を示せば、文章を展開させるヒントになりそう。

詳細にみると、「理由は~」が3年、「~といえる」が5年、「~と見られる」が6年など、指導レベルに合わないものもあるが、参考にはなる。
ちなみに「思考力を育む『情報』」のコーナーでも、具体的な表現方法(言い回し)の提示があることが上記の冊子から分かる。

【分ける】
◆ ~は、・・・のなかまです。
◆ ~は、三つのなかまに分けることができます。

【くらべる】
◆ ~と~をくらべてみると・・・。
◆ ~というところは同じですが、~というところがちがいます。

こういう言い回しを使いこなせるかどうかが論理的思考を促すための大きな力になる。
ただし、教科書に書いてあっても付録の扱いだから、きちんとやるかやらないかは担任に委ねられている。だから担任の責任は重い。

追記

それで思い出したんだけど①

「それで思い出した」という言葉を、以前、書き留めていた。
===============
「それで思い出した」という言葉は、イマジネーションと記憶を結び付けて一つの思考を他の思考へ導く能力ーー連想ーーという創造力を端的に表している。
 古代ギリシャ人はこれを重視した。プラトンはその著書の中でこれを盛んに論じ、アリストテレスは人間心理学の根本原理だと強調した。p

『創造力を生かす」アレックスオズボーン(創元社)昭和50年6版 P68
================

 「連想」は、イマジネーションと記憶を結び付けて1つの思考を他の思考へ導く能力だとある。まさにベタ褒めの表現だ。

それで思い出したんだけど②

 道徳の典型的な授業では、展開後段で資料に関連した自分の経験を想起させてどうすべきか、どうあるべきか、言わせたり書かせたりする。資料内の出来事を自分の生活と結び付けて意見を述べないと価値の一般化に繋がらないと指導を受けてきた。新しい道徳の授業に、展開前段と後段というのがあるのかどうかは分からなかったが。


それで思い出したんだけど③

 県の採用試験の論文は、提示されたある資料を読み取った事実と、自分の教育感を述べる2段構成が基本形。資料からどんな事例を思いつき自分の主張につなげるかが試されている。他地区の公立高校入試の記述問題も同じような型だと聞いたことがある。

◆事実と意見を分けて書く
◆人の意見と自分の意見を分けて書く

「それで思い出したんだけど」というフレーズの価値をしっかり意識していこう。

 レベル的には、小学校以前でも使えそうな言い回しだから、中学年では、ぜひ、使いこなせるようになってほしい。

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May 28, 2019

文相互の関係 ~論理結合子~

 これまで、文相互の関係を3通りから5通りで理解してきた。

①イコールの関係 (具体、体験、引用、比喩)
②対立関係(対比、譲歩・弁証法)
③因果関係

 そして、
①イコールを「=」の線、
②対立を「←→」の線、
③因果を「→」の線

でつなげば、文章構造がかなり理解できる思ってきた。
    自分で教材分析をしたり、文章構造図を作る際には、この三種の記号でつないできた。
    受験国語の神様と呼ばれた松本成二氏は、「リレーションの三大種類」として、まずは次の3つを挙げている。

①同一指示:同じ事を別な言葉で述べたもの
②分析、敷衍:さらに詳しく説明した部分
③近接、類似(比較、比喩)
 
 研究者の中には、4つや6つに分類する者もいる。

①同一指示 ②分析 ③近接 ④類似
①説明 ②類推と比較  ③例示 ④数字 ⑤引用 ⑥繰り返し

    そして、松本氏自身、五つの原則にまとめ直して提示している。

①同一指示 ②分析・敷衍 ③原因・理由 ④例示 ⑤比喩・逆説や修辞

   さて、かつて見て見ぬ振りしてやり過ごしてきたのが「論理結合子」。

 新井紀子氏は『数学は言葉』の中で、次の7種類を挙げている。

①「でない」
②「かつ」
③「または」
④「ならば」
⑤「同値」
⑥「満たす、存在する」
⑦「全ての」

  数学で用いられる基本的な論理結合子はこの7種類で、他の論理結合子は、この7種類を組み合わせれば表現できるという。p59
  全くわからないわけではない。数学の授業では「かつ」「または」「全ての」などの違いを学び、「◯◯ならば〜」の論法で証明問題にも取り組んできた。

    ただし、「論理結合子」でヒットする以下のサイトのような解説などは全然理解できない。道は遠いのだ。
http://www.sist.ac.jp/~kanakubo/research/reasoning.html

   こちらのサイト「記号論理学」は、かなり丁寧なので、頑張れば理解に近づくかもしれない。
https://www.sist.ac.jp/~suganuma/kougi/other_lecture/SE/math/logic/logic.htm

※別件になるが、井上尚美氏の「論理力」7要素というメモ書きが見つかった。いろんな分類があるものだとつくづく思う。

①比較 ②分類 ③分析 ④構想 ⑤評価 ⑥選択 ⑦推論

 「『論証』とは筆者の意見の妥当性を検証」と当時のメモに書いてある。

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May 23, 2019

「文章法」とは何か?

 松本成二氏は、「文章法の原則 リレーションの三大種類」として、3つを挙げている(『現代文の科学的研究1』P46)。

①同一指示(coreference) 
②分析(analysis) 敷衍(paraphrase・amplyfication)
③近接(contiguity)類似(similarity)
  
  さて「近接と類似」って何だ?
  実は、1990年にこの本を読んでいながら、「近接と類似」は、ずっと保留したままだった。
  松本氏の書籍でも、「近接と類似は少しその概念がつかみづらい」と書いてある(P124)
 手持ちの書籍を見ても、図書館に行っても、書店に行っても、ネットで調べても、なかなか明快な解説を得ることができなかった。ネット検索すると、人工知能のような分野でヒットする。

  かすかに理解できたのが、以下のような記載。
 =============
◆連想というのは,あることと他のことの間に何らかの関連性があると感じることである。
  心理学では、この連想のもととなる関連性を「類似性(similarity)」と「近接性(contiguity)」に分ける。

  類似性は2つの物事が似ているということで、これは形状,色彩、材質、機能,組成などさまざまの面に関して認められる。
  近接性は2つの物事の間に特別に近い関係があるということで,その関係は空間的なものばかりではなく、時間的、あるいは因果関係的なものまで、様々な場合がある(p133)。

   例) 白→黒      (類似性)
      白→雪・雲・塩・米 (近接性)

  『意味の世界:現代言語学から視る』池上嘉彦著
 =============

・・・松本氏のもう1冊の書『知の学としての国語』(2013年)の解説を簡略化して示す。結局、この解説が一番分かりやすかったのだ。

 ==========
 R・ヤーコブソン
「すべてのテキストは、類似性(simirarity)と近接性(contiguity)とで形の上でも内容的にも展開され、組み立てられている」

  言葉の【類似性】とは、まったく同じ言葉で繰り返したり(同一語 tautology)、似た言葉に置き換えたり(同一指示語 coreference)すること。
  言葉の【近接性】とは、「冬と寒い・雪とスキー」のように、ふつういつも存在するもので置き換えること。
 =============

・・・どうして、「類似・近接」にこだわるかというと、松本氏が次のように主張しており、受験国語の「基本のキ」だからだ。

===============
テキスト展開の本質は「似た言葉を絶えず繰り返し」たり、「いつも一緒にある言葉で繰り返し」たりすることにあるというヤーコブソンの原理は、空欄補充の設問にも、選択肢設問にも、整序問題にも、その他あらゆる設問の解析に使える。P16
================

・・・このヤーコブソンの原理を読むと「類似性」「近接性」が大事なことが分かる。

ただ、松本氏が引用した次のハリスの言葉を読むと、「敷衍(paraphrase)」も大事だということが分かる。

 ==============
Z・S・ハリス
「言語表現の本質は、絶えざる言い換え(paraphrase)であり、ある言語表現は、同じ言語で翻訳されることを前提としている。
  一つの言語表現を理解するとは、絶えざる言い換え(paraphrase)を理解することだ」(P13)
============== 

・・・、むしろ「言い換え」と類似・近接」の区別がつかなくて、まだまだ保留が続くのだ。


 参考(というより理解できなかった文献例)
◆ロマン・ヤコブソンのコミュニケーション論
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/slavic-studies/56/08asazuma.pdf

◆ローマン・ヤコブソンによる言語の二軸理論
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/Biaxial_theory_Roman_Jakobson.html

◆初心者のための記号論-

http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/retorikku/rhetoric.html
 ◆ウイキペデイア「デイヴィッド・ヒューム」の認識論
ヒュームは『人間本性論』では、人はどのように世界を認識しているかという認識論より検討を始めている。
 人間の知覚(perception、これはヒューム独自の用法であり、心に現れるもの全てを指す)を、印象(impression)と、そこから作り出される観念(idea)の二種類に分けている。
 印象と観念には、それぞれ単純(simple)なものと複合(complex)なものとがあり、全ての観念は印象から生まれると主張した。
そして印象は観念の源泉となるが、観念から印象は生じないとした。
これらの観念が結合することにより知識が成立され、この結合についてはヒュームは二種類の関係を想定した。
 一つを「自然的関係」と呼び、もう一つを「哲学的関係」と呼んだ。
 前者は「類似(similarity)」「時空的近接(contiguity)」「因果関係(causality)」であり、後者は量・質・類似・反対および時空・同一性・因果である。

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April 22, 2019

NHK「こどものための哲学」

深く思考させる発問が、極めて「哲学的」であることを書いたのが2月。
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2019/02/post-1560.html

続けて「ビジネス書より古代の哲学書」というタイトルで哲学の大事さを書いた。
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2019/02/post-123d.html

その前から、ロジック、ロジカルの原点は古代のギリシャ哲学のロゴスだという意識はあった。
さて、NHK教育の番組表を見ていて「こどものための哲学」があることを恥ずかしながら最近知った。
http://www.nhk.or.jp/sougou/q/

 「哲学って何?」と悩んでしまうが、この番組では、要するに「思考法」であり、「思考の型」を教えているようだ。
Qワード おぼえ歌「きみの疑問を掘り下げてみよう」という歌まである。
その歌詞にエッセンスが詰まっている。
================
なんで? 理由をさぐってみる
 ほかの考えは? いろんな考えを出してみる 
 反対は? あえて逆(ぎゃく)で考える
 もし~だったら? 仮説(かせつ)を立ててみる 
そもそも? 前提(ぜんてい)からうたがってみる 
 立場をかえたら? だれかの気持ちになってみる
 たとえば? 具体的(ぐたいてき)にあげてみる 
くらべると? ちがいはどこかさぐってみる
‪‪===================‬
‪番組は、このQワードを中心に構成されている。‬
 ‪え、これ、まさに国語科で取り組んでみたい・習得させてみたい課題ではないかと思う。‬

 ‪NHKの案内には、次のようにある。
◆思考力と対話力を育む15分の人形劇
◆対話力を深める魔法の質問Qワード
‪◆問答を繰り返す事で、自分の中にある答えを見つける‬
◆対話劇を見ることで、正解のない問いについて、どのように考えを深めていけばいいのかが分かります。‬

昨年は‪高校生対象の「ロンリの力」を全部視聴したが、この番組もしっかり視聴してみようと思う。‬
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2018/08/nhk-462c.html

そして、しっかり哲学について学び直してみよう。

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January 27, 2019

「アカデミックライテイング」というキーワード

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 英検から学校に届けられた「英語情報2019winter」に「アカデミック・ライテイングの内容と指導」の記載があり大変参考になった。

 認知心理学から提案されている文章算出モデルが次の2つ。

(A)知識伝達モデル
(B)知識変形モデル

 先に日本の作文指導が「行事作文と読書感想文というガラパゴス状態」にあるという記事を紹介したが、根っこが同じだ。

東洋経済オンライン1月11日配信記事。
https://toyokeizai.net/articles/-/259129

 (A)は、一人称型・個人体験の表出で主観的
 (B)は、問いに答える型ですすめる「問題解決型」
   三人称で書き進められ、抽象概念を扱った客観的な文章
   
  (A)は、自然に習得できる能力レベル・議論につながらない。
 (B)は、習熟によって得られる高度なレベルの能力・複雑な取り組みのなかで発展していく能力

◆したがって、(A)から(B)に変異するには学校での指導が必要であるということなのです。
◆ライテイングそのもののプロセスによって得られる認知的な能力を養成する。

という記述にしびれた。

 最後に日本の学校の授業で求められる「アカデミック・ライテイングの内容と指導」について10の概要を示している。
 むろん、英語の指導内容だが、国語の作文の観点として受け止めることができる。

1)アカデミックな文章は、当該分野の書式の要件を満たし、その様式に従う。
2)そのなかで展開されている議論が明示的なものでなければならない。
3)論旨の展開が演繹的であることが望ましい。
 文章のテーマと筆者の主張が冒頭部分にあらかじめはっきりと提示され
 (topic setence、thesis statement)、文章を通じて、それが一貫してサポートされていること。
4)読み手が議論の展開を正しく把握できるように、書き手は文章の構成を考え、文章中に適切な「道票」      (therfore、however、thesis statement)、文章を通じて、それが一貫してサポートされていること。
5)独りよがりの主観的な書き方から脱却し、書かれた内容が客観性を持つようにする
6)文体に関しては、口語体を排し、フォーマルな文章を要件であるいくつかの様式に従う。
7)文法的に正しい文を書かねばならない。
8)等位接続詞(and、but、so)で結ばれた稚拙な印象を与える文を避け、縦続接続詞を中心に、愛唯施設や、副詞節、そして形容詞節などを多用し、より複雑な構文を使う工夫をする。
9)口語表現とは異なる洗練された抽象度の高い語彙を使用する。
10)スペリングは正しくしなければならない。

・・・分析批評の評論文が、いかに主観的な作文指導からの脱却に寄与していたかがよく分かる。

※一人称で書く内容に偏らない。
※敬体でなく、常体で書く。

 この2点だけでも、フォーマルな文章に近づける。

 国語の作文指導の脆弱さを「数学の証明教育」と「英語のアカデミックライテイング」で補うのではなく、数学の証明や英語のアカデミックライテイングの基礎となるような作文指導を国語科が担っていくべきだ。
「アカデミックライテイング入門 レポートの書き方」と題した文書がネットで見られる。大阪府立大学の制作資料だ。
 はしがきを見ると、高校までの作文教育が「随筆系」であったため、課題レポートを書くにはどうすればいいかということで手引書を作成したという事だ。

http://www.vet.osakafu-u.ac.jp/osakafu-content/uploads/sites/180/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%99%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%99%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%83%AC%E3%83%9B%E3%82%9A%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9.pdf

 参考文献に「理科系の作文技術」「日本語の作文技術」も含まれていて、安心する部分もあるが、新たな文献もあって自分の学びの狭さがよく分かった。

 もう少し、「アカデミックライテイング」というキーワードで調べてみたい。
 分析批評の評論文にチャレンジしてきた子ども達はまさに「アカデミックライテイングの指導を受けていた」ということを証明するためである。

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October 31, 2018

「類推の思考」で解釈を促す

「教育トークライン」10月号(東京教育技術研究所)の石坂陽先生の実践は「情景描写を的確に捉えさせる」。
言葉の裏の意味を見出していく作業だ。
難易度の高い課題のハードルを下げるための手立てが「類推」である。

◆難しいテストで100点を取った。
 先生にものすごく褒められた。
→外を見ると、太陽が美しくきらきらと輝いていた。


これが「行動」→「情景描写」。
そして、この情景描写が→「うれしさ」「すがすがしさ」を表している。

「じゃあ、みんなも同じように情景描写の表現にチャレンジしてみましょう」では、あまりに無謀だ。
石坂先生の実践では、ここでもう一歩踏み混んで例示している。

◆努力したのに、テストで50点だった。
→外を見ると・・・・・・

 「外を見ると」の後に続く情景描写の文章を書いてごらんなさいと指示を出している。
 そして「外を見ると、枯れた木々が力なく揺れていた」といった文を出させて、「悲しさ」「残念な思い」といった心情を把握させる。

 私は、これは類推型の思考指導だと思っている。

 【AーB】と同じ関係が【C-※】にも成り立つとき、※にはどんな文が当てはまるか考えさせる。
 この場合、A・B・Cを提示して※のみを考えさせているから、無理なく類推できる。

 ただし、正確に言うと、石坂先生の実践は、「行動」-「情景描写」-「心情」の【A-B-C】を例示して【D-※ー※】の2か所の※を考えさせている。

 裏の意味は、テキストにはない言葉を用いなければならないので、例示を含め、やさしく取り組んでちょうどいいくらいだと思う。

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October 27, 2018

リ―デイングスキルテスト

 リ―デイングスキルテスト(RST)は、『AI vs教科書が読めない子どもたち』で有名な新井紀子氏がセンター長を勤める国立情報学研究所の考案したテストである。
 本来は有料だが、サンプル提供で参加するので無料でできると言う。そんなルートがあったんだ。
著書を読んで少しは知っていたが、実際に着手するとか子どもに受けさせるとか、そこまで真剣に考えたことはなかった。

 次のサイトから、さまざまな情報が得られるが、情報が多すぎて精選できない。

https://www.s4e.jp/about-s4e

 たとえば奥深くに隠れているPDF資料「リ―デイングスキルテストで測る読解力とは」には、読解力の11項目のプロセスが記してある。
https://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-1.pdf

1 文節を正しく区切る
2 係り受けの構造を正しく認識する=修飾・被修飾の関係
3 述語項構造や接続詞を正しく解析する=主語述語の構造 
4 照応関係を正しく認識する=指示語
5 ~ 語レベルのマッピング
6 ~ 文構造レベルのマッピング
7 既存の知識と新たに得られた知識に対して、論理推論を働かすことにより、実世界に関するさらなる知識を獲得する。
8 得られた多くの情報間の重要度を適切に付与する。特に与えられた観点において、実世界に関するさらなる知識を獲得する。

など11項目のプロセスが挙げられているが、後半は理解が苦しい。
読解力を測る観点が理解できないのだから、自分が読解力を育てるのは難しいのだと思わざるを得ない。

 AIが苦手な点と通ずるのが、以下の箇所かもしれない。

◆得られた情報を正しく理解しただけでは、そこから豊かな実世界イメージを獲得することはできません。
新しく得られた知識と既存の知識から演繹する、という7のプロセスを経ることにより、ひとつの知識を数十倍、数百倍に拡張することができるのです。

◆単に膨大な知識を獲得しただけでは、それを問題解決に役立てることができるとは限りません。具体的な問題解決にあたっては、8で挙げた、得られた情報を取捨選択するプロセスが必要となります。

 例文は、ごくごく単純な問題だと思うが、逆のこんなところでつまづいていたら、そりゃあ各教科のテストは苦しいなと思う。
https://www.s4e.jp/example

◆近畿地方を中心に、領主や鎌倉幕府に従わず、年貢をうばう武士があらわれた。
→年貢をうばうのは(鎌倉幕府:武士:近畿地方:領主)である。

 このようなレベルでの読みの精度を上げるなら「一字読解」のような丁寧な指導が有効だと思う。

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August 14, 2018

クリテイカルシンキングの必要性

少し古いが、2017年2月の「小4教育技術」にあった出口汪氏の特集記事のコピーが見つかった。
2020年に向けた基本的なスタンスがよく分かる。

小学館編集部の言葉
◆2020年度から実施される次期学習指導要領と、現行のセンター試験に替わって「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を導入する大学入試制度の改革。それぞれが「思考力 判断力 表現力」を重視し、今後は「記述式の問題」「複数の正解があり得る問題」などへの対処に、より論理的な読解力と表現力、さらに欧米型のクリテイカルな思考が必要がとされています。

・・・子どもや保護者にとっては、新学習指導要領より、大学入試改革の方が重要かもしれないし、むしろ、大学入試の傾向から逆算して、小中高での取り組み課題が明らかになってくるのではないかと思う。

出口汪氏の言葉
◆文部科学省が従来からモデルにしている欧米の考え方「 クリテイカルシンキング」とは、ある問題について、主観を交えずに客観的に様々な角度から分析して、複数の可能性から相対的に適切なものを選ぶ能力のことで、次期学習指導要領ではこの要素がさらに強まるとされています。文部科学省はとくに、答えのない問題への対処や、複数の正解があり得る問題で最適解を導き出す能力などを重視するということですね。
つまり、教科書に答えがあって、先生が教えてくれることを何ら疑うことなく頭に入れて答えればいいという、これまでのやり方とは真逆な教育になるということです。
自分自身で考えていく過程で、ひょっとしたら答えが見つからないかもしれない、あるいは複数の答えが現れるかもしれないという学習が導入されるわけですが、こういうことは、現実社会で生きているとあたり前に遭遇する問題ですよね。世の中で起きている事柄、われわれが直面している問題には絶対的な正解は存在しないわけですから、極めて現実的な学習であると言えます。

・・・答えのない問題、複数の正解がある問題への対処か。たった1つの正解を暗記する教育とはまさに真逆である。
極めて大切な指摘なのに、すぐに記憶から遠のいてしまう。何度も何度も擦り込んで自分のものにしていきたい。

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August 07, 2018

因果関係を見抜く「反事実」の考え方

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 中室牧子氏の「原因と結果の経済学」(ダイヤモンド社)では、因果関係があるかどうかを見抜くことの大切さがけてたら、主張されている。根拠のない通説にだまされないために・データの勝手な解釈にだまされないためにである。

 広告のおかげで、今年はアイスクリームの売り上げが伸びた。

のような場合だ。
 
 中室氏は、次の3点でチェックせよと言う。
「まったくの偶然ではないか」
「第三の変数(要因)はないか」
「逆の因果関係はないか」

そして、因果関係を証明するのに「反事実(反実仮想)」を想定し、比較してみよと言う。

◆もし、〇〇がなかったとしたら、どうなっていただろう。

 今年は暑かったから、広告がなくても結構売れてたかも。
 
と第三の要因が浮上するかもしれない 
 「アイスクリーム総選挙」みたいな特別番組があったら、そりゃあ、そっちの影響の方が強いはずだ。

 ただし、中室氏は経済学者だから、あてずっぽうで「反事実」を想定して、あてずっぽうで適否を決めるわけでじゃない。
 実際には、もう広告を出してしまったのだから、今さら「もし広告を出さなかったら」という直接の比較をするのは不可能だ。
 だから、類似条件で試した実験を比較材料にして検討することになる。これがエビデンス=因果関係を示唆する根拠である。

 国語の世界・言葉の世界で因果関係を云々言うだけなら「エビデンス」は要らない。 
 しかし、経済の世界では「エビデンス」が必要になる。
 そこの違いをきちんと自覚しておかねばと思う。

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August 06, 2018

仮説思考で仕事の速度と精度を向上

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Associe2018年8月号、赤羽雄二氏の連載「最速で成果を出す時短術」(P101/102)

仮説思考と仕事の時短術が、どうつながるのかを気にしながら読んだ。
なるほど!
ここは引用でなく、自分の言葉で書きますね(時短のため)。

簡単に言えば「石橋を叩いて渡る」という完璧主義では、調査や検証や結論までに時間がかかり過ぎる。
だから、およその目安をつけて、いけると思ったら「見切り発車」する思い切りのよさが必要である。動き出してから、その都度、速やかに修正をすればよいのだ。

むろん、仮説だから間違いを犯すこともある。だからこそ、見当違いな仮説にならないように、日頃から情報収集をして思考トレーニングをすることが大事になる。

最後だけは、正しく引用します。

◆常に「自分はこう考える」と仮説を持って動き、走りながら検証・修正するように習慣づければ、あなたの仕事のスピードは格段に向上していきます。

 「自分はこう考える」「自分だったらこうするに違いない」という仮説は、つまりはシュミレーションだ。
 当事者意識の喚起でもある。いつも問題意識を持って生活しているとも言える。
 やってみなきゃあ分からないなら、やってみるしかない。 そこで迷っていたら、タイミングを逸してしまう。運命の女神さまは逃げてしまう。
 「見切り発車・当たって砕けろ」と言うと、無鉄砲なマイナスイメージが強すぎるけど、「仮説思考で仕事の速度と精度を向上」と考えれば、勇気をもって踏み出せるかもしれない。
 
 先のダイアリーでも書いたが、ここでも、「仮説思考」は、「論理の力」ではなく、「論理の無力」というのがよく分かる。
 
 論理的な正しさだけを優先すると、おそらく失敗の可能性がゼロに近づくまでまで人は踏み出せないだろう。
 人は勝負をかけるとき、論理ではなく、感性で判断するものだ。
 あてずっぽうの感性か、経験に裏打ちされた精度の高い感性かの違いは、むろんあるが、迷っているばかりでは、チャンスは回ってこない。
 「宝くじを買わない人は、絶対に当たらない」と言う。
 宝くじを買うのは、確率から考えると、非論理的な行動かもしれない。
 でも、その非論理性にためらっていたら、当たるチャンスは巡ってこないのだ。

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